15%が、経営継続が危ういと回答~飲食店の2025最低賃金調査~
飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する「飲食店ドットコム」を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証プライム市場:3963)は、飲食店ドットコム会員を対象に、飲食店の最低賃金改定に関するアンケート調査を実施いたしました。
本調査について
調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:299
調査期間:2025年9月8日~2025年9月14日
調査方法:インターネット調査
回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち、69.6%が1店舗運営となっており、店舗の業態は、居酒屋・ダイニングバーを筆頭に多彩に分散しています。また、東京にある飲食店の割合は49.5%(首都圏の飲食店の割合は66.6%)となっています。これらの背景が結果に影響していると推測されます。

調査結果について
■飲食店の約36%が最低賃金の上がり幅が「想定より高かった」と回答
まず、最低賃金の2025年の引き上げ額が全国平均で過去最大の66円となったことについて意見を聞いたところ、「想定より高かった」(35.8%)、「想定通りの上げ幅だった」(36.8%)、「想定より低かった」(4.7%)という結果になりました。上がり幅の高さに驚く飲食店が36%いる一方で、事前に情報収集し、想定していた方がほぼ同程度いることがわかります。

さらに、最低賃金改定について上記のように回答した理由を聞いたところ、様々な意見が寄せられました。
<「想定より高かった」と回答した理由>
・1200円を超えるとは思っていなかった。(東京都/カフェ/3~5店舗)
・前回より大きい上げ幅だった事。(東京都/カフェ/1店舗)
・求人相場や物価からは緩やかな上昇を想定していましたが、それを上回る幅で、粗利率を圧迫する懸念があります。(東京都/焼肉/3~5店舗)
<「想定通り」と回答した理由>
・数カ月前から最低賃金の金額については、社労士等から話があり、想定の範囲に収まった。(埼玉県/和食/31~50店舗)
・東京での物価上昇を考えると、妥当な上がり幅だと思う。それを見越しての時給設定にしているので、この最低賃金の改定でも、今回の時給変更は考えてはいません。(東京都/洋食/1店舗)
・マスコミの報道と政府の方針から想定してはいた。(東京都/和食/2店舗)
<「想定より低かった」と回答した理由>
・この上げ幅では何も変わらない。(東京都/その他/1店舗)
・今回の上昇率では1500円の目標に到達するか微妙な数字だから。(東京都/カフェ/1店舗)
・働いている人はもっとお金を稼げるべき (東京都/洋食/1店舗)
■飲食店の半数が最低賃金改定によって店舗運営に「影響がある」と回答
次に、今回の最低賃金の上がり幅が店舗運営にどの程度影響するかを聞いたところ、「非常に影響あり、経営継続が危ぶまれる」(15.7%)、「やや影響あり、追加施策が必要」(35.1%)と50.8%が店舗運営に影響があると回答しました。一方で、「あまり影響がなく、既存施策で対応可能」(28.1%)、「全く影響なし」(21.1%)という回答も。影響があまりない飲食店も一定数いることがわかりました。

