【CCCMK総研レポート】私たちの生活に浸透してきた「サブスク」生活者はどう評価している?
CCCマーケティング株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:北村和彦)が設立した7000万人の思いを紡ぐ研究所「CCCマーケティング総合研究所」(以下「CCCMK総研」)は、このたび、「生活者の意識調査 ~サブスク~」( https://www.cccmk.co.jp/thinktanks/column-13)を実施し、その結果をまとめました。
サブスクの競合としては従来型のサービス(例えば音楽配信に対しては物理的なCD販売など)という観点が持ち出されることが多かったように思います。それは「所有」という概念を覆す意味でのサブスクの価値がクローズアップされていた側面が強いと思いますが、近年ではサブスクvs既存サービスの競争から、サブスク同士で生活者の時間とお財布を奪い合う競争に移行し始めているようにも感じられます。
そのようにサブスクの浸透が進む背景を受けて、CCCMK総研では2020年12月4日~9日にかけて、「サブスク」をテーマとしたアンケートを2,003人のT会員の皆様を対象に実施しました。サブスクそのものに対する理解度やメリット認識、また、さまざまなカテゴリーに広がるサービスの浸透状況などを質問しています。”サブスク大競争時代”とも言える今、勝ち残れるサービスには必要なものは何か、そのヒントを獲得するためにも、まずはサブスクに対する生活者の理解度や意識をしっかりと把握しておきたいところです。
つまり、「サブスク」は世間に広く浸透するような明確な定義を持たず、むしろ決まった形を取らないままに進化を続けている、と言った方が現実に即しているのかもしれません。
では、生活者はサブスクをどれくらい理解していると感じているのでしょうか。<図1>は、サブスクのサービス形態や仕組みについて、どの程度知っているか(知っていると思っているか)を質問した結果です。なお、質問では定義文などは示さずに「知っているか」と聞いただけなので、実際には誤認している方も含まれるでしょう。ただ、上述のように明確な定義を持たずに進化を続けているとも言える状況においては、あくまで生活者自身の主観としてサブスクをどれくらい理解しているかを確認することが重要だと考えて、このような聞き方をしています。
結果は、「詳しく知っている」はわずか5.3%、「それなりに知っている」を合わせても35.9%という認知率でした。
この数字が高いか低いかの評価については、後述する各サービスの利用経験(定額使い放題サービスとして聴取)において、「動画(映画・ドラマ・アニメ)の利用経験が27.3%、その他様々なサービスを含めて4割強の利用経験が確認されたことを考えると、サービス形態としてのサブスクの理解浸透はまだ低いと言えるかもしれません。また、「よくわからないが、名前を聞いたことがある」は4割程度見られたほか、「名前を聞いたこともない」という方も約4人に1人いるという結果となりました。
性年代別では、男女とも20代での認知率(詳しく知っている+それなりに知っているの合計、以下同)が5割程度あるのに対し、50代以上では2~3割にとどまっており、若い年代ほど認知率が高いという傾向がきれいに出ています。また男女間で比較すると、20~40代において男性の認知率がやや女性を上回っているようです。特に40代に限ると男性の認知率が女性を17ポイントほど上回っており、年代別の男女差では最も大きくなっています。この辺りは生活者としての利用側だけでなく、提供側としてのビジネス上の接点も含めて、サブスクに触れる機会が多いことも影響しているかもしれません。
なお、聴取対象としたサービスは<図2>にある26種類ですが、アンケートでは各サービスのことを「定額使い放題サービス」として質問しています。理由は、サブスクと認識せずにそのサービスを利用しているような人による取りこぼしをしないようにするためです。
※以下、コラム本文中では「サブスク」と表記していますが、アンケート中では「定額使い放題サービス」として質問しています。
グラフ中の「現在利用率」を見ると、「動画(映画・ドラマ・アニメ)」(19.6%)、「音楽」(11.5%)の2者のみが1割を超えており、他は5%にも満たない状況となりました。過去利用も含めた「利用経験(計)」でも1割を超えるのはこの2者のみであり、「動画(映画・ドラマ・アニメ)」「音楽」はサブスクの中でも頭一つ抜け出した存在であることが確認できます。
このカテゴリーでは多くの有力サービスが激しい競争を繰り広げており、その結果としてサービスの質も上がっているのでしょう。利用経験者における満足度(満足+やや満足)も7割前後と高くなっています。なお、満足度については「映画」も65.3%となっており、音楽と同等の高い満足度を利用者に与えているようです。
