住友商事とエレファンテックの戦略的業務提携について
5Gや自動運転などの技術の発展により、コネクテッド・デバイス(注2)は2025年までに現在の5倍である約750億台になると見込まれています。また、小型化や薄型化が進む電子端末においては、フィルムなどの基材に回路を生成した、薄く柔軟性のあるフレキシブルプリント基板の活用が必須となりますが、基板の製造過程で発生する廃水や廃棄物の削減も課題となっています。
エレファンテックは、インクジェット技術と銅めっき技術を活用したフレキシブルプリント基板の開発・製造を手掛けています。従来、基板の製造は、基材全体に金属を貼りつけ、不要な部分を削って回路を生成する方法が主流でしたが、エレファンテックが確立した「ピュアアディティブ法」では、必要な箇所にのみ金属を直接塗布して、回路を生成することが可能です。製造時に発生する廃棄物は13分の1、消費エネルギーや水の使用量は10分の1以下となり、環境負荷の大幅な低減を実現しています(注3)。
住友商事とエレファンテックは、本提携を通じて、エレファンテック製フレキシブルプリント基板の大量生産の実現に向けた取り組み、ならびに製造設備の販売や保守事業の立ち上げに向けた検討を開始します。また、住友商事のさまざまな産業・地域における事業基盤を活用し、エレファンテック社の技術を応用した新規事業の創出ならびにグローバル展開に向けて取り組んでいきます。
住友商事は、子会社である株式会社スミトロニクスを通じて、実装電子基板などの製造を行うEMS(Electronics Manufacturing Service)事業を手掛けており、国内外にわたり製造工場のネットワークならびに電子部品のサプライチェーンを構築しています。また、合成樹脂や電子・機能性材料を始めとする化学品、自動車製造、医薬や農業など、さまざまな産業においてもグローバルなネットワークをもって事業活動を行っています。
エレファンテックは、「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」という企業ミッションの実現に向け、インクジェットによるフレキシブルプリント基板製造事業の拡大と、立体樹脂上への配線形成やバイオ材料の印刷など、その応用範囲を広げる開発・市場開拓を実現していきます。
(注1)プリンテッド・エレクトロニクス:印刷技術を活用して、電子回路や電子デバイスを製造する技術のこと。金属のインクを基材に直接塗布することで、製造工程の簡略化や製品の小型化・薄型化を可能にしている。
(注2)コネクテッド・デバイス:インターネットに接続している電子機器のこと。
(注3)エレファンテック社調べ
<参考資料>
■写真【フレキシブルプリント基板】
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