博報堂買物研究所、「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」を実施
食品・飲料カテゴリーでは多くの商品項目で8割以上の生活者が「値上げを実感」「節約を意識」するも、“節約意識が高い人ほど年間支出が多い”という結果に
株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸、以下博報堂)のシンクタンクである博報堂買物研究所は、「売るを買うから考える。」という言葉をスローガンに2003年より活動しています。この度、設立20周年プロジェクトの第一弾として、2021年秋から続く「値上げと物価高騰」にともなう生活者の変化を“意識(アンケート)”と“行動(購買データ)”(※1)の両面から捉える「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」を実施(※2)いたしました。
(※1)モニターにバーコードリーダーを貸与して日々の購買データを収集・分析し、商品購入実態をリサーチするマクロミル社QPR™、およびその協力者へのアンケート配信によるもの。
(※2)各社から値上げが発表されている商品項目を中心に実施。
<調査結果・考察サマリー>
【生活者の値上げ実感】「食品・飲料」カテゴリーでは6商品項目において8割以上の生活者が「値上げを実感」と回答。特に「お菓子・スイーツ」「インスタント食品」「パン・シリアル」では9割を超えた。
【生活者の節約意識】「食品・飲料」カテゴリーの購入において「節約を意識する」生活者は全商品項目で8割を超え、特に「インスタント食品」「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「冷凍調理品」では9割を超えた。
【節約意識と購入金額】「節約意識が高い」人の方が、低い人よりも「お菓子・スイーツ」「アルコール飲料」「調味料」など複数の「食品・飲料」カテゴリーにおいて、「安価な商品を買う」という節約行動をとっているにもかかわらず、年間支出が大きいという傾向があった。「家族構成などにより購入頻度や購入量の調整が難しく購入金額が高くなってしまう人ほど、節約意識が高くなる」、あるいは「安価な商品で我慢をしている分、買う頻度や個数は抑えられず、買い過ぎてしまう」といった生活者のジレンマも推察される結果に。
【12月の購入金額状況】2023年12月は他の月と比較し多くの商品項目で購入金額が増加。特に嗜好性の高い「お菓子・スイーツ」においては、「節約意識が高い」人の方が低い人よりも高価格帯商品の100人あたり購入金額増加率が高い傾向にあった。
<調査結果・考察詳細>
■「食品・飲料」カテゴリーにおいては、多くの生活者が「値上げを実感」「節約を意識」
生活者の実質賃金が上昇しない中、数年にわたって物価高騰・値上げが継続しています。博報堂買物研究所では、物価高騰にともなう生活者の購買行動や消費意識の変化を捉えることを目的に、本調査を行いました。
多くの商品項目において生活者が「値上げを実感」(※3)しており、「食品・飲料」カテゴリー(※4)では6つの商品項目において8割以上、「トイレタリー」カテゴリーと「健康食品/栄養補助・機能性表示食品/トクホ」(※5)ではそれぞれ6割以上の生活者が「値上げを実感」と回答しました。特に、「お菓子・スイーツ」「インスタント食品」「パン・シリアル」における値上げの実感は9割を超えています(図1)。
また、特に値上げの実感が大きかった「食品・飲料」カテゴリーの購入において「節約を意識する」(※6)生活者はすべての商品項目で8割を超え、特に「インスタント食品」「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「冷凍調理品」では9割を超える結果となりました(図2)。
「節約を意識する」人の節約行動としては、「特売・セールで購入」(35.5%)「できるだけ安い商品を買う」(29.5%)の2つの回答が多く、「商品の買い控え」は12.6%に留まりました(図3)。
(※3)「実感している」「やや実感している」の合計
(※4)「インスタント食品」「冷凍調理品」「アルコール飲料」「メニュー専用調味料/料理の素」「パン・シリアル」「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「お菓子・スイーツ」「調味料」の8商品項目のこと
(※5)「洗剤・掃除用品」「生理用品」「インバス用品」「オーラルケア・口内衛生用品」「化粧品・スキンケア」の5商品項目のこと
(※6)「少しは意識して買い物する」「意識して買い物する」「とても意識して買い物する」の合計
■「節約意識が高い」人の方が、購入金額が高くなる商品項目も
また、特に値上げの実感が大きかった「食品・飲料」カテゴリーに注目すると、値上げ前(2020年)と2023年を比較したとき、節約意識の有無によって購入金額の増加率に顕著な差は見られなかったものの、「節約意識が高い」人(※7)は、「節約意識が低い」人(※8)よりも「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「冷凍調理品」「メニュー専用調味料/料理の素」の購入金額が低く、一方で、「食品・飲料」カテゴリーのその他の商品項目では「節約意識が低い」人よりも購入金額が高く、「食品・飲料」カテゴリーにおける年間支出は大きい傾向にあったことがわかりました(図4)。