その他のサービスに目を向けると、「電子書籍(雑誌/コミック/書籍全般)」において、「利用したことはないが、そのようなサービスは知っている」がいずれも5割台と高くなっています。利用経験はそれぞれ1割に満たないものの、認知はかなり浸透していることがうかがえます。このカテゴリーは長期にわたって相当量の広告が投下されていることに加え、美容室での電子書籍媒体の利用など、自分でサービスを利用していなくても体験機会が存在する、といった理由で認知率が高くなっていることが考えられます。
まず、「利用のきっかけ」<図3-1>を見ていきますと、グラフ左端の「価格」のうち「料金を気にせず好きなだけ利用できる点に魅力を感じたから」が男性50・60代に高い一方で、「購入するよりも安価・お得そうだったから」が女性40代以上で低くなっています。一般に女性の方が価格にシビアだと考えられることが多い中で、これは少々意外な結果と言えるかもしれません。
ただ、<図1>でご紹介したように、女性40代以上でのサブスク認知は2割台後半~3割程度にとどまっていました。そのような中でこの層でサービスを利用している人は、イノベーター理論におけるアーリーアダプター以上の気質を持っている可能性が高い層であるとも考えられ、それらの方が価格を上回る別のメリットを見出したとも言えそうです。
価格以外の具体的なメリットの候補としては、「好きなタイミングで解約できるメリットを感じたから」や「無料お試しなどのキャンペーンをやっていたから」が挙げられそうです。ただし、前者は男性50代以上も、後者は女性全般で高い傾向を示しているので、必ずしも女性40代以上だけにあてはまるきっかけとは言えませんが、これらを複合的に評価してサブスク利用のきっかけとしたと言っても差し支えはないでしょう。
また、その他で特筆すべき点としては、グラフ右端の「広告」において、テレビ・Webのいずれも男女60代の利用者できっかけとした人が多かった点も挙げさせていただきます。
続いて、サブスクの「メリット」について、利用経験者<図3-2>と非利用経験者<図3-3>のそれぞれの評価を見ていきます。この2つのグラフを比較することで、サブスクへの認識が利用有無によってどのように違ってくるのかを見ることができるはずです。
2つのグラフを見比べてまず目につくのは、左端の3項目「購入するよりも安価に利用できる」「料金を気にせず好きなだけ利用できる」「月額が決まっているので出費を管理しやすい」において、利用経験者では男性のメリット認識が高く、反対に非利用経験者では女性のメリット認識が高いという点でしょう。これは、サービス利用前は女性の方がより費用面のメリットを認識したのに対し、男性はサービスを利用し始めてからそのメリットに対する認識が高まってくることを示しているのではないかと考えられます。
また、非利用経験者においては、「購入しないのでモノが増えなくて良い」「メンテナンス(洗濯や片づけ)の必要がない」といった「メンテナンスフリー」関連についても、女性(特に高い年代)におけるメリット認識が高くなっている点も特徴的と言えるでしょう。
なお、利用経験者について年代別の傾向を見てみると、男女とも若年層で「商品・サービス・コンテンツの量が充実している」や「無料お試し期間があるので手軽に選べる」のメリット認識が高い一方で、「クレジットカードなどで決済できる」は男女とも60代で高いメリット認識となっています。後者については男女ともN数が50人台と多くはないものの、それでも各4割程度が回答しており、他の年代を引き離して高いメリット認識となっています。こちらも、先ほどの女性40代以上で価格意識がそれほど高くなかった件と同様に、アーリーアダプター気質が反映されているのかもしれません。
緑色の2本の棒グラフは、それぞれ”現在利用者”における満足度【A】と”過去利用者”における満足度【B】を示します。また、その横にある数値は【A-B】、つまり現在利用者の満足度から過去利用者の満足度を引いた差分の数字となります。(満足度はいずれも満足+やや満足の合計)
このようにして見ると、現在利用者と過去利用者の満足度の差である【A-B】の値には、かなりのばらつきがあることがわかります。特に黄色で示した7つのカテゴリー(※一部はN数が少ないため、読み取りには注意が必要)は差分が35ポイント以上と大きくなっていますが、このことはサービス提供事業者によって満足度に差があることや、業界自体の成熟度が低く顧客満足を獲得しきれていないカテゴリーなのではないかと推測されます。
