マーケットシェア拡大に有効な新KPIを特定
M-Forceとマクロミルの共同研究で、9segs®︎の主要KPIである「NPI(次回購買意向)」が「認知」や「好感度」等の従来のKPI以上に強い相関を示す結果に
■ 研究概要
マーケティングのKPIは、異なる業界・企業ごとに認知や好感度など様々な指標が用いられる一方、それらのKPIによる事業成長の説明力については十分に検証されないまま使用され続けているケースが見られます。今回、事業成長に対する説明力が強く、より実用的なKPIの追求を目的として、マーケットシェアと9segs®︎フレームワークの主要KPIおよび、従来のKPIとの相関に関する比較・検証を行いました。
【調査対象カテゴリ】
日用消費財6カテゴリ(ビール、緑茶、エナジードリンク、部屋用消臭芳香剤、シャンプー、袋麺)、54ブランド
最初の検証フィールドとして、マスマーケティングを多用するブランドが多く、シェアの変動が比較的起こりやすい日用消費財カテゴリを選択
【調査手法】
インターネットリサーチで聴取した各種KPIスコアとマクロミル提供のQPR™(消費者購買履歴データ)を用いたシェアデータの相関分析
<オンライン調査>
− 調査主体: マクロミル
− 調査期間: 2020年12月18日~12月22日
− サンプル数: 各カテゴリ1,000s
− 調査方法: インターネットリサーチ
− 調査対象: 日本全国20~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
− 割付方法: 平成27年国勢調査による、性別×年代の人口動態割付
− 対象KPI: 9segs®︎主要KPI ー NPI(次回購買意向)・u-NPI(顧客内次回購買意向)
従来のKPI ー 認知・好感度・満足度・NPS®
<QPR™(消費者購買履歴データ)による実データ取得>
− 調査主体: マクロミル
− 分析対象期間: 2020年1月~12月
− パネル数: 30,000
※1 今回の調査における検証は相関関係であり、因果関係については今後時系列データと共に検証予定。
※2 分析にあたりウェイトバック集計・データクレンジングにて調整済み。
※3 今回の調査では、アカデミックな研究にて一般に行われる広告宣伝費、R&D投資による制御は実施していない。
※4 9segs®︎調査で対象としたパネルとQPR™のパネルは別のパネルで分析。
■ 研究結果
今回対象とした6カテゴリ54ブランドにおいて、マーケットシェア、およびシェア拡大の重要なドライバーとされるブランドロイヤリティに対し、9segs®︎の主要KPIである「NPI(次回購買意向)※5」および「u-NPI(顧客内次回購買意向)」※6が、従来のKPIと比較して、最も相関が強いという結果を得ました。
【データ①】 マーケットシェアの指標として、金額シェア・数量シェア共に、一般に用いられる以下の従来のKPIと比較し、NPI(次回購買意向)が最も強い相関を示した。
【データ②】 リピート率・購買頻度・購買単価の総合的な指標である金額・数量SOR※8に対して、従来のKPIと比較し、u-NPI(顧客内次回購買意向)が最も強い相関を示した。
※5 NPI(次回購買意向/Next Purchase Intention)とは、9segs®分析における積極ロイヤル(seg1)・積極一般(seg3)・積極離反(seg5)・積極認知未利用(seg7)の割合を足し上げた数値。9segs®分析のフレームワークは下図参照。
※6 u-NPI(顧客内次回購買意向/User Next Purchase Intention)とは、9segs®︎分析において、当該ブランドの積極ロイヤル・積極一般(seg1+seg3)がロイヤル顧客および一般顧客全体(seg1+seg2+seg3+seg4)に対して占める割合。9segs分析のフレームワークは下図参照。
※7 NPS®(ネットプロモータースコア)とは、顧客ロイヤルティを数値化する指標で、対象となるブランドの「他人への推奨意向」を11段階で評価してもらい、評価点数から「批判者」、「中立者」、「推奨者」に分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値。ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標。
※8 金額SOR(Share of Requirement)とは、あるブランドを年間で1度以上購買した人の年間購買金額の内、当該ブランドの購買金額が占める割合。
今回の検証で、マーケットシェアおよび、SORとの強い相関を示したKPIであるNPI(次回購買意向)、およびu-NPI(顧客内次回購買意向)は、自社で迅速に精度の高い9segs®︎分析を行えるM-Forceの顧客戦略立案支援ツール「9segs®︎ analyzer」により導き出すことが可能です。「9segs®︎ analyzer」を活用することで、自社と他社の比較や、時系列でデータを用いることで過去の数値との比較もでき、常に適切な指標のもと、客観的かつ一貫した視点でマーケットシェア拡大に向けてPDCAサイクルを高い精度で運用していくことができます。
■ 今後の研究における展開
本研究における結果は、マーケットシェア拡大に対する9segs®︎の新KPIの寄与度を検証する初期的なものであり、M-Forceとマクロミルは継続して以下の研究を進める予定です。
− 時系列データを用いた因果関係の考察、また複数年度にわたる売上成長率等の先行指標としての更なる有効性の確認
− 耐久消費財、アプリなど日用消費財以外のカテゴリへの研究対象の拡大