賃金改定による店舗運営への影響について上記のように回答した理由を聞いたところ、さまざまな回答が挙げられました。
<「非常に影響あり」と回答した理由>
・最低賃金層だけでなくベテラン層や割増・社保まで連鎖的に引き上げが必要で、人件費率が上振れ(東京都/焼肉/3~5店舗)
・原材料・電力などの高止まりと重なり、価格転嫁が難しく粗利を圧迫(東京都/焼肉/1店舗)
・人件費の増加が死活問題で、値上げや人員・シフトの見直し等の追加施策が不可避(千葉県/イタリア料理/51~100店舗)
<「やや影響あり」と回答した理由>
・一部は織り込み済みで時給・価格や工数を調整すれば対応可能だが負担増は見込む(東京都/居酒屋・ダイニングバー/6~10店舗)
・103万円の壁などで稼働調整が必要になり、シフト運用に影響(東京都/バー/1店舗)
・少人数運営で直撃は限定的だが、仕入高騰と合わせてじわじわ効いてくる(東京都/フランス料理/1店舗)
<「あまり影響なし」と回答した理由>
・もともと最低賃金を大きく上回る時給水準で運用しており直撃が小さい(埼玉県/和食/1店舗)
・全員月給・固定給中心で最低賃金改定の直接影響が小さい(神奈川県/焼肉/1店舗)
・予約状況を見たシフト調整などで吸収できる(石川県/その他/1店舗)
<「全く影響なし」と回答した理由>
・従業員を雇っていない・外部人員なしで時給発生がない(東京都/フランス料理/2店舗)
・ワンオペのため影響なし(東京都/バー/1店舗)
・家族経営で賃金発生がなく影響なし(新潟県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
■約83%の飲食店が、最低賃金改定の手間・時間は「かからなかった」と回答
続いて、今回の最低賃金改定への対応(社内調整・準備など)について、どの程度の時間と手間を要したか聞いたところ、「多くの手間・時間を要した」(4.7%)、「やや時間・手間を要した」(12.7%)と、17.4%の飲食店が「手間・時間を要した」と回答。一方で、「あまり時間・手間を要しなかった」(38.1%)、「全く時間・手間を要しなかった」(44.5%)という回答も多く見られました。最低賃金改定に関する手間がかからなかった飲食店も約8割いることがわかりました。

前問でそれぞれの回答をした理由と、社内調整や準備の具体的な内容を聞いたところ、下記のような回答がありました。
<手間を要した理由>
・最低賃金が変わることにより、みなし残業の金額が変わることから、給与額内の振り分けを変更するために時間と手間がかかった。(埼玉県/和食/31~50店舗)
・上長への改定の提案をしたが、グループ全体で最低賃金に引っかかるものが多かったため、会社全体での調整に時間がかかった。(東京都/カフェ/3~5店舗)
・次月の売上予測に対して、パートアルバイトのシフト時間調整にかなり手間取っている。(神奈川県/和食/1店舗)
・求人情報誌・HP・店内外POPの金額変更、現スタッフへの周知。(長野県/中華/1店舗)
<手間を要しなかった理由>
・パートアルバイトの時給見直しは必要だったが、それほどの時間・手間はかからなかった。(愛知県/和食/1店舗)
・従業員を雇っていないから。(東京都/フランス料理/2店舗)
・そもそもが、最低より高いので対応してない。(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・毎年の事なので。(大阪府/和食/11~30店舗)
<準備・調整の具体事例>
・時給テーブルの調整、メニュー設計における原価最適化、シフト再編成など(東京都/焼肉/3~5店舗)
・求人媒体・HP・店頭POP変更、現スタッフ告知(長野県/中華/1店舗)
・雇用契約書の作り直し・説明・同意取得(神奈川県/カフェ/1店舗)
・シフト削減・ワンオペ日の設定(神奈川県/ラーメン/1店舗)
・高単価商品の導入、全メニューの見直し、ヒット商品の開発など(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
・キャリアアップ助成金やその他の助成金、補助金申請で手一杯な状況(徳島県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
・各マーケットの市場調査、バックオフィスのシステムセット(東京都/専門料理/101店舗以上)
■約65%の飲食店が、2030年には「最低賃金が1500円以上になっている」と回答
政府は「2020年代中に最低賃金(全国加重平均)を時給1500円へ引き上げる」という目標を掲げていますが、これについて「2030年時点での最低賃金」がいくらになっていると思うか、飲食店に聞きました。
これについて、「全国加重平均1500円(現平均+380円)を超える」(29.4%)、「全国加重平均1500円(現平均+380円)と同等」(35.8%)と回答。65.2%が1500円以上になると予測していることがわかりました。一方で「全国加重平均1500円(現平均+380円)より低い」(21.1%)、「考えていない」(13.7%)という回答もありました。