さらに、その7つのカテゴリーでは、その横に青いグラフで示している「利用経験者における現在利用者の構成比」でほとんどが低くなっていることがわかります。各サービスの歴史に長短があるため、この割合が高いほど継続利用が高いという単純なものではありませんが、顧客を定着させきれていないことの示唆になっていることは言えそうです。ただし、「メガネ・コンタクトレンズ」だけは例外的に現在利用者の構成比が高くなっていますが、これは必需品であることが奏功しているのではないかと考えられます。
また、右端のオレンジ色のグラフは、各サービスの”過去利用者”における利用期間を集計し、3ヶ月以内および1年以内で離反した割合をそれぞれ集計したものです。これによると、利用者の多い「動画(映画・ドラマ・アニメ)」や「音楽」において、3ヶ月以内の離反が4割程度、1年以内の離反が7割程度と高くなっていることがわかります。ただ、現在利用者の構成比が比較的高いことから、この期間を乗り越えさせれば継続率が高まるというポジティブな壁としてこの期間を認識しても構わないのかもしれません。
一方で、「飲食(ランチ/カフェ/ランチ・カフェ以外の外食)」についてはやや厳しい状況にあると言えるかもしれません。現在利用者の構成比が4割前後にとどまるうえに、短期間での解約率も高くなっており、利用者の定着に苦戦していることがうかがえます。動画などデジタルで完結できるコンテンツ系のサービスとは異なり、物品や実体でのサービス提供が必要となるものであり、満足度に関わる要素やチェックポイントが多く存在することも確かでしょう。成功の難度が高いカテゴリーなのかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症の影響で打撃を受けた飲食業界にとって少しでも救いになるよう、サービスが改良されていくことを期待せずにはいられません。
今回は「サブスク」についてのアンケート結果をご紹介しました。皆さんにとって身近なカテゴリーもそうでないものも含めて「サブスク」を謳うサービスには多くの種類があり、これだけ多岐にわたるものが一つの括りで語られること自体珍しいことかもしれません。”サブスク大競争時代”とも言える今、利用者の支持を分ける要素や、ベースにある利用者/非利用者の”サブスク観”について、今回のアンケートから多くの示唆が得られたと考えています。
【調査設計】
調査地域:全国
調査対象者:男女・20~69歳
サンプル数:2003サンプル
調査期間:2020年12月4日(金)~12月9日(水)
実査機関:CCCマーケティング株式会社(Tアンケートによる実施)
- ■サブスクの競争相手はサブスク?
サブスクの競合としては従来型のサービス(例えば音楽配信に対しては物理的なCD販売など)という観点が持ち出されることが多かったように思います。それは「所有」という概念を覆す意味でのサブスクの価値がクローズアップされていた側面が強いと思いますが、近年ではサブスクvs既存サービスの競争から、サブスク同士で生活者の時間とお財布を奪い合う競争に移行し始めているようにも感じられます。
そのようにサブスクの浸透が進む背景を受けて、CCCMK総研では2020年12月4日~9日にかけて、「サブスク」をテーマとしたアンケートを2,003人のT会員の皆様を対象に実施しました。サブスクそのものに対する理解度やメリット認識、また、さまざまなカテゴリーに広がるサービスの浸透状況などを質問しています。”サブスク大競争時代”とも言える今、勝ち残れるサービスには必要なものは何か、そのヒントを獲得するためにも、まずはサブスクに対する生活者の理解度や意識をしっかりと把握しておきたいところです。
- ■若い年代ほど「サブスク」の認知・浸透が進んでいる
つまり、「サブスク」は世間に広く浸透するような明確な定義を持たず、むしろ決まった形を取らないままに進化を続けている、と言った方が現実に即しているのかもしれません。
では、生活者はサブスクをどれくらい理解していると感じているのでしょうか。<図1>は、サブスクのサービス形態や仕組みについて、どの程度知っているか(知っていると思っているか)を質問した結果です。なお、質問では定義文などは示さずに「知っているか」と聞いただけなので、実際には誤認している方も含まれるでしょう。ただ、上述のように明確な定義を持たずに進化を続けているとも言える状況においては、あくまで生活者自身の主観としてサブスクをどれくらい理解しているかを確認することが重要だと考えて、このような聞き方をしています。
結果は、「詳しく知っている」はわずか5.3%、「それなりに知っている」を合わせても35.9%という認知率でした。
この数字が高いか低いかの評価については、後述する各サービスの利用経験(定額使い放題サービスとして聴取)において、「動画(映画・ドラマ・アニメ)の利用経験が27.3%、その他様々なサービスを含めて4割強の利用経験が確認されたことを考えると、サービス形態としてのサブスクの理解浸透はまだ低いと言えるかもしれません。また、「よくわからないが、名前を聞いたことがある」は4割程度見られたほか、「名前を聞いたこともない」という方も約4人に1人いるという結果となりました。
