【茨城高専】地域の学校で生成AI教育を実践

AIへの丸投げから共創へ、中学生と高専生が挑む思考育成型のプロジェクト学習

KOSEN×勝田中等サマースクールに参加した学生たち(最前列および中央列:中学生、最後列:高専生)

 茨城工業高等専門学校(茨城県ひたちなか市 校長:鈴木 秋弘 以下「茨城高専」)は、STEAM教育(注1)の一環として、令和7年8月26日(火)に茨城県立勝田中等教育学校にて生成AIを活用した出前授業「KOSEN×勝田中等サマースクール」を実施しました。本授業は高専生の技術支援の下、中学生が生成AIを活用しながら、地域活性化のアイデアを創出・発表するという教育プログラムです。

◆思考育成のパートナーとしての生成AI

 近年、AI技術の進展は、人間社会に大きな影響を及ぼしています。このような時代において、生成AIと人間との関係をどのように構築していくかが、教育現場における重要な課題となっています。茨城高専では生成AIを「作業を効率化する道具」というよりは、「人間の思考力を育むパートナー」として位置づけており、この技術の有効な利活用法を開発しています。

高専生の技術指導の下、グループワークや発表を行う中学生たち
高専生の技術指導の下、グループワークや発表を行う中学生たち
高専生の技術指導の下、グループワークや発表を行う中学生たち

◆中学生・高専生・生成AIが連携して挑む地域活性化のアイデア

 今回のプログラムでは、中学生21名(3〜4名×6グループ)が「地域活性化」をテーマにしたグループワークに取り組みました。テーマには廃棄果物や廃校の利活用法が含まれます。各グループには高専生1〜2名がティーチング・アシスタント(TA)として参加し、生成AI活用の技術支援を行いました。

◆生成AI活用型PBL(AI-PBL)の特徴

 茨城高専では、生成AI活用型のPBL(注2)である“茨城高専・AI未来探究プロジェクト”を展開中です。本プロジェクトでは、まず人間が中心となって課題設定やアイデア創出を行います。その後、得られたアイデアを具体的な提案レベルに落とし込む段階で生成AIを活用します。今回のサマースクールでも、初期段階ではKJ法(注3)を用いた人間中心のアイデア創出方法を採用しました。これによって、生成AIに頼ることなく、ユニークなアイデアが数多く生み出されました。

◆ユニークなアイデアと学びの成果

 発表では、市内の廃校を「昼はコンセプトカフェ、夜はお化け屋敷として活用する」というアイデアが、具体的なマーケティング戦略とともに発表され、参加者から高い評価を得ました。授業後のアンケートでは、「新しい学びが得られた」と回答した中学生が90%以上に上りました。また、高専生からも「他の誰かに教えることで、自身の理解が深まる感じがしました」「相手の立場に立った説明の重要性を学びました」などの声が寄せられ、中学生および高専生の双方にとって有意義な学びが得られました。

              授業後に行った受講生(中学生)向けのアンケート回答結果

◆次世代AI人財育成への展望

 茨城高専は今後も地域との連携を広げ、生成AIとの価値共創を実現できる、地域密着型のイノベーション人財育成に取り組んでまいります。

◆指導教員

片岡 隆史 (茨城工業高等専門学校 副産学連携センター長)

二田 亜弥 (茨城工業高等専門学校 広報戦略副室長)

野上 泉  (勝田中等教育学校)

西松 敦子 (勝田中等教育学校)

今村 美里 (勝田中等教育学校)

注1 STEAM教育とは、Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics 等の各教科での学習を実社会での問題発見・解決にいかしていくための教科横断的な教育方法である(文部科学省, 2019)。

注2 PBL(Project-Based Learning)とはプロジェクト型の学習方法である。複雑で困難な課題をプロジェクトとして捉え、それらに対して、学生が探究的かつ比較的長期間に取り組むことを特徴とする(Thomas, 2000)。

注3 KJ法とは文化人類学者の川喜田二郎によって考案された、定性的データの分析技法である。付箋やカードにデータを書き込み、それらを分類・構造化することで、問題分析やアイデア創出を容易にする(川喜田, 1967)。

◆茨城工業高等専門学校について

茨城工業高等専門学校は、国境を意識させない21世紀型グローバルスタンダードの教育内容と教育環境を内外の若者に提供します。また学生の知的好奇心の段階的成長を手助けし、科学技術や工学の社会との関わりを教授して、起業家精神を身につけることにより両者を結び付け、社会の成り立ちを理解できる基盤を育成します。職業選択だけでなく人生設計と自立する技術者としてたくましく生きるための準備はグローバルキャリア教育として実施します。これらを従来の専門技術教育に加味して、次世代を担うたくましい技術者人材を育成します。

茨城工業高等専門学校 

【学校概要】

学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 

茨城工業高等専門学校            所在地:茨城県ひたちなか市中根866
校長名:鈴木 秋弘             
設立:1964年                
URL:https://www.ibaraki-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関                     

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会社概要

URL
https://www.kosen-k.go.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都八王子市東浅川町 701-2
電話番号
-
代表者名
谷口 功
上場
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資本金
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設立
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