3日間のラクチュロース摂取が大腸内のビフィズス菌を増やすことを確認
~科学雑誌『Microorganisms』掲載~
森永乳業は長年にわたり、ヒトの大腸内にすみ、様々な健康効果をもたらしていると考えられているビフィズス菌や、そのビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖の一種、ラクチュロース※1の基礎研究を行っております。このたび、3日間※2のラクチュロース摂取が大腸内のビフィズス菌を増やすことを臨床試験によって明らかにしましたので、ご報告いたします。なお、本研究成果は、科学雑誌「Microorganisms」に特集「アジアにおける最先端の腸内細菌叢研究」の1つとして 2022年8月26日に掲載されました※3。
1.研究背景
ヒトが消化、吸収することができないラクチュロースはそのまま大腸に到達し、善玉菌の代表であるビフィズス菌を増やすことが知られており、プレバイオティクス※4の一種です。これまでの研究で、ラクチュロースを継続して摂取することで大腸内のビフィズス菌が増えることは明らかにされていましたが、摂取後どれだけの期間で大腸内のビフィズス菌が増えるのかは、詳しく調べられていませんでした。直接大腸内のビフィズス菌を観察することはできないことから、ラクチュロース摂取後、何日で便中細菌叢のビフィズス菌占有率(便中細菌叢に占めるビフィズス菌の割合)が高まるのかを確認するための研究を行いました。
2.研究結果
摂取開始から1日後はラクチュロース摂取とプラセボ摂取とでは差がないものの、摂取開始から2日後にはプラセボ摂取と比較して統計学的に有意に高いビフィズス菌占有率、すなわち大腸内のビフィズス菌が増えた状態となり、その後も2週間の摂取期間終了まで有意に高いビフィズス菌占有率となっていました(図)。
図.便中細菌叢のビフィズス菌占有率
* P<0.05、** P<0.005 は、プラセボ摂取と比較して有意差があることを示しています。
3.研究方法
・対象者 : おなかの中にビフィズス菌を有する健康な日本人男女36名
(女性25名、男性11名、21歳~61歳の平均年齢41.7歳)
・試験デザイン : ランダム化二重盲検プラセボ対照2剤2期クロスオーバー試験
・試験食品摂取 : 1日当たり4 gのラクチュロース顆粒もしくはプラセボ顆粒(グルコース顆粒)を、自由なタイミングで2週間継続摂取
・主要評価項目 : 便中ビフィズス菌占有率
・方法 : 排便時に便を採取し、便から抽出した腸内細菌のDNAを用いて次世代シーケンサー※5による菌叢解析を実施し、ビフィズス菌の占有率を算出して比較
4.今後の展望
森永乳業は、1960年に発売した育児用ミルク「森永Gドライミルク」に、お子様のおなかの中のビフィズス菌を増やすことを目的としてラクチュロースを配合しました。それ以来、60年以上に渡ってラクチュロースの研究を進めるとともに、様々な商品に応用し、現在では、特定保健用食品の関与成分や機能性表示食品の機能性関与成分として、健康を支える食品にも配合されています。今後もラクチュロースの価値を深く研究し、人々の健康に貢献できる商品をお届けしてまいります。
PDF版はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d21580-20220915-f56764308303a0299748905227cc4393.pdf
<参考>
※1 ラクチュロース
牛乳に含まれる乳糖を原料として作られる難消化性のオリゴ糖。一緒に摂取したカルシウムの吸収を高めることも知られている。
※2 3日間の定義
試験食品の摂取開始から2日後(試験食品摂取3日目に相当)には有意に高いビフィズス菌占有率となっているが、試験食品摂取は自由なタイミングとしていたことから、試験食品の摂取開始から2日後のビフィズス菌占有率のデータには、3日目の試験食品を摂取する前に便サンプルを採取された被験者と、3日目の試験食品を摂取した後に便サンプルを採取された被験者の両方が含まれている。そのためここでは、2日後のビフィズス菌占有率の結果を得るために必要な試験食品の最長摂取期間として、3日間と表現した。
※3 論文タイトル・著者・DOI
「Lactulose Ingestion Induces a Rapid Increase in Genus Bifidobacterium in Healthy Japanese: A Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled Crossover Trial」
Yohei Sakai, Hiroshi Ochi and Miyuki Tanaka
https://doi.org/10.3390/microorganisms10091719
※4 プレバイオティクス
健康上の利益をもたらす宿主(ヒト)の腸内細菌をはじめとした微生物によって選択的に利用される基質(エサ)。
※5 次世代シーケンサー