性年代別では、男女とも20代での認知率(詳しく知っている+それなりに知っているの合計、以下同)が5割程度あるのに対し、50代以上では2~3割にとどまっており、若い年代ほど認知率が高いという傾向がきれいに出ています。また男女間で比較すると、20~40代において男性の認知率がやや女性を上回っているようです。特に40代に限ると男性の認知率が女性を17ポイントほど上回っており、年代別の男女差では最も大きくなっています。この辺りは生活者としての利用側だけでなく、提供側としてのビジネス上の接点も含めて、サブスクに触れる機会が多いことも影響しているかもしれません。
- ■利用経験が多いのは「動画」と「音楽」、「電子書籍」も認知度は高い
なお、聴取対象としたサービスは<図2>にある26種類ですが、アンケートでは各サービスのことを「定額使い放題サービス」として質問しています。理由は、サブスクと認識せずにそのサービスを利用しているような人による取りこぼしをしないようにするためです。
※以下、コラム本文中では「サブスク」と表記していますが、アンケート中では「定額使い放題サービス」として質問しています。
グラフ中の「現在利用率」を見ると、「動画(映画・ドラマ・アニメ)」(19.6%)、「音楽」(11.5%)の2者のみが1割を超えており、他は5%にも満たない状況となりました。過去利用も含めた「利用経験(計)」でも1割を超えるのはこの2者のみであり、「動画(映画・ドラマ・アニメ)」「音楽」はサブスクの中でも頭一つ抜け出した存在であることが確認できます。
このカテゴリーでは多くの有力サービスが激しい競争を繰り広げており、その結果としてサービスの質も上がっているのでしょう。利用経験者における満足度(満足+やや満足)も7割前後と高くなっています。なお、満足度については「映画」も65.3%となっており、音楽と同等の高い満足度を利用者に与えているようです。
その他のサービスに目を向けると、「電子書籍(雑誌/コミック/書籍全般)」において、「利用したことはないが、そのようなサービスは知っている」がいずれも5割台と高くなっています。利用経験はそれぞれ1割に満たないものの、認知はかなり浸透していることがうかがえます。このカテゴリーは長期にわたって相当量の広告が投下されていることに加え、美容室での電子書籍媒体の利用など、自分でサービスを利用していなくても体験機会が存在する、といった理由で認知率が高くなっていることが考えられます。
- ■非利用でもメリットに関心が高いのは女性、男性は利用を通じてメリットを認識
まず、「利用のきっかけ」<図3-1>を見ていきますと、グラフ左端の「価格」のうち「料金を気にせず好きなだけ利用できる点に魅力を感じたから」が男性50・60代に高い一方で、「購入するよりも安価・お得そうだったから」が女性40代以上で低くなっています。一般に女性の方が価格にシビアだと考えられることが多い中で、これは少々意外な結果と言えるかもしれません。
ただ、<図1>でご紹介したように、女性40代以上でのサブスク認知は2割台後半~3割程度にとどまっていました。そのような中でこの層でサービスを利用している人は、イノベーター理論におけるアーリーアダプター以上の気質を持っている可能性が高い層であるとも考えられ、それらの方が価格を上回る別のメリットを見出したとも言えそうです。
価格以外の具体的なメリットの候補としては、「好きなタイミングで解約できるメリットを感じたから」や「無料お試しなどのキャンペーンをやっていたから」が挙げられそうです。ただし、前者は男性50代以上も、後者は女性全般で高い傾向を示しているので、必ずしも女性40代以上だけにあてはまるきっかけとは言えませんが、これらを複合的に評価してサブスク利用のきっかけとしたと言っても差し支えはないでしょう。
また、その他で特筆すべき点としては、グラフ右端の「広告」において、テレビ・Webのいずれも男女60代の利用者できっかけとした人が多かった点も挙げさせていただきます。
続いて、サブスクの「メリット」について、利用経験者<図3-2>と非利用経験者<図3-3>のそれぞれの評価を見ていきます。この2つのグラフを比較することで、サブスクへの認識が利用有無によってどのように違ってくるのかを見ることができるはずです。
2つのグラフを見比べてまず目につくのは、左端の3項目「購入するよりも安価に利用できる」「料金を気にせず好きなだけ利用できる」「月額が決まっているので出費を管理しやすい」において、利用経験者では男性のメリット認識が高く、反対に非利用経験者では女性のメリット認識が高いという点でしょう。これは、サービス利用前は女性の方がより費用面のメリットを認識したのに対し、男性はサービスを利用し始めてからそのメリットに対する認識が高まってくることを示しているのではないかと考えられます。
