人的資本経営調査~CHRO設置率35%に上昇、次世代リーダー育成が大きな悩み
日本経済新聞社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:長谷部剛)は2025年3月、大手企業を対象にした「人的資本経営調査(2025年度版)」の結果をまとめました。調査はワークス・ジャパン(東京都千代田区)と共同で実施。人的資本経営の進捗状況と課題を聞きました。
3,000人未満の企業で推進に時間
調査の結果から主だったものを紹介します。人的資本経営の推進体制を聞く中で、最高人事責任者(CHRO)設置の有無を集計しました。全体では設置済みは35%と、前回の2024年度版と比べて3ポイント上昇しました。従業員規模別でみると、10,000人以上では設置済みは54%と前回から横ばい。前回調査時点で過半数が設置済みだったことから、導入すべきと判断した企業は早めに手を打っていたといえそうです。目を引くのが3,000~10,000人未満の企業群。25%から34%へと導入が進みました。これに対して3000人未満では17%と横ばいで、対応に時間がかかっている印象です。

次世代リーダー・マネジメント層育成が大きな悩み
社員育成上の課題を複数選択で聞きました。その結果、1位は「次世代リーダーの発掘・育成」(48%)、2位は「マネジメント層育成」(45%)でした。2024年度版と1位、2位は同じ。業種別、従業員規模別でみても、高い回答率でした。将来を担う次世代リーダー、マネジメント層については産業界共通の悩みといえそうです。前回と比べて回答率の低下が目立ったのが、「DX人財発掘・育成」。前回の40%から、今回は33%にとどまりました。「経営人材の選抜・育成」も前回の35%から、今回は29%に下がっています。この2項目については、1年間で取り組みが進んだ結果と考えることができそうです。

人材採用さらに厳しく、3割強が充足できず
新卒・中途を含めた外部からの採用で、経営戦略に基づいた目標人員数を充足できているかを聞きました。「充足できている」「ある程度充足できている」「充足できていない」の3つから1つを選ぶ形式です。その結果、「充足できていない」が34%でした。この数値は前回の調査と比べて横ばい。大手であっても、およそ3分の1の企業が採用に苦労する様子が分かります。残る3分の2が「充足できている」「ある程度充足できている」。注目すべきは「充足できている」だけだと前回の15%から、今回は12%に低下したことです。十分に充足できる企業の比率が下がったことからも、採用市場の厳しさが浮き彫りになりました。「充足できていない」比率は、従業員規模が小さくなるほど高い傾向となりました。

■調査の内容はこちら: https://school.nikkei.co.jp/feature/hr/contents/knowhow/72
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<調査概要>
調査名称:人的資本経営調査(2025年度版)
調査対象:東証プライム上場、または従業員1,000人以上の企業の人事担当役職者
調査時期:2024年12月9日~12月20日
調査方法:インターネット調査
回答者数:608人
調査主体:日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット / ワークス・ジャパン
調査実施機関:日経リサーチ
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