2025年第1四半期のアジア太平洋地域の商業用不動産投資額は前年同期比20%増の363億米ドル

第1四半期クロスボーダー投資額としては2019年以来最高水準を記録

JLL

(以下は、2025年4月28日にシンガポールから発表されたリリースの抄訳版です)

東京 2025年5月9日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント: クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)がまとめた調査によると、2025年第1四半期のアジア太平洋地域の商業用不動産投資額は、前年同期比20%増の363億米ドルとなり、第1四半期の投資額では2022年の利上げサイクル以降最高水準となりました。関税の脅威にも関わらず、同地域ではインダストリアル・物流セクターを除く全セクターで投資活動が増加し、前年同期比で6四半期連続の成長を記録しました。これは、投資家が客観的なファンダメンタル分析のもと合理的な意思決定を行っていることを示しています。

2025年第1四半期のアジア太平洋地域のクロスボーダー投資額は、前年同期比152%増の86億米ドルとなり、2019年以来最高額となりました。海外投資家にとって最も魅力的なセクターはオフィス、物流施設、賃貸住宅で、海外投資家は日本のオフィスとリテール(商業施設や店舗)の大型物件を取得し、シンガポールの投資家は海外のオフィス、物流施設、ホテルに投資しました。

日本の2025年第1四半期の投資額は、前年同期比20%増の137億米ドルとなり、第1四半期の投資額としては直近5年間で最高水準を記録しました。日本は、金利上昇サイクルにおいても全セクターで利回りがプラスだったことから、アジア太平洋地域で海外投資が最も多い市場となりました。

JLL アジアパシフィック キャピタルマーケット CEOスチュアート・クロウは次のように述べています。

「アジア太平洋地域の投資が成長を続けていることは、同地域の強固なファンダメンタルズとグローバル投資家に対する市場の魅力を示しています。関税により短期的に市場のボラティリティが高まり、大型取引が一時的に停滞する可能性があります。しかし、長期的な視点で安定した収益とより高い利回りを求める不動産投資家は、短期的な変動から比較的影響が少なく、耐性のあるこれらのアセットクラスへの投資を継続するでしょう。また、アジア太平洋地域は、引き続きクロスボーダー投資の恩恵を受ける市場になると予測しています。」

こうした環境下において、関税問題に直面している現在、商業用不動産(CRE)への投資は、アジア市場に投資するリージョンおよびグローバル投資家にとって、より低価格になる可能性があります。

米国による相互関税は、GDP成長の鈍化を通じて各国に影響を与え、ベトナム、マレーシア、韓国などの米国輸出に依存する市場が最も大きな影響を受けると予想されます。成長期待の低下と景気後退の懸念は、全不動産セクターにおける賃貸借と投資活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、雇用の伸びはオフィス需要に、消費支出は小売売上に影響し、小売店舗のリーシングに影響を及ぼします。

物流セクターは、貿易の縮小や物流ルートの変更による在庫要件の転換などの影響を受けることが予想されます。例えば、日本で最大の総取扱貨物量を扱う名古屋港近くの倉庫では、自動車部品の約35%を米国に輸出していることから、取引額および取引そのものに不利な影響を受ける可能性があります。しかしながら、アジア太平洋地域内の貿易は、成長を続ける中間層でのeコマース浸透率の上昇など構造的なトレンドに下支えされ、依然として底堅い状況です。

JLLアジアパシフィック インベスターインテリジェンス ヘッド パメラ・アンバーは次のように述べています。

「米国輸出に依存しているアジアの市場では、悲観的な米国の成長見通しによるドル安の影響で、今後、自国通貨の下落圧力に直面し、この波及効果により、米ドルで投資を行う地域やグローバル投資家にとって不動産はより安価になる可能性があります。また、一部のファンドが投資拡大のプレッシャーに直面する一方で、銀行が『質への逃避』を示す中、プライベート・クレジットの重要性が高まっています。特に、賃貸住宅やデータセンターなどのアセットが貸し手にとってますます魅力的な選択肢となっています。」

JLL日本 キャピタルマーケット事業部 リサーチディレクター 内藤 康二は次のように述べています。

「日本の不動産投資市場は、昨年来の好調なモメンタムが継続しています。トランプ関税など先行きに不透明感が増す状況ながら、日本は引き続き低コストでの資金調達ができる唯一の市場であり続けています。かかる状況下、クロスボーダー投資家の日本市場への投資意欲はかつてないほど高まっていると言えます。また堅調な需要に支えられたオフィスや物流施設、賃料の上昇が顕著な賃貸住宅、好調なインバウンド需要を享受するホテルなど、魅力的な投資先が多数あることも多くの国内外の投資家を惹きつける要因でしょう。旺盛な投資意欲を背景に、今後も日本の不動産投資額は堅調に推移するものと予測されます。」

詳細はレポート(英語のみ)をご覧ください。

https://www.joneslanglasalle.co.jp/en/trends-and-insights/research/asia-pacific-capital-tracker

JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供しています。

フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ国で展開、従業員約112,000名を擁し、2024年の売上高は234億米ドルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。https://jll.com 

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会社概要

URL
http://www.joneslanglasalle.co.jp
業種
不動産業
本社所在地
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー
電話番号
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代表者名
河西 利信
上場
海外市場
資本金
1億9500万円
設立
1985年04月