また、非利用経験者においては、「購入しないのでモノが増えなくて良い」「メンテナンス(洗濯や片づけ)の必要がない」といった「メンテナンスフリー」関連についても、女性(特に高い年代)におけるメリット認識が高くなっている点も特徴的と言えるでしょう。
なお、利用経験者について年代別の傾向を見てみると、男女とも若年層で「商品・サービス・コンテンツの量が充実している」や「無料お試し期間があるので手軽に選べる」のメリット認識が高い一方で、「クレジットカードなどで決済できる」は男女とも60代で高いメリット認識となっています。後者については男女ともN数が50人台と多くはないものの、それでも各4割程度が回答しており、他の年代を引き離して高いメリット認識となっています。こちらも、先ほどの女性40代以上で価格意識がそれほど高くなかった件と同様に、アーリーアダプター気質が反映されているのかもしれません。
- ■動画や音楽は経験者も多いが解約率も高い。満足度はサービスによってばらつきが
緑色の2本の棒グラフは、それぞれ”現在利用者”における満足度【A】と”過去利用者”における満足度【B】を示します。また、その横にある数値は【A-B】、つまり現在利用者の満足度から過去利用者の満足度を引いた差分の数字となります。(満足度はいずれも満足+やや満足の合計)
このようにして見ると、現在利用者と過去利用者の満足度の差である【A-B】の値には、かなりのばらつきがあることがわかります。特に黄色で示した7つのカテゴリー(※一部はN数が少ないため、読み取りには注意が必要)は差分が35ポイント以上と大きくなっていますが、このことはサービス提供事業者によって満足度に差があることや、業界自体の成熟度が低く顧客満足を獲得しきれていないカテゴリーなのではないかと推測されます。
さらに、その7つのカテゴリーでは、その横に青いグラフで示している「利用経験者における現在利用者の構成比」でほとんどが低くなっていることがわかります。各サービスの歴史に長短があるため、この割合が高いほど継続利用が高いという単純なものではありませんが、顧客を定着させきれていないことの示唆になっていることは言えそうです。ただし、「メガネ・コンタクトレンズ」だけは例外的に現在利用者の構成比が高くなっていますが、これは必需品であることが奏功しているのではないかと考えられます。
また、右端のオレンジ色のグラフは、各サービスの”過去利用者”における利用期間を集計し、3ヶ月以内および1年以内で離反した割合をそれぞれ集計したものです。これによると、利用者の多い「動画(映画・ドラマ・アニメ)」や「音楽」において、3ヶ月以内の離反が4割程度、1年以内の離反が7割程度と高くなっていることがわかります。ただ、現在利用者の構成比が比較的高いことから、この期間を乗り越えさせれば継続率が高まるというポジティブな壁としてこの期間を認識しても構わないのかもしれません。
一方で、「飲食(ランチ/カフェ/ランチ・カフェ以外の外食)」についてはやや厳しい状況にあると言えるかもしれません。現在利用者の構成比が4割前後にとどまるうえに、短期間での解約率も高くなっており、利用者の定着に苦戦していることがうかがえます。動画などデジタルで完結できるコンテンツ系のサービスとは異なり、物品や実体でのサービス提供が必要となるものであり、満足度に関わる要素やチェックポイントが多く存在することも確かでしょう。成功の難度が高いカテゴリーなのかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症の影響で打撃を受けた飲食業界にとって少しでも救いになるよう、サービスが改良されていくことを期待せずにはいられません。
今回は「サブスク」についてのアンケート結果をご紹介しました。皆さんにとって身近なカテゴリーもそうでないものも含めて「サブスク」を謳うサービスには多くの種類があり、これだけ多岐にわたるものが一つの括りで語られること自体珍しいことかもしれません。”サブスク大競争時代”とも言える今、利用者の支持を分ける要素や、ベースにある利用者/非利用者の”サブスク観”について、今回のアンケートから多くの示唆が得られたと考えています。
【調査設計】
調査地域:全国
調査対象者:男女・20~69歳
サンプル数:2003サンプル
調査期間:2020年12月4日(金)~12月9日(水)
実査機関:CCCマーケティング株式会社(Tアンケートによる実施)
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