“7日間の社会学的街歩きガイド”の第2弾! 集英社新書『東京裏返し 都心・再開発編』(吉見俊哉・著)、12月17日(火)に発売。
誰も見たことのない「東京」が現れる、7日間の街歩きガイド。
渋谷駅前の再開発、麻布台ヒルズをはじめとした巨大商業施設の建設、神宮外苑の樹木伐採の問題……東京オリンピック後も止まない巨大資本による大規模計画に揺れる東京。
私たちは都市をどのように捉えればいいのか。
そのヒントは「街歩き」にある。
吉見俊哉氏の前著『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』(集英社新書、2020年)では、著者自らの足で千代田区北部、文京区、台東区を中心とする「都心北部」に焦点をあて、過去の痕跡を手がかりに、豊かな時間を取り戻すための提案までをも示唆。その続編となる本書でも、「都心南部」を歩きながら、かつての軍事施設の痕跡や、失われた川や暗渠を辿ることで、都市の構造を掘り起こす。
『東京裏返し』は、こうして東京が「より速く、より高く、より強い」首都を目指す中で取り残されてきた都心北東部をフィールドとし、都電荒川線沿線から南千住、浅草、上野、谷中、本郷、湯島、神保町、秋葉原といった街々の風景に、三度の占領を経てもなお痕跡として残る記憶の積層を発見していく試みでした。つまり私は、都市を「街歩き=タイムトラベル」することは、決して文学的懐古趣味でも、昔の風景へのノスタルジーでもなく、「街歩き」という実践を通じ、都市というテクストをベンヤミン的に批評し、東京についてのあまりにも自明化されたリアリティを「裏返し」ていくクリティカルな実践なのだと考えてきました。
そして、本書ではいよいよそうした「より速く、より高く、より強い」東京が今も目指され、とてつもない規模の再開発があちこちで進行中の都心南西部をフィールドとします。本書の街歩きは、もちろん再開発計画が社会問題となった神宮外苑も含みますが、それだけでなく私たちは、渋谷や麻布、六本木、赤坂、芝、三田、浜松町などの巨大再開発地域の辺縁をすり抜けながら、昔ながらの谷間を歩き、そこに残る都市の記憶の痕跡に遭遇していくことになるでしょう。
【『東京裏返し 都心・再開発編』はじめに より一部抜粋】
【目次】
はじめに
第一日 駅から丘へ、丘から川へ、渋谷川筋を歩く
第二日 古川流域で高低差を実感し、街殺しの現場に遭遇
第三日 目黒川上流域のふたつの「川」と「まち」の地層
第四日 三田用水沿いに織りなされる軍都と自然
第五日 蟹川と新宿歌舞伎町の「裏」に広がる風景
第六日 青山・六本木・赤坂の川筋から見る軍都東京
第七日 都心の谷間から皇居を裏返す
あとがき
【新刊情報】
タイトル:東京裏返し 都心・再開発編
著者:吉見俊哉
発売日:2024年12月17日(火)
価格:1,188円(10%税込)
判型:新書判
ページ数:352
ISBN:978-4-08-721343-0
【前作『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』について】
タイトル:東京裏返し 社会学的街歩きガイド
著者:吉見俊哉
発売日:2020年8月17日
価格:1,078円(10%税込)
判型:新書判
ページ数:352
ISBN:978-4-08-721133-7
【著者略歴】吉見俊哉(よしみ・しゅんや)
1957年東京都生まれ。東京大学名誉教授、国学院大学観光まちづくり学部教授。東京大学副学長、同大学大学院情報学環教授などを歴任。社会学、都市論、メディア論、文化研究を主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす。『都市のドラマトゥルギー 東京・盛場の社会史』(河出文庫)、『敗者としての東京——巨大都市の隠れた地層を読む』(筑摩選書)、『さらば東大 越境する知識人の半世紀』(集英社新書)など著作多数。
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