「お菓子・スイーツ」「アルコール飲料」といった嗜好性が高い商品項目に注目してみると、「節約意識が高い」人の方がいずれの商品項目においても「安価な商品を買う」という節約行動をとっているにもかかわらず、年間購入金額が上昇しています。特に「お菓子・スイーツ」では「節約意識が高い」人の方が年間購入金額が約1,600円高くなっていました。この背景には、「家族構成などにより購入頻度や購入量の調整が難しく購入金額が高くなってしまう人ほど、節約意識が高くなる」、あるいは「安価な商品で我慢をしている分、買う頻度や個数は抑えられず、買い過ぎてしまう」といった生活者のジレンマも推察される結果となりました。
(※7)図2の質問に対し「意識して買い物する」「とても意識して買い物する」と回答した人の合計。
(※8)図2の質問に対し「少しは意識して買物する」「意識して買い物していない」と回答した人の合計。
また、2023年12月は他の月と比較し、多くの商品項目で購入金額が増加しました。嗜好性の高い「お菓子・スイーツ」「アルコール飲料」においては、「お菓子・スイーツ」が約350円増加、「アルコール飲料」が約470円増加するなど特に金額の増加が多く、また、「お菓子・スイーツ」では「節約意識の高い」人の方が「節約意識の低い」人よりも高価格帯商品の100人あたり購入金額増加率が高い傾向にあったことがわかりました(図5)。
<調査結果への所見>
今回の調査では、生活者の変化を“意識(アンケート)”と“行動(購買データ)”の両面からひも解くことにより、多くの生活者が「値上げを実感」し、「節約を意識」しているにもかかわらず、節約行動が物価高騰に追いつかず購入金額の増加につながっている現状が明らかになりました。また、「節約を意識する」人の方が、クリスマスや年末を控える12月といった“特別なタイミング”において普段よりも“ちょっとした贅沢”を楽しむ傾向も見られました。
博報堂買物研究所では、設立20周年プロジェクトとして今後、複数の研究成果の発表を予定し、活動を強化してまいります。また、今後も様々な領域における生活者の意識・行動分析などの知見を蓄積・発信していくとともに、新しい買物行動を生み出すソリューションを提案・実行してまいります。
※本調査リリースについては、後日詳細レポートを買物研究所のHPで発表予定です。
※本調査は博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®(※)」の取り組みのひとつです。
■調査タイトル:博報堂買物研究所「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」
調査対象:15~69歳 男女 かつ マクロミル社QPR™協力者
調査地域:日本全国(沖縄除く)
調査手法:インターネットリサーチ
調査時期:2023年9月~10月
有効回答数:23,878ss
調査委託先: 株式会社H.M.マーケティングリサーチ
回収・集計方法:マクロミル社QPR™協力者全数にアンケートを配信、回答協力者に対して、総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
■購買データ
データソース:マクロミル社QPR™(消費者購買履歴データ)
分析対象者:博報堂買物研究所「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」
対象商品項目:JICFS食品
集計期間:2023年1月1日~2023年12月31日
<博報堂買物研究所について>
https://www.hakuhodo.co.jp/kaimonoken/
企業の「売る」を生活者の「買う」から考え、買物現場の真実に着目し、買物客の本音・買物のツボである「買物インサイト」を起点に、買物欲を満たす「買物シナリオ」を創造し、新しい買物行動を生み出すソリューションを提案・実行する実践的研究所です。「博報堂買物研究所」は、博報堂をはじめとするグループ12社が推進する、オンライン/オフライン領域で生活者に新しい買物体験を提供する戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」の傘下で新しい体制を構築し、“開かれた”買物研究所を目指しています。
<博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ🄬」について>
ショッパーマーケティング・イニシアティブ🄬は、「HAKUHODO DX_UNITED」傘下の博報堂DYグループ12社横断の戦略組織です。12社が有する専門機能と各領域のスペシャリストを結集し、“ひとつながり”のチームとして有機的に実行します。リテールDX(小売/店舗におけるDX)、コマースDX(購買接点のDX)、デジタル販促、リアル販促、ショッパーマーケティングデータ活用等の各対応領域で、流通/小売/メーカーのビジネス成果や売上拡大に貢献し、ショッパーの課題ファーストで生活者に新しい買物体験(=WOW!)を提供する「価値創造型の次世代ショッパーマーケティング」をワンストップで提供いたします。
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