ブルーカーボン事業の創出に向けSymbrosia 社との協業を開始
海藻などの海洋生態系でCO₂を吸収・除去するCCUビジネスモデルを検証
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)は、海中のCO₂を吸収する効果を持つカギケノリ(赤海藻)の高度な養殖技術を持つアグリイノベーション企業Symbrosia, Inc.(本社:米国ハワイ州、以下「Symbrosia社」)に出資しました。当社は、今回の出資を通じ、北米を起点としたCCU(Carbon Capture and Utilization、CO₂回収・利用)ビジネスモデルの構築を目指し、Symbrosia社との事業連携について協議を進めます。なお、今回の出資は、当社100%子会社である出光アメリカズホールディングス(本社:米国テキサス州、社長兼CEO:杉原啓太郎、当社100%子会社、以下「IAH」)を通じて行いました。
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けては、大気中のCO₂を吸収・除去するネガティブエミッション技術の社会実装が不可欠です。なかでも、海藻などの海洋生態系によって海中に吸収・貯蔵される炭素はブルーカーボンと呼ばれ、ネガティブエミッション技術の1つとして注目を集めています。Symbrosia社が養殖・栽培するカギケノリは、その成長過程において多量のCO₂を吸収することが確認されています。さらに、同社は独自技術により家畜用飼料添加物などのカギケノリ由来のバイオ製品も製造しており、農業や食料生産分野における生産性の向上と温室効果ガス削減への寄与が見込まれています。


当社は、2023年8月に海洋資源分野のスタートアップ企業への投資を行うHatch Blue社(以下「Hatch社」)に出資※し、ブルーカーボン事業の創出に向けた共同検討を開始しました。Hatch社との共同検討を通じてSymbrosia社に注目し、今回の出資に至りました。将来的には、Symbrosia社の高い養殖技術を活用したブルーカーボン事業の日本沿岸地域での展開を視野に入れるとともに、バイオ製品分野における培養・抽出技術や市場開拓などでの協業も検討していきます。
IAH 社長兼CEO 杉原 啓太郎のコメント:
ネガティブエミッションを中心に事業展開するスタートアップ企業への出資を数多く検討してきましたが、単独で経済性を確立できるビジネスモデルは必ずしも多くありません。そのような中、Symbrosia社はコスト効率に優れたメタンガス排出削減ソリューションとして独自のポジションを確立しており、今後、経済的なCO₂の有効利用やカーボンクレジット分野での協業の可能性を探っていきます。
Symbrosia社 CEO兼創業者 Alexia Akbay 氏のコメント:
ブルーカーボン事業の推進において高い評価を受けている出光とパートナーシップを構築できることを、大変嬉しく思います。CCUの市場動向等において豊富な知見を有する出光の参画は、Symbrosiaが事業基盤を拡大していく上で、重要な付加価値をもたらすものと考えています。
※ プレスリリース:豊富な日本の海洋資源を生かすブルーカーボン事業の創出へ向け、世界各地に拠点をもつHatch社との共同検討を開始:https://www.idemitsu.com/jp/news/2023/230807.html
(2023年8月7日)
【参考】Symbrosia社概要
Symbrosia は米国ハワイ州を拠点とする養殖企業で、カギケノリ(赤海藻)から作られる天然飼料成分 SeaGraze® を商業化しています。畜産飼料の栄養改善、副産物の収益化、持続可能な養殖システムを通じて、食料・気候イノベーションの一つをけん引しています。
本件に関するお問い合わせ先
出光興産株式会社 広報部広報課
https://www.idemitsu.com/jp/contact/newsrelease_flow/index.html
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