緊急時下の教育、5年間で40億米ドルの資金要請へ 世界人道サミットでユニセフ等が発表 オーランド・ブルーム大使、ウクライナ東部訪問 【プレスリリース】
「子どもたちの願いは学校に戻ること」
※本信は、ユニセフ本部の発信情報を元に、日本ユニセフ協会が翻訳、編集しています。
※本信の原文は、http://www.unicef.org/media/media_91052.html でご覧いただけます。
【2016年5月4日 ニューヨーク/キエフ(ウクライナ)発】
ユニセフ(国連児童基金)親善大使のオーランド・ブルームは、人道的緊急事態の中で子どもたちが直面している、地球規模での教育危機について関心を高めるため、紛争の被害を受けたウクライナ東部を訪れました。
ブルーム大使は、2年以上前に紛争が勃発した地点からわずか3キロメートルの場所にあり、破裂弾が被弾した教室を訪問しました。この地では、およそ58万人の子どもが緊急に支援を必要としており、23万人以上の子どもが家を追われ避難を強いられています。学校や幼稚園の5校に1校が破壊され、あるいは損壊し、教育を続けるための支援が直ちに必要な子どもは30万人に上っています。
世界の学齢期の子どもの4人に1人に相当する4億6,200万人の子どもが、紛争の影響を受ける地域で暮らしているということが新たに明らかになったことを受け、今回の訪問が行われました。
「私が出会った11歳のリアナさんは、教室が破裂弾で攻撃されていた約2週間、明かりも暖房もない寒い学校の地下室に隠れていたといいます。生涯で最も恐ろしい経験から生き延びた今、子どもたちが望むのは、安全で安定した学校生活に戻ることと、将来を思い描くことだけです」とブルーム親善大使が語ります。
緊急時の教育への支援を要請するため、ユニセフなどの依頼を受けて海外開発研究所(ODI)がまとめた『Education Cannot Wait(教育を後回しにはできない)』は、紛争の影響を受ける国々で暮らす幼児から高校生まで(3歳~18歳)のおよそ6人にひとり、もしくは7,500万人が、教育支援を切実に必要としていることを明らかにしています。しかし、平均すると、世界の人道支援要請額のうち教育支援に充てられているのはわずか2パーセントにすぎません。
5月23日、24日にイスタンブールで開催される初めての世界人道サミットでは、緊急時下のすべての子どもたちに学ぶ機会を提供するための、革新的な新基金『Education Cannot Wait』が発表されます。この基金では、5年以内に緊急時下で教育を必要としている1,360万人の子どもたちへの支援のために、40億米ドルの資金を集めることを目標としており、2030年までに7,500万人への支援を目指して行われます。
「教育は、緊急事態下の人生を変えることができます」とユニセフの教育部門チーフ、ジョセフィン・ボーンは話します。「学校に行くことは、子どもたちを人身売買や武装グループによる徴用などの虐待から守り、子ども自身と彼らが暮らすコミュニティの将来への重要な投資にもなるのです。水や食糧、シェルターと同様に、基本的な人道支援の重要な要素の一つとして、国際社会が教育を優先事項として進めるときが来ているのです」
ウクライナ東部や世界の緊急事態下で、ユニセフは子どもたちの安全と将来を守るべく、24時間体制で教育支援を続けています。ユニセフはこれまでに、ウクライナ東部で57の学校の修復や再建を支援し、学用品や机、鉛筆などの不可欠な物資を数十万人の子どもたちに届け、また心理社会的ケアや補習教室などの支援を行ってきました。ユニセフはまた、28万人の子どもたちを対象に、戦闘の最前線に近いコミュニティに散乱する地雷や不発弾の危険を呼びかける情報を伝えています。
ユニセフ・ウクライナ事務所代表のジオバンナ・バルベリスはこう述べています。「ウクライナ東部の多くの子どもたちにとっては、ただ徒歩で学校に行くという行動が、命を落としたり、人生を一変させるようなケガを負うことになりかねません。危機が始まって以来、5万5,000以上の不発地雷、破裂弾、その他の兵器が発見され、撤去されています。そして、その数はほんの氷山の一角であることは明らかです。私たちが目指すのは、すべての子どもたちが安全に学校に通い、学び、遊ぶことができるようにすることです」
ウクライナ滞在中、ブルーム親善大使は、紛争でのつらい経験から立ち直ることができるよう、ユニセフが支援する心理士のカウンセリングを受けている子どもたちにも会いました。「ウクライナ東部の子どもたちは、教育によって、安全で保護された環境で一歩一歩人生を立て直しつつあります。人道的緊急事態の渦中にいるすべての子どもたちに、明るい未来への公平な機会が与えられなければなりません」とブルーム親善大使は語りました。
世界では、3,700万人の小中学生が学校に通えず、紛争や自然災害によって教育施設が閉鎖される事態が続くことで、さらに多くの子どもたちが危険に晒されています。シリアでは、6,000以上の学校が攻撃や軍事使用、または避難所として使用されており、学校としての機能を果たせていません。ナイジェリア北東部やカメルーンでは、1,800校が危機により閉鎖されました。中央アフリカの紛争地では、学校の4分の1が機能していません。
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※緊急時下の教育のための基金:『Education Cannot Wait』について
『Education Cannot Wait』は、ユニセフや各国政府など教育に関するグローバル・パートナーシップにより立ち上げられた、緊急時下の教育を支援するための基金です。危機下で緊急の支援を必要としている子どもたちに教育の機会を提供することを目的に、各国、地域、世界に対して資金支援を呼びかけます。本基金に関する支援要請書は、「教育と開発のためのオスロ・サミット」を受けて、ユニセフ、ノルウェイ、英国、米国の委託により海外開発研究所(ODI)がまとめました。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)
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