ロゼッタと国⽴がん研究センター中央病院。医師主導治験のCSR(治験総括報告書)自動作成ツールを開発
〜文書生成のAI化を進め、CSR作成時間の短縮を目指す〜
株式会社メタリアル(本社:東京都千代田区、代表取締役:五石 順一)グループで、国内市場No.1*のAI翻訳サービスを開発・提供する株式会社ロゼッタ(代表取締役:渡邊 麻呂)は、国立がん研究センター中央病院と共同で進めている「生成AIによる治験関連文書作成の自動化の共同研究」において、医師主導治験のCSR(治験総括報告書)の自動作成の基盤となるアーキテクチャが完成し、プロンプト設計も約7割まで進捗したことで、一定の精度で自動作成が可能となったことをお知らせいたします。
*出典:ITR「対話型AI・機械学習プラットフォーム市場2023」国内翻訳市場
■研究の背景
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ロゼッタでは、国立がん研究センター中央病院と共同で、2024年4月より生成AIを活用した治験関連文書の自動作成に関する研究に取り組んでまいりました。
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治験関連業務の課題として、各工程に膨大な量・種類の文書が必要となるため、その作成やチェックに多くのリソースと工数が割かれていました。また、業界特有の内容の特殊性や要求される精度の問題から、汎用的なLLM(大規模言語モデル)による人手業務の置き換えは困難とされていました。
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ロゼッタでは、医療現場や製薬業種向け文書処理AIモデルのプラットフォーム(Metareal AI LLM2)を開発しており、システム開発を、精度・UX(ユーザー・エクスペリエンス)等のカスタマイズ段階から始めることが可能でした。また、現代の生成AI技術の基盤となったAI翻訳の長年にわたる提供と、医療現場や製薬業種における技術的側面と現場業務への適合力の両面での実績がありました。
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ロゼッタのこれらのAI技術と、国立がん研究センター中央病院の知見を融合させることで、CSR作成における人的作業負担の軽減や、迅速で正確な治験の質の向上を目指し、さらには臨床試験でのAI化推進の一助となることを目的に、本研究が始まりました。
■研究手法
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ロゼッタのAIエンジニアと国立がん研究センター中央病院のメンバー(スタディマネージャー、モニター、データマネージャー、生物統計家)から構成されたプロジェクトチームを発足させました。
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ロゼッタが開発した独自の大規模言語モデル(LLM)アーキテクチャを用い、Retrieval-Augmented Generation(RAG:検索拡張生成)の手法によって、過去の医師主導治験のプロトコールや解析レポート、CSRを参照しながら文書のドラフトを自動作成しました。
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上記の過程で作成されたCSRドラフトに対し、チーム内で意見交換をすることで、プロンプトエンジニアリング(望ましい出力を得るためのプロンプト内容・構造の設計)を行い、最適な結果を出せるよう研究してまいりました。
■研究結果
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CSRの章ごとに発生する様々な差違に対応した、各章に最適な変換プロセスおよび言語モデルをおおよそ生成することができるようになりました。
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現時点で、プロジェクトチームで各章の完成度を4つの指標で分類し評価しました。
(A)ほぼそのまま利用可能
(B)微修正で利用可能
(C)大幅な追加作業が必要
(D)利用は困難
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これと同時に、出力された根拠となるCSR文書が適切か否かの評価を行いました。
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医師主導治験のCSR自動作成ツールのシステムの開発にいたりました。
■研究成果と今後の展望
今回の研究で、医師主導治験のCSR自動作成ツールシステムの開発にいたることができました。今後はより迅速で質の高いCSRの作成の実用化を目指して、さらなる精度向上を図るとともに、その他の治験関連文書(治験実施計画書、同意説明文書等)についても、自動作成の取り組みを進めてまいります。
■国⽴がん研究センター 中央病院 国際開発部門 部門長 中村 健一(なかむら けんいち)氏 コメント
現在、国立がん研究センター中央病院では臨床試験・治験のあらゆるプロセスについてのDX化を進めています。特に生成AIは今後、臨床試験・治験の様々な業務に多大な影響を与えると予想しています。今回の治験関連文書の自動作成は治験にかかるリソース、コストを大幅に削減し得る取り組みであり、今回株式会社ロゼッタとの共同研究で、医師主導治験のCSR自動作成ツールの実用化に向けて、一定の目途を示せたことは大きな成果だと考えています。今後はこのツールについてさらに精度を向上させるとともに、研究計画書や説明同意文書など他の治験関連文書についても自動作成を進めることで、臨床試験・治験実施プロセスの大幅な迅速化・効率化を図っていきたいと考えています。
■株式会社ロゼッタ 取締役 ラクヤクAI 事業責任者 古谷 祐一(ふるや ゆういち) コメント
このたび国立がん研究センター中央病院の皆さまとの共同研究を通じて、生成AIを活用した治験関連文書作成の精度向上と業務効率化に挑戦できたことに、深く感謝申し上げます。ロゼッタのAI技術と国立がん研究センターの豊富な知見を融合させることで、本研究の一つの成果としてCSR自動作成ツールの開発に着手できたことは、大変意義深いと考えています。医療・製薬業界では、治験文書や申請資料など膨大な業務が現場を圧迫する構造的課題が存在しますが、私たちは生成AIの力を用いて、その負担を軽減しつつ治験の質を高める取り組みを続けてまいりました。今回の一定の成果はその第一歩にすぎません。今後は、同意説明文書やプロトコールなど、より広い領域への応用を図るとともに、引き続き国立がん研究センターの皆さまのご協力を仰ぎながら研究開発を進め、さらに高い精度と実用性を目指してまいります。AIによって作業時間を短縮し、患者さんに新薬がより早く届く未来を実現することを目標に、業界全体の革新に貢献していきたいと考えています。
■メタリアル・グループについて
「世界中の人々を場所・時間・言語の制約から解放する」を企業ミッションとし、「対話型AI・機械学習プラットフォーム市場2023」(出典:ITR)の「翻訳市場」において国内市場No.1に位置している。
法務・医薬・金融・化学・IT・機械・電気電子など、2,000分野に対応。顧客ごとの課題解決・未来創造を目的とした完全カスタマイズAI開発サービスを提供している。
AI開発実績:翻訳AI、四季報AI、製薬会社向けAI、ゲームローカライズAI等
社名:株式会社メタリアル
所在地:東京都千代田区神田神保町3-7-1ニュー九段ビル
代表者:代表取締役 五石 順一
設立:2004年2月
事業内容:業種特化の専門文書AIの企画・開発・運営
お問合せ先:pr@metareal.jp
■株式会社ロゼッタについて
国内最大のAI翻訳リーディングカンパニーとして培った6,000社以上の顧客基盤と技術力を基に、製薬・製造・法務・特許・金融等の各業界に特化した専門文書作成に貢献するAIサービスを提供している。
主力サービス:専門用語に強い高精度AI翻訳「T-4OO」
(特徴)
1.生成AI×専門翻訳を実現。常に進化する翻訳プラットフォーム
2.精度95%を誇る超高精度の自動翻訳
3.専門2,000分野・100言語をカバー
4.国内サーバーによる最高水準のセキュリティ
5.スキャン画像PDFも丸ごと翻訳
6.個社の社内用語を自動で翻訳結果に反映
その他に、製薬業向け生成AIソリューション「ラクヤクAI」、議事録&翻訳AIツール「オンヤク」などのサービスを提供。
社名:株式会社ロゼッタ
代表者:代表取締役 渡邊 麻呂
事業内容:AI翻訳および専門文書AIの開発・運営
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