シーケンサーは DNA や RNA の配列を解析することが可能な装置だが、次世代シーケンサーは従来の装置に比べて飛躍的に多くの配列を解析することが可能であり、複雑な腸内細菌の遺伝子配列などを網羅的に解析することが可能な機器。本研究では、各参加者個人の腸内細菌叢中に占めるビフィズス菌の割合(占有率)を算出するのに活用した。
ヒトが消化、吸収することができないラクチュロースはそのまま大腸に到達し、善玉菌の代表であるビフィズス菌を増やすことが知られており、プレバイオティクス※4の一種です。これまでの研究で、ラクチュロースを継続して摂取することで大腸内のビフィズス菌が増えることは明らかにされていましたが、摂取後どれだけの期間で大腸内のビフィズス菌が増えるのかは、詳しく調べられていませんでした。直接大腸内のビフィズス菌を観察することはできないことから、ラクチュロース摂取後、何日で便中細菌叢のビフィズス菌占有率(便中細菌叢に占めるビフィズス菌の割合)が高まるのかを確認するための研究を行いました。
2.研究結果
摂取開始から1日後はラクチュロース摂取とプラセボ摂取とでは差がないものの、摂取開始から2日後にはプラセボ摂取と比較して統計学的に有意に高いビフィズス菌占有率、すなわち大腸内のビフィズス菌が増えた状態となり、その後も2週間の摂取期間終了まで有意に高いビフィズス菌占有率となっていました(図)。
図.便中細菌叢のビフィズス菌占有率
* P<0.05、** P<0.005 は、プラセボ摂取と比較して有意差があることを示しています。
3.研究方法
・対象者 : おなかの中にビフィズス菌を有する健康な日本人男女36名
(女性25名、男性11名、21歳~61歳の平均年齢41.7歳)
・試験デザイン : ランダム化二重盲検プラセボ対照2剤2期クロスオーバー試験
・試験食品摂取 : 1日当たり4 gのラクチュロース顆粒もしくはプラセボ顆粒(グルコース顆粒)を、自由なタイミングで2週間継続摂取
・主要評価項目 : 便中ビフィズス菌占有率
・方法 : 排便時に便を採取し、便から抽出した腸内細菌のDNAを用いて次世代シーケンサー※5による菌叢解析を実施し、ビフィズス菌の占有率を算出して比較
4.今後の展望
森永乳業は、1960年に発売した育児用ミルク「森永Gドライミルク」に、お子様のおなかの中のビフィズス菌を増やすことを目的としてラクチュロースを配合しました。それ以来、60年以上に渡ってラクチュロースの研究を進めるとともに、様々な商品に応用し、現在では、特定保健用食品の関与成分や機能性表示食品の機能性関与成分として、健康を支える食品にも配合されています。今後もラクチュロースの価値を深く研究し、人々の健康に貢献できる商品をお届けしてまいります。
PDF版はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d21580-20220915-f56764308303a0299748905227cc4393.pdf
<参考>
※1 ラクチュロース
牛乳に含まれる乳糖を原料として作られる難消化性のオリゴ糖。一緒に摂取したカルシウムの吸収を高めることも知られている。
※2 3日間の定義
試験食品の摂取開始から2日後(試験食品摂取3日目に相当)には有意に高いビフィズス菌占有率となっているが、試験食品摂取は自由なタイミングとしていたことから、試験食品の摂取開始から2日後のビフィズス菌占有率のデータには、3日目の試験食品を摂取する前に便サンプルを採取された被験者と、3日目の試験食品を摂取した後に便サンプルを採取された被験者の両方が含まれている。そのためここでは、2日後のビフィズス菌占有率の結果を得るために必要な試験食品の最長摂取期間として、3日間と表現した。
※3 論文タイトル・著者・DOI
「Lactulose Ingestion Induces a Rapid Increase in Genus Bifidobacterium in Healthy Japanese: A Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled Crossover Trial」
Yohei Sakai, Hiroshi Ochi and Miyuki Tanaka
https://doi.org/10.3390/microorganisms10091719
※4 プレバイオティクス
健康上の利益をもたらす宿主(ヒト)の腸内細菌をはじめとした微生物によって選択的に利用される基質(エサ)。
※5 次世代シーケンサー
シーケンサーは DNA や RNA の配列を解析することが可能な装置だが、次世代シーケンサーは従来の装置に比べて飛躍的に多くの配列を解析することが可能であり、複雑な腸内細菌の遺伝子配列などを網羅的に解析することが可能な機器。本研究では、各参加者個人の腸内細菌叢中に占めるビフィズス菌の割合(占有率)を算出するのに活用した。
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