さらに、上記の回答理由を聞いたところ、さまざまな意見が寄せられました。
<「全国加重平均1500円を超える」と回答した理由>
・物価上昇が著しく、東京では2,000円程度になっても不思議ではないと感じる。(東京都/洋食/1店舗)
・海外との比較や人手不足を踏まえれば、1500円は当然超えていく。(神奈川県/ラーメン/2店舗)
・物価や生活コストを考えると、むしろ1500円を超えていないと問題がある。(東京都/カフェ/1店舗)
<「全国加重平均1500円と同等」と回答した理由>
・物価上昇率(今後5年で10~15%)を見れば、賃金も同等に上がり1500円前後に着地する。(埼玉県/和食/31~50店舗)
・政府の目標値なので、その水準に合わせて実現されるはず。(東京都/そば・うどん/1店舗)
・直近の上げ幅から逆算すると、毎年70~80円の積み上げで同等水準に到達可能。(東京都/専門料理/101店舗以上)
<「全国加重平均1500円より低い」と回答した理由>
・平均+380円は年+76円ペースで5年連続の大幅増。中小・サービス業の生産性を踏まえると現実的ではない。(東京都/焼肉/3~5店舗)
・年80円近い上げを続けるのは無理がある。雇用側が持たない。(東京都/カフェ/2店舗)
・中小零細の倒産・廃業が増えかねず、どこかで引上げペースの抑制が入る。(東京都/和食/2店舗)
■最低賃金上昇への対応策の8割超は「値上げ」
最後に、今後の賃金上昇に備えた対策について聞きました。まず、対策を実施の有無について聞いたところ、「既に実施している」(11.0%)、「実施していないが検討中」(42.5%)と回答。53.5%が何らかの対策を実施(検討)していることがわかりました。一方で、半数近く(46.5%)が「特に考えていない」という結果になりました。
また、「実施(検討)している」と回答した方に具体的な実施(検討)内容を聞いたところ、「商品の価格変更」が82.5%と圧倒的に多く、次いで「仕入先の見直し」(35.6%)、「水道光熱費の節約」(26.9%)が挙げられました。また、人手不足を補う形で「自らが現場に入って人員削減」(25.6%)や「営業時間の変更」(24.4%)といった運営体制の見直しも一定数見られました。

■調査結果の引用時のお願い
・クレジットに「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」
(https://www.inshokuten.com/research/company/)のリンク付与をお願いいたします。
■株式会社シンクロ・フードについて
当社は、”多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる”というビジョンのもと、飲食店経営・運営を支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営しています。テクノロジーを最大限に活用し、飲食店の出店開業・運営に必要な「ヒト・モノ・情報・サービス」など多様な選択肢をシンプル・スピーディに提供していくことで、飲食業界の発展・関わる人のしあわせに貢献してまいります。
【本社】 東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン3階
【代表者】 代表取締役 藤代 真一
【上場市場】 東京証券取引所プライム市場
【URL】 http://www.synchro-food.co.jp/
【運営サイト】
▼飲食店開業・運営支援のサービス
・飲食店の出店・運営支援サイト「飲食店ドットコム(https://www.inshokuten.com/home/ )
・飲食業界専門の求人サイト「求人飲食店ドットコム」(https://job.inshokuten.com/ )
・飲食業界に精通した税理士事務所とのマッチング「飲食店ドットコム 税理士探し」(https://www.inshokuten.com/food-accounting/)
・SNSショート動画アルバイト求人サイト「グルメバイトちゃん」(https://gourmet-baito-chan.com/ )
▼飲食業界を超えて広がるサービス
・店舗デザインのポータルサイト「店舗デザイン.COM」(https://www.tenpodesign.com/ )
・キッチンカーシェア・マッチングサイト「モビマル」(https://mobimaru.com/ )
・インテリア業界や建築業界特化型の求人情報サイト「求人@インテリアデザイン」(https://job.tenpodesign.com/ )
・農業の求人情報サイト「農業ジョブ」(https://agrijob.jp/ )
本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
株式会社シンクロ・フード 広報 今西・大木
Mail:public-relations@synchro-food.co.jp
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