■ 株式会社ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクターチーフ・マーケティング・オフィサー/ M-Force株式会社 パートナー 足立 光氏のコメント
「ブランド好感度」や「ブランド認知」が、売り上げなどには相関が低いことは、マーケティングの現場では以前から指摘をされていました。今回ついに、マーケッターが追うべき指標が明らかになったなと感じています。
■ M-Force株式会社 取締役(Co-Founder)西口 一希のコメント
NPIは、ブランディングと販促活動を可視化して、定量的に管理・分析することを求めて作った9segs®の鍵となる指標です。今回の調査で、NPIがマーケットシェアと最も強い相関を示したことを嬉しく思います。
◆ 9segs®︎について
9segs®︎とは自社ブランド・競合ブランドを「9つの顧客セグメント」に分解し、顧客情報を戦略的に分析する手法で、多くの企業や多岐にわたるカテゴリで導入され、飛躍的な成長を実現しているフレームワークです。自社ブランド・競合ブランドの顧客情報(デモグラフィックや価値観などの顧客像や、ブランドに対するイメージにまつわる情報、価値観・購買習慣・メディア接触など)を数値化し、どういったアプローチが顧客を動かしビジネスやブランドを伸ばしうるのかを精緻な分析で導き、顧客戦略を策定することができます。数値で裏付けられた顧客戦略は、組織に明確な方向性とフォーカスを与え、効果性の高い施策の開発や実行において重要な羅針盤となります。
◆ QPR™(消費者購買履歴データ)について
マクロミルが保有する自社パネル「マクロミルモニタ」を主たる母体として構築している、全国3万人の専用モニタによる消費者購買履歴データです。同専用モニタに、バーコードリーダーまたは同機能を持つアプリを用いて購買物のバーコードを読み取ってもらうことで、日々の購買データを収集・分析し、商品購買実態の把握が可能です。モニタの購買情報と意識調査を組み合わせた日本初のオンラインシングルソースデータであることが特徴で、「どのような人が」「何を」「どれだけ」「どのようなシーンで」商品を購買したかが網羅的に把握できる購買行動データをベースに、消費者意識調査(購買者へのアンケート)を組み合わせることで「その商品をなぜ購買したのか」を併せて把握し、分析することができます。
M-Forceは、2020年2月にマクロミルが設立した「マクロミル・コンソーシアム(MC)」に参画しており、両社のパートナーシップにより、顧客企業のマーケティング課題をコンサルティング領域やリサーチ領域の区別なく、ワンストップで支援する取り組みを進めています。両社は今後も相互の強みを活かしながら、本件のさらなる研究、および、複雑さを増す顧客企業のマーケティング課題解決に積極的に取り組んでまいります。
■ 共同研究者 埼玉大学 経済経営系大学院 加藤 拓巳氏(専任講師)概評
ブランドマネジメントにおいては、多様な指標が観測されるものの、最終成果への説明力が乏しく、意義の不明な指標管理に忙殺されてしまう例が散見される。当該分析の目的は、一般的に利用される認知・好意・満足・推奨意向(NPS®︎)と比較し、提案指標であるNPI(次回購買意向)およびu-NPI(顧客内次回購買意向)の優位性を示すことにある。提案指標の要点は、(1)シェアという最終成果指標に対する説明力、(2)業界を問わず適用可能、(3)シンプルさにある。増大した指標を見直し、真に意義のある指標を採用することで、管理負担を削減しながら、意思決定の精度を高めることが期待される。ただし、今回の共同研究は消費財6業界であること、広告宣伝・研究開発費等の財務指標が制御されていないこと等の限界があることから、今後の展開として対象業界を広げることに加え、時系列で観測し財務指標の制御を行った上で因果推論をすることが望ましい。
<プロフィール>
博士(経営学)、埼玉大学経済経営系大学院 専任講師。慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業、筑波大学ビジネス科学研究科修士課程、同博士課程早期修了。三菱電機株式会社、本田技研工業株式会社を経て現職。専門はマーケティング、ブランドマネジメント、消費者行動。また、高知県、本田技研工業株式会社、M-Force株式会社など、多岐に渡りマーケティングやリサーチのアドバイザーを兼務。
【受賞歴】日本マーケティング学会 ジャーナル奨励賞・ベストオーラルペーパー賞、人工知能学会研究会優秀賞などその他多数受賞。
以上
【株式会社マクロミル 会社概要】
代表者: 代表執行役社長 グローバルCEO 佐々木徹
本 社: 東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー 11F
設 立: 2000年1月31日
事業内容: マーケティングリサーチおよびデジタル・マーケティング・ソリューションの提供
売上高: 41,270百万円(2020年6月期)
U R L: https://www.macromill.com
【M-Force株式会社 会社概要】
代表者: 代表取締役 長 祐
本 社: 東京都渋谷区猿楽町18番8号 ヒルサイドテラスF-201
設 立: 2019年1月
事業内容: 顧客起点を軸で経営とマーケティングを繋ぎ、事業成長を支援
「顧客戦略」策定・活用支援、「顧客施策」の効果検証、および「顧客戦略」に基づいた
事業の成長予測とリスク予測
U R L: https://mforce.jp/
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