モーターファン・イラストレーテッド(MFi) vol.177は、「トルクを流す」特集
動力伝達を理解するための超基礎講座
“テクノロジーがわかると、クルマはもっと面白い”をキーワードに、図版、写真、透視図を使って自動車技術をわかりやすく解説する月刊誌「モーターファン・イラストレーテッド」(株式会社三栄 本社所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:星野邦久)。2021年6月15日(火)より『モーターファン・イラストレーテッド vol.177』を発売いたしました。
エンジン、もしくはモーターで発生した出力は、接地しているタイヤで駆動力(トルク)となり、自動車は走行します。しかし、その動力源からタイヤまでの間には、回転数を変える、トルクを増幅する、向きを変える、動きを断続するといった、非常に多くのプレイヤーが介在します。これらトルク伝達系部品は精度こそ命であり、それゆえ自動車は何事もなくスムーズに動いているといっても過言ではありません。100年を超える歴史において、許されるコストのなかでその精度の均一性を追求し、トルク伝達効率を飛躍的に改善してきた自動車。本特集ではこれら「トルクを流す」デバイス/システム群について、基本的な構造からその役割までをあらためて理解しようと試みました。
【THOERY】そのときトルクはどのように流れるのか
エンジンやモーターで発生した出力/トルクは、さまざまな部品を得て接地するタイヤで駆動力となるまでの経緯において、どのように扱われて流れていくのでしょうか。トランスミッションから出力されたエンジントルクは、左右のタイヤに振り分けられますが、クルマは基本的に真っ直ぐ走ることを前提として制御されています。そこからクルマがスムーズに曲がるためには、左右のホイール回転速度差がもたらす、曲がりにくさをうまくいなす必要があります。加減速や旋回、高速から低速まで、さまざまな状況でどう考えてトルクを流しているのか。国産車でいちばん多い前輪駆動(FF)車と、駆動輪が4つに増える四輪駆動(AWD)車において検証しています。
電気の流れを整える
遊星歯車(プラネタリーギヤ)機構は、現在のステップ(有段)AT にとって必須の部品です。駆動力伝達効率に優れた機械式歯車を使い、その組み合わせで「前進2速・後進1速」の変速段を作り出すことができます。いっぽう、トヨタのハイブリッド・THSの方式は、ICE(内燃エンジン)とふたつの発電機兼電気モーターを、そのプラネタリーギヤで繋ぎ、片方の発電機の負荷増減と正/逆回転を利用して無段変速を行なう機構を採用しています。現行であるTHS IIの最大の特徴は、遊星歯車機構なのに締結要素がない点です。しかも、突然エンジンが始動しても駆動力に段差が出ないのはなぜか。改めて、トヨタ独自のハイブリッド・THS II を考察してみます。
【COMPONENT】トルクを流すドライブトレーン技術の進化
前輪駆動(FF)車の普及と、全輪駆動(AWD)車の複雑なトルク配分によるトルクベクタリング技術のメジャー化の背景には、ドライブトレーンの進化と密接な関係があります。ドライブトレーンの進化がパッケージングの繋がり、パッケージングの革新が新たなドライブトレーンの可能性を広げてきました。それを支える要素技術、スターティングデバイスの「トルクコンバーター」、ステップATのギヤ同士の組み合わせを変える締結要素の「クラッチ」、電磁クラッチによって前後輪の駆動力をコントロールする「4WD電子制御カップリング」、エンジン側とタイヤ側を等しい速度で滑らかに回転とトルクを伝える継手「等速ジョイント」、トルク伝達における最後の要衝「ハブベアリング」についての仕組みと役割についてわかりやすく解説しています。
トルク制御技術を支える車載ネットワークとその変化
近年のAWD車では、センターデフを持たずに電子制御カップリングのみトルク配分するというシステムが主流となっています。背景にあるのは電子制御技術の進歩ですが、そこでカギとなる要素となっているのがCANに代表される車載ネットワークです。そのCANが、ADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転)、コネクテッド化にともなう通信トラフィックの増大により、限界を迎えつつあります。今後さらに、ADAS/ADの役目が拡大し、安全性にかかわる車両運動制御も加わって加速すれば、一層、車載ネットワークの混雑は深刻化します。これらの解決策について検証します。
CONTENTS
[モーターファンイラストレーテッド vol.177]
【図解特集:トルクを流す】
[Introduction]パワープラントからタイヤまで「トルクの流れは一本道」
THEORY ─そのときトルクはどのように流れるのか─
01 前輪駆動で「曲がる」瞬間をとらえる
クルマが曲がるときに生じる内外輪差
→デファレンシャルギヤの存在/役目/原理/効能
02 四輪駆動でトルクはどのように使われるのか
前後軸を駆動するための3つの方策
→デファレンシャルギヤ/クラッチ/カップリングユニット/トルクベクタリング/モーター
[Column]電気の力で流れを整える
COMPONENT ─エンジンレイアウトの変遷とトルクを流すデバイスの進化─
トルクコンバーター[Valeo] ロックアップ領域の拡大で燃費はさらに良くなる
クラッチ[FCC] チューニングの自由度はここまで広がった
4WD電子制御カップリング[ジェイテクト] 路面状況と運転者の意思に対応した的確なトルク配分
ドライブシャフト[NTN] トルク損失率1%以下のなかで進める改善への取り組み
ハブベアリング[日本精工] ハブユニットのトルク損失を極限まで抑える
[Epilogue] トルク伝達性能を左右する車内ネットワークの速度
-詳細-
タイトル:モーターファンイラストレーテッド vol.177
発売日:2021年6月15日(火)
定価1,760円 (本体価格1,600円)
ISBN:9784779644054
※全国の書店、ネット書店にてお求めいただけます。
詳細:https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=11909
2021年6月15日
株式会社 三栄
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像