陸前高田市様にて自動音声一斉配信システム「シン・オートコール」の本格運用を開始～防災・減災対策としての導入は全国初～

東日本電信電話株式会社

2023年11月2日 16時05分

東日本電信電話株式会社岩手支店（支店長：後藤高宏、以下「NTT東日本岩手支店」）は、陸前高田市様に対してクラウド・AI技術と「電話」を組み合わせた自動音声一斉配信システム「シン・オートコール」を市職員様向けに提供してまいりましたが、11月5日(日)より住民の皆さまもご利用いただけるよう機能を拡充し、新たな防災・減災ソリューションとして提供(本格運用)を開始いたします。
「シン・オートコール」は、提供開始日に開催される陸前高田市様の防災訓練で活用するとともに、「消防・防災フェスタ2023」においてデモ展示を実施します。
なお、防災分野における「シン・オートコール」の本格運用は全国で初めてとなります。
NTT東日本岩手支店では「シン・オートコール」を活用し、陸前高田市様をはじめとした自治体の防災対策支援に取り組んでまいります。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　記

１．導入の背景と目的

東日本大震災での津波により甚大な被害を受けた陸前高田市様では、津波だけでなく、土砂災害や　河川の氾濫などの災害も発生し、地域防災のあり方が課題となっていました。これまでは、防災行政　無線を用いて避難指示等を行なっていましたが、豪雨時に音が聞き取りにくい、山間地域まで音が届きにくいといった状況であったため、自主防災組織や自治会の担当者が、住民との連絡が取れない場合には各戸を回って安否確認を行っていました。

しかし、この方法は安否確認に時間と労力を要する上に全世帯に連絡するのは不可能であり、住民一人ひとりの安否を確認する上で大きな課題が顕在化しました。

このような課題を踏まえ、陸前高田市様のご協力のもと、NTT東日本岩手支店では2022年3月に矢作町下矢作地区で開催された土砂災害避難訓練において、住民の皆さまが使い慣れた「電話」を媒介とし、さらに双方向通信による伝達と情報収集が可能となる「シン・オートコール」を活用し、一斉連絡を行う防災訓練を行いました。本訓練を通じて「シン・オートコール」を地域住民の皆さまにも体感いただき、各地域の実情を踏まえた意見をお寄せいただきました。また、同年8月には市職員様を対象としてトライアルを開始し、災害対策実務に携わる方の視点からご意見や要望をいただきました。

このように、住民の皆さまや市職員の皆さまから直接お寄せいただいたご意見をもとに、最新の対話APを活用した「はい/いいえ」による安否登録機能や、警戒レベルに応じてサイレン音をならす機能等、「シン・オートコール」にアップデートを加え、陸前高田市様と共にブラッシュアップを積み重ねた　結果、この度、陸前高田市様での「シン・オートコール」の本格運用に至りました。

２．「シン・オートコール」の概要

「シン・オートコール」は最新のクラウド・AI技術と、住民が使い慣れた「電話」を組み合わせた双方向通信サービスです。自治体等が「シン・オートコール」の操作画面上で登録した情報について、登録されている連絡先に一斉に電話をかけたり、SMSを送付することが可能です。

電話の受け取り手は、黒電話等であっても声で応答することが可能です。クラウドを活用したサービスであることから、SMSで情報を送付する場合は、チャットやSNS、地図情報などの連携も可能です。

参考URL https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/ih_column-11.html

３．陸前高田市様における「シン・オートコール」の利用について

陸前高田市様が主催する11月5日(日)の防災訓練での利用を皮切りに、実災害、訓練問わず災害関連の一斉連絡の手段として「シン・オートコール」をご活用いただきます。

陸前高田市様では、避難情報の伝達や、安否の確認について、利用登録者に音声での一斉連絡が発出されます。

安否確認の連絡を受け取った場合、住民は「はい／いいえ」のいずれかを答えるだけで安否登録が　可能となります。「いいえ」を回答した場合は、次に症状を質問するといった双方向のやり取りを実現します。

また、最新の対話AIを活用することで、住民からの「もう一度」などという言葉も認識します。加えて、住民からの音声回答をテキスト化し、「痛い」といった言葉が含まれていると、その箇所を赤字表記して危険な状況を迅速に把握し、次の対応に繋げることが可能です。これらも住民の皆さまのご要望を踏まえて「黒電話でも使えるサービス」を具体的な形で実現した一例となります。