「ビフィズス菌MCC1274」の研究において第10回日本認知症予防学会「浦上賞」受賞
1.学会概要
日本認知症予防学会は、2011年4月に認知症予防に関連する諸分野の科学的研究の進歩発展をはかり、その成果の社会還元ならびに認知症予防の実践活動の普及を目的として、設立されました。鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野の浦上克哉教授が代表理事を務めています。今年で設立10周年を迎え、現在の会員数は2300名を超える学会です。
2.賞の概要
本学術集会では、一般演題として、口演およびポスターにて発表を行います(第10回大会はコロナウイルス対策の関係で口演発表のみ)。すべての発表に対して座長と評価委員が聴講後に評価を実施します。その結果、優秀な成績を収めた発表には、優秀演題賞として「浦上賞」が授与されます。
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https://prtimes.jp/a/?f=d21580-20210709-8d71315adf93afccbf8e21d04edd42b4.pdf
3.受賞内容
▼演題
軽度認知障害の疑いのある方のビフィズス菌摂取による認知機能改善作用に関する検証(口演発表)
▼研究内容
アルツハイマー病と腸内細菌との関連など、脳と腸との機能連関、すなわち脳腸相関が近年のホットトピックであることに着目し、当社が保有している菌株を用いて認知機能改善作用を有するビフィズス菌のスクリーニングを実施し、ビフィズス菌MCC1274を発見しました。アルツハイマー病モデル並びにパイロット試験等により得られたビフィズス菌MCC1274の認知機能改善作用の可能性を確認するため、軽度認知障害の方を対象としたRCT試験を実施しました。その結果、主要評価項目である「アーバンス神経心理テスト※2」において、評価点合計のほか、即時記憶・視空間構成・遅延記憶の各領域において大幅な改善が確認され、副次評価項目である「あたまの健康チェック※3」においても有意な改善が確認されました。これらの結果により、ビフィズス菌MCC1274が認知予防戦略の一つとして有望なプロバイオティクスであると考えられました。
4.森永乳業のビフィズス菌MCC1274(Bifidobacterium breve MCC1274)研究
軽度認知障害の方を対象としたRCT試験において、認知機能改善作用が確認されたビフィズス菌MCC1274 ですが、現在さらなるエビデンスの取得並びに作用機序解明を進めております。今後も健康寿命の延伸に繋がる素材開発に取り組み、食を通じた社会貢献の実現に邁進してまいります。
<参考>
※1 RCT試験(ランダム化比較試験 randomized controlled tiral)
ある試験的操作(介入・治療など)を行うこと以外は公平になるように,対象の集団(特定の疾患患者など)を無作為に複数の群(介入群と対照群や,通常+新治療を行う群と通常の治療のみの群など)に分け,その試験的操作の影響・効果を測定し,明らかにするための比較研究です。
※2 アーバンス神経心理テスト
標準化された認知機能検査のうちの一つです。
総合評価点のほか、5つのサブ領域(即時記憶、視空間・構成、注意、言語、遅延記憶)での評価も可能で、短時間(約30分)で実施でき、2つの等質なフォームを有することから、学習効果も回避することができます。
※3 あたまの健康チェック®
国際的な神経心理学検査のメモリータスクを基に、株式会社ミレニアによって開発された認知機能検査です。主に健常者~MCIの方を対象に、記憶能力や決定能力を評価します。この認知機能検査は2016 年から国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターが運用している『認知症予防を目的とした大規模な健常者登録システム(IROOP レジストリ)』において、公式の認知機能検査として選定されています。
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