定期借家は安いの?増えているってホント?26年春の住まい探し繁忙期に向けて「定期借家物件」の最新動向をLIFULL HOME'Sが調査

首都圏全体で高まる定期借家の存在感、東京23区で定期借家が多いエリアは渋谷区、港区、品川区

株式会社LIFULL

事業を通して社会課題解決に取り組む、株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は、2026年春の住まい探し繁忙期に向けて賃料が高騰し続けている首都圏の賃貸物件の「定期借家」の最新動向について調査しました。

定期借家契約とは?

・予め賃貸の期間を定めて行う契約のこと。期間満了で契約終了し、更新および途中解約は原則としてできない。

・更新はできないので、継続して住むには再契約が必要となる。

「定期借家」は実際増えている?「定期借家」が多いエリアは?

昨今、首都圏の賃貸市場では掲載賃料の上昇が続いており、契約更新時に賃料が大幅に上がったケースも大きく報道されています。オーナー側も物価高騰や金利上昇に伴い、建物の修繕・管理コスト、借入金返済額などが上昇していることから、物件の賃料改定を検討しているオーナーも少なくないでしょう。賃貸マーケットの多くを占める「普通借家契約」は、期間満了後も更新料を支払うことでそのまま契約更新が可能です。しかし、賃料改定の交渉などオーナー側の負担が大きくなっています。一方で、定期借家物件は、オーナー側の判断で家賃が安いケースも多いとされていますが、入居を続ける際には、再契約を結ぶ必要があるなど、物価が上昇し続けるなかでは契約満了時に新賃料に改定するなど賃貸マーケットの賃料上昇の一因とも目されています。

そこで掲載シェアや賃料推移を調査し、どんなエリアに多いのか?本当に安いのか?といった疑問を明らかにします。

1.首都圏の定期借家

【掲載シェアの推移】首都圏全体で高まる定期借家の存在感、神奈川・埼玉の上昇幅は東京を上回る

2022年1月~2025年11月の間にLIFULL HOME'Sで掲載した賃貸物件のうち、定期借家の年間の平均掲載割合を見たところ首都圏は8.7%でした。なかでも東京都は2025年に9.3%に達し、3年間で3.6ポイント上昇、シェアも1割の大台に迫り、賃貸マーケットでの存在感が大きくなっています。さらに、周辺3県の上昇ペースにも注目すると、神奈川県(8.5%)は3年間で4.1ポイント増、埼玉県(6.6%)は同3.8ポイント増と、いずれも東京都を上回る上昇幅を記録しました。千葉県は5%未満に留まるものの、首都圏の広い範囲で定期借家が急速に浸透しつつあることが分かります。

【掲載賃料の推移】東京の定期借家の賃料は3年で約17%上昇、千葉は神奈川を上回る13.5%上昇

2022年1月~2025年11月の間にLIFULL HOME'Sで掲載した賃貸物件のうち、定期借家の年間の平均掲載賃料を見たところ、首都圏は2022年と比較して2025年は111.4%でした。一都三県で最も上昇したのは東京都で、2022年と比較して116.7%と、毎年5ポイントずつ上昇していることが分かりました。また、千葉県は113.5%で東京都に次いで2番目の伸び率で、2024年から2025年にかけて6.6ポイント上昇しています。

神奈川県(108.2%)と埼玉県(104.7%)では緩やかな上昇がみられます。

2.東京23区の定期借家

【掲載シェアと賃料推移】掲載シェアは9.5%に上昇も普通借家の上昇率が定期借家を逆転、賃料は2022年比で24.5%UP

2022年1月~2025年11月の間にLIFULL HOME'Sで掲載した東京23区の賃貸物件のうち、2025年の定期借家の掲載シェアは9.5%と東京都(9.3%)よりも高い結果となりました。

また、平均賃料においては、すべての期間で定期借家が普通借家を上回って推移しています。しかし、賃料の上昇率に注目すると傾向が逆転しています。2025年の前年比は、定期借家の104.0%に対し、普通借家は109.8%と高い伸びを示しました。さらに2022年の賃料と比較しても、定期借家(119.2%)に比べて、普通借家(124.5%)の上昇幅が大きく、普通借家の賃料相場が急速に上昇していることが分かります。

