若年・中年期の口腔状態が高齢期のオーラルフレイルに影響 生涯を通じた口腔健康管理の重要性を示す新知見
~日本老年歯科医学会第37回学術大会にて発表~
サンスターグループ(以下、サンスター)は、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢機構長・教授らのグループとの共同研究において、地域在住高齢者の現在のオーラルフレイルと、若年期(15歳時)・中年期(40〜64歳)の主観的口腔状態との関連を横断的に検証しました。その結果、若年期・中年期の口腔状態の不調は、それぞれがオーラルフレイルと関連しており、両時期とも口腔状態が悪かった場合にオーラルフレイルに該当する可能性が最も高くなることが確認されました。これは、若年期からの継続的な口腔健康管理の重要性を示すものです。本研究成果は、日本老年歯科医学会第37回学術大会にて発表されました。
<研究概要>
◆研究の背景・目的
「オーラルフレイル」とは、口の機能の健常な状態(いわゆる「健口」)と口の機能低下の間にある状態です。歯の喪失や食べること・話すことに代表される口腔機能の軽微な衰えが重複し、機能低下の危険性が増加していますが、改善も可能です。オーラルフレイルは食事の質や心の健康への悪影響にとどまらず、要介護・死亡リスクを高めることが報告されていることから、早急な予防対策が求められています。サンスターが実施したWEB調査では40代の約1割がオーラルフレイル、約2割が予備群との結果もあり、その背景には、若年期からの口腔状態の不調の蓄積が関与している可能性があります。しかし、若年期から高齢期に至るまでのライフコースを通じた口腔状態とオーラルフレイルの関連を実証した研究は乏しく、本研究ではその関連を検証することを目的としました。
◆研究対象者と方法
本研究は、2021年に千葉県柏市在住の65歳以上の健康な高齢者に実施した調査のうち、データに不備のない1,596名を対象としました。オーラルフレイルの有無はOF-5で、若年期(15歳時)・中年期(40〜64歳)の主観的口腔状態は自己記入式質問票でそれぞれ評価し、その関連を年齢・性別・BMI・教育年数・認知機能・服薬数を調整した二項ロジスティック回帰分析を用いて解析しました。
<研究結果・結論>
対象者のうちオーラルフレイル該当者は497名(31.1%)でした。オーラルフレイル該当者は、若年期に口腔状態が悪かったと回答した人が14.5%、中年期に悪かったと回答した人が39.6%となり、オーラルフレイル非該当者よりも口腔状態が悪かったと回答した割合が高い結果となりました(図1)。また両時期ともに口腔状態が良かったグループを基準とした場合、若年期のみ悪かったグループ、中年期のみ悪かったグループの順にオーラルフレイル該当のオッズ比が上昇し、両時期ともに悪かったグループではオッズ比が4.55と最も高い値を示し、他グループと比較してオーラルフレイルに該当する可能性が高いことが確認されました(図2)。これらの結果から、若年期からの継続的な口腔健康管理の重要性が示されました。


<研究結果に関するコメント>

東京大学 高齢社会総合研究機構 機構長/未来ビジョン研究センター教授
医師、医学博士
飯島 勝矢(いいじま かつや) 先生
オーラルフレイルは「老い」の入り口に位置する重要なサインですが、これまでその予防は高齢期、また高齢期一歩手前からのアプローチが中心でした。今回の研究は、若年期・中年期という人生の早い段階における口腔状態の不調が、数十年後の高齢期のオーラルフレイルと関連していることを示した点で、非常に意義深い知見です。口腔の健康は高齢期だけの問題ではなく、まさに生涯を通じて育んでいくものであることが改めて示されました。今回の研究成果が、若い頃から継続的に口腔の健康に向き合う意識の醸成のきっかけとなり、高齢になっても自分の口で食べ続けられる、健康長寿な人生の一助となることを期待します。

大阪大学名誉教授、歯科医師、歯学博士
雫石 聰 (しずくいし さとし)先生
今回の研究結果は、現在議論が進む「国民皆歯科健診」の意義につながるものとして注目に値します。国民皆歯科健診は、年齢を問わずすべての国民が定期的に歯科健診を受けられる体制を整備しようとするものですが、本研究において口腔の健康問題は若年期から蓄積し、高齢期のオーラルフレイルにまでつながることが示されました。歯科健診を通じて若年期・中年期から口腔の問題を早期に発見・介入することができれば、将来的なオーラルフレイルや要介護状態のリスクを低減し、社会保障費の抑制にも貢献できる可能性があります。国民全体が生涯を通じて口腔の健康を維持できる社会の実現に向けて、国民皆歯科健診の早期実現と普及が強く求められます。
サンスターグループ グローバル研究開発部 歯科衛生士
溝口 奈菜(みぞくち なな)
今回の研究は、将来のオーラルフレイル予防が高齢期からではなく、若年期・中年期の日々の口腔健康管理から始まる可能性を示しています。毎日の歯みがきや歯間清掃、定期的な歯科受診といった基本的なケアの積み重ねが、将来も自分の口で食べ、話し、笑うための基盤になると考えています。年齢を問わず、今この瞬間からのお口のケアを大切にしていただきたいと思います。
<学会発表タイトルと発表者>
タイトル: 若年期・中年期の主観的口腔状態とオーラルフレイルの関連:柏スタディ
発表者: 溝口奈菜¹⁾、永谷美幸¹⁾、田子森順子¹⁾、池田健太郎¹⁾²⁾、前田真理子¹⁾、田中友規²⁾³⁾、飯島勝矢²⁾³⁾
1.サンスター株式会社 2. 東京大学高齢社会総合研究機構 3. 東京大学未来ビジョン研究センター
発表学会: 日本老年歯科医学会第37回学術大会(2026年6月12日〜14日、大阪)
【サンスターグループについて】
サンスターグループは、持株会社サンスターSA(スイス・エトワ)を中心に、オーラルケア、健康食品、化粧品など消費者向けの製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・スイスSA(スイス)と、自動車や建築向けの接着剤・シーリング材、オートバイや自動車向け金属加工部品などの産業向け製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・シンガポールPte.Ltd.(シンガポール)を中核会社とする企業グループです。
100年mouth 100年health
人生100年時代、サンスターが目指すのは、お口の健康を起点とした、全身の健康と豊かな人生。毎日習慣として行う歯みがきなどの口腔ケアは、お口の健康を守り、そして全身の健康を守ることにもつながっています。100年食べ、100年しゃべり、笑う。一人ひとり、自分らしく輝いた人生、豊かな人生を送るためにも、お口のケアを大切にしていただきたいと考えています。今後もお口の健康を起点としながら全身の健康に寄与する情報・サービス・製品をお届けすることで、人々の健康寿命の延伸に寄与することを目指していきます。

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