アジア太平洋地域のホテル投資額、前年の高水準からやや減速基調

2025年上半期の投資額は47億米ドル、日本、大中華圏、オーストラリア、シンガポール、韓国に投資が集中

JLL

東京 2025年9月1日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント: クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)がまとめた調査によると、アジア太平洋地域における2025年上半期のホテル投資額は47億米ドルとなりました。投資家は同地域の成熟したホテル市場をより選択的に注目しており、日本、大中華圏、オーストラリア、シンガポール、韓国の5ヵ国に投資が集中し、総投資額の84%を占めました。

日本は引き続き同地域のホテル投資をけん引して投資額は15億米ドルに上り、次いで大中華圏(7億4,400万米ドル)、オーストラリア(6億6,400万米ドル)、シンガポール(5億4,600万米ドル)、韓国(5億400万米ドル)となりました。その他の市場の投資額は7億5,800万米ドルで、総投資額の16%を占めました。

世界的なマクロ経済の不確実性が投資判断にも影響を与え 、投資家の姿勢はより慎重になりました。その結果、セーフヘイブンとなる市場への関心が高まり、アジア太平洋地域における2025年上半期の投資額は前年同期比23%減となりました。また、売り手と買い手の評価額の乖離(ビッド・アスク・スプレッド)が広がり、デューデリジェンス期間が長期化しています。

JLL ホテルズ&ホスピタリティグループ アジアパシフィック CEO ニハット・エーカンは次のように述べています。

「昨年は高水準であったホテル投資が減速基調に転じたことは、ホテル投資市場において資金源の再編が起きており、より慎重な投資環境になっていることを示しています。お客様との対話からは、機関投資家は引き続き選別的な一方で、プライベートキャピタルは防御的な収益特性と成長余地がある優良なホスピタリティ資産の確保に動いています。これにより、今年から来年にかけて市場の活性化が見込まれます」

JLLの分析によると、プライベート・エクイティ・ファンドがホスピタリティ資産への投資を大幅に増加させ、その投資額は前年同期比6%増となりました。これは、主要なゲートウェイ市場における価格メカニズムの混乱や割安資産を活用する彼らの戦略を示しています。

さらに、2025年上半期には、同地域の富裕層(HNWI)がホテル投資を通じたポートフォリオの多様化を求めて積極的な投資を行い、ホテルへの投資額は前年同期比54%増となりました。

アジア太平洋地域のホテル市場は、今後も堅調なファンダメンタルズに長期的に支えられると予測されます。2025年第1四半期の同地域全体の国際観光客数は、前年同期比で7%増加し、RevPAR(販売可能客室数1日あたりの売上)の成長を後押しするとともに 、ホテル業界に対する投資家心理を下支えしました。

一方で、主なゲートウェイ市場では都市ごとに異なるパフォーマンスが見られました。東京は80%を超える稼働率とコロナ禍前の水準を上回るADR(客室平均単価)を記録しました。シンガポールも2019年を上回るADRを維持し、シドニーも稼働率は80%弱と高水準を記録し、ADRをコロナ禍前の水準を上回りました。

JLLは、2025年通年のアジア太平洋地域のホテル投資額は、前年比5%増の128億米ドルに達すると予測しています。2025年後半には、デューデリジェンス中の取引が完了することで、投資活動が加速する見通しです。

また、日本、オーストラリア、大中華圏、シンガポール、韓国といった従来の主要市場では、引き続き高い流動性が維持される一方で、ベトナムなどの市場では堅固な観光需要の恩恵を受けると予測されています 。

JLL ホテルズ&ホスピタリティグループ アジアパシフィック CEO ニハット・エーカンは次のように述べています。

「2025年下半期のホテル市場は、アクティブ運用の投資先を検討する戦略的な投資家にとって魅力的な参入機会になると予想されます。プライベート・エクイティ・ファンド、ファミリーオフィス、プライベートキャピタルと協業する地域のホテルオペレーターは、運営に専門的な知識を必要とする資産の価値最大化に向け、年末にかけて最も活発な投資家として台頭するでしょう」

JLL日本ホテルズ&ホスピタリティ事業部 マネージングディレクター、ヘッド オブ インベストメントセールズ 阿部有希夫ジェームズは次のように述べています。

「日本のホテル投資市場は活況を呈しており、円安を背景とした訪日外国人観光客数の増加がホテル投資需要を下支えしています。ホテル資産はインフレに対するヘッジ対策ともなり、日本の金融機関による貸出流動性の維持と低金利環境が相まって、ホスピタリティセクターは国内外の投資家から強い関心を集めています」

JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供しています。

フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ国で展開、従業員約112,000名を擁し、2024年の売上高は234億米ドルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com

 

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会社概要

URL
http://www.joneslanglasalle.co.jp
業種
不動産業
本社所在地
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー
電話番号
-
代表者名
河西 利信
上場
海外市場
資本金
1億9500万円
設立
1985年04月