【区別の掲載シェア】19区で掲載シェアが伸長、渋谷区は18.1%と都内最多に。

2025年1月~11月までにLIFULL HOME'Sに掲載された東京23区の賃貸物件のうち、定期借家の割合が高かった区別にランキング化しました。定期借家のシェアは、23区全体で9.5%と東京都の9.3%を上回っていますが、さらにシェアが10%を超える区は都心6区を含む12区ありました。なかでもシェアが最も高い区は渋谷区の18.1%で区内の掲載物件の2割に迫っています。

2024年と比較し、シェアが伸びた区は23区中19区でした。なかでも3位の品川区は8.5ポイント(6.8%→15.3%)、5位の千代田区は7.5ポイント(5.2%→12.7%)と大きくシェアを伸ばしています。一方で、シェア5%未満は台東区(4.8%)、大田区(3.7%)、墨田区(3.6%)、板橋区(3.4%)、江戸川区(2.6%)の5区のみでした。長く住み続けたいと考える方に住まいを探す際に、月々の賃料だけでなくその物件が普通借家か定期借家か確認することもこれから借りるためのポイントになりそうです。

LIFULL HOME'S総研 チーフアナリスト 中山登志朗(なかやまとしあき)による解説

定期借家物件の掲載シェア拡大が賃料上昇の一因になっているという事実

LIFULL HOME'S総研 副所長 中山登志朗

首都圏では新築&中古マンションの価格高騰だけでなく、賃貸住宅の賃料も明確な上昇を示しています。

主な要因としては、消費者物価指数の上昇に連動して賃貸物件の管理コスト(人件費、光熱費など)が上昇していること、また物件購入を当面検討できなくなったユーザー(専らファミリー層)が次善の策として利便性の良好なエリアで賃貸物件を選択していること、さらにはコロナ禍以降都市圏への回帰が発生し賃貸需要が逼迫していること、が挙げられます。

実際に賃料を引き上げるには、普通借家契約では借地借家法第32条第1項の賃料増減額請求権の規定に沿う必要があり、①租税や管理コストなど負担額の変化 ②物価上昇など経済事情の変動 ③近傍同種の賃貸借建物の賃料との比較を基に賃料の増減可能と定められていますから、明確な根拠を示さず賃料を上げたいという一方的な要求は原則として通りません。また、普通借家契約ではユーザーが継続を希望すれば更新することもできます。

一方、今回“定期借家契約”物件の掲載シェア拡大が調査で明らかになりました。これは期限の定めのある賃貸借契約で、契約期間が満了すれば退去することになりますが、更新は不可でも合意によって“再契約”は可能です。オーナーサイドからすると契約期間の2年を経て再契約の意思があるのなら旧契約から賃料15%アップで、などと申し入れ可能で、その引き上げ分を承諾しなければ自動的に契約終了となります。したがって、定期借家契約は賃料引き上げの理由が明示されなくても良いので、普通借家契約よりも賃料を引き上げやすい制度と言えます。

定期借家契約が制度化されたのは、2000年の特措法制定&借地借家法改定以降です。従来の借地借家法ではユーザー保護を目的として借家権が強く守られていたため、将来自分の家に戻って住みたい場合や、転勤などで短期間貸したい場合でも契約終了時の返還保証がないこと、ユーザーが退去しないと建て替えができないことなど、その“弊害”を解消するのが目的でしたが、25年を経て賃料の引き上げを容易にする手段として活用されているのは、当初の主旨と異なると言わざるを得ません。

定期借家物件のシェアが拡大すれば2026年春の繁忙期においても、さらなる賃料の引き上げが発生する可能性があります。ユーザーが対抗する手段は基本的にありませんから、定期借家物件において再契約する際は、普通借家契約を参考として賃料の引き上げ限度を設定するなど、一定の歯止めをかける必要があるでしょう。

調査概要

集計対象:LIFULL HOME'Sに掲載された首都圏(1都3県)の賃貸物件

集計期間:2022年1月~2025年11月

LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/

LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。

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株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」、不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」などの事業展開を行っています。

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会社概要

株式会社LIFULL

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URL
https://lifull.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区麹町1-4-4
電話番号
03-6774-1600
代表者名
伊東祐司
上場
東証プライム
資本金
97億1600万円
設立
1997年03月