オイシックス・ラ・大地のCVC「Future Food Fund」培養シーフードの研究開発を行うForsea Foodsへの投資を実行
~うなぎなどの培養シーフード開発による伝統的な食文化と持続可能な水産業への貢献を期待~
本件は、現在設立中のファンド「Future Food Fund 2号」における第7号投資案件であり、今後も食の領域でチャレンジするスタートアップ企業に、更なる投資を行ってまいります。
(※1:Future Food Fund 2号投資事業有限責任組合)
■年々減少しているうなぎの供給量
近年、日本国内だけでなく海外でも人気のうなぎは、世界的にも絶滅が危惧されています。(※2)また、日本国内のうなぎの供給量は、平成12年の約16万トンに対し、近年は約5万トンまで大きく減少しています。(※2)このような水産の問題に対し、Forsea Foodsは独自の細胞培養技術を持って課題解決のアプローチを図っています。
▼日本におけるウナギ供給量の推移(※2)
資料:農林水産省「漁業・養殖業生産統計」及び財務省「貿易統計」を基に水産庁にて推計
(※2:水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について(2023年12月)」より)
■Forsea Foodsの独自技術、細胞培養について
Forsea Foodsは、細胞培養の技術開発により「魚介類の個体数減少による負の連鎖を断ち切り、その潮流を変えよう」というミッションのもと活動しており、近年供給量が減っているうなぎの培養肉の開発に成功しているほか、今後様々な魚種の培養生産にも取り組んでいく計画を進めています。
細胞培養の実用化という側面では、コストや製造キャパシティの問題が課題となることがあります。Forsea Foodsは脂肪と筋肉から成る3次元のマイクロ組織形成を実現するOrganoid(オルガノイド)技術の応用により、製造プロセスを単純化、スケーラビリティを向上し製造コストの抑制に成功しました。
◾️投資背景について
Forsea Foodsの新しい技術開発により、持続可能な水産業、また日本の伝統的な食文化を守ることへの期待が投資背景の一つにあります。
また、Forsea Foodsの本社があるイスラエルは近年、気候変動に対応するべく地球環境における負荷の大きい食領域でのイノベーションに力を入れています。現在イスラエルを拠点に250以上のフードテックスタートアップ企業が食関連テクノロジー・製品を開発し世に送り出しており、フードテックにおいて世界を牽引しています。政府による支援も充実しており、Forsea Foodsはイスラエル政府が推進するフードテックのインキュベーションプログラム「The Kitchen Hub」にも採択され資金や事業開発面でのサポートを受けています。
今回の出資を機に支援提供や協業を通じる中で、彼らのフードテックへの取り組み方から多くを学び、関係を築き、今後イスラエルと日本が食領域でより良い世界の食のあり方を一緒に実現していければと考えています。
Future Food Fundとしては、Forsea Foodsの培養うなぎをはじめとする培養シーフードの流通に関する規制整備に関するサポート、また日本で流通が可能になった場合にはオイシックス・ラ・大地が運営するサービスでの販売や共同商品開発、Future Food Fundに出資しているLPとの協業についても積極的にサポートしてまいりたいと思います。
中東での武力衝突により、パレスチナとイスラエルの市民に多数の犠牲者が出ています。被害にあわれている方々が一刻も早く安心して過ごせる日が来ることを願っています。
■Forsea Foods, Ltd.(フォーシーフーズ)
本社:Rehovot, Israel
代表者:代表取締役CEO 兼 創業者 Roee Nir(ロイ・ニアー)
会社HP : https://www.forseafoods.com/
培養シーフードの研究開発を行うイスラエルのスタートアップ企業。培養うなぎの開発に成功し、日本をはじめアジアでの事業展開を視野に活動中。
■Forsea Foods, Ltd.
代表取締役CEO 兼 創業者Roee Nir氏 コメント
私たちはFuture Food Fundが私たちのこれからの長期的なパートナーとして参画を決断くださったことを大変嬉しく思っています。
Future Food Fundは、環境への影響を最小限に抑えて、水産物を生産する私たちの画期的な技術に信頼を寄せています。特許を取得した弊社独自のOrganoid(オルガノイド)技術により、私たちは消費者が求めるような安全性をもった、より強靭な食料システムの構築に貢献することができると考えています。
■Forsea Foods, Ltd.アジアでの事業展開における責任者
杉崎麻友氏 コメント
Forsea Foodsは細胞を育てて魚・シーフードを生産する、細胞水産業の会社です。いわゆる培養肉のお魚バージョンの製品を開発しています。
私は三重県出身で、幼少期から様々な種類の魚介類を食してきましたが、深刻な気候変動で海の環境が目まぐるしく変わる中、今のままでは同じバラエティの魚種を食べ続けられない未来が来てしまうと危惧しています。30年後にも豊かな食文化を継承していくためには、科学技術で多角的に解決策を見出していくことが重要だと考えます。そして、Forsea Foodsはその高度なテクノロジーを社会実装できる優秀な人材が揃ったチームだと確信しています。
新たな選択肢のひとつとして、消費者の皆様においしく、安全な食を届けられるよう、尽力してまいります。また、代替の枠にとらわれず、「細胞(セル)」という食材を使ってこそ実現できる新しい食の可能性を、Future Food Fundをはじめとするパートナーの皆様と共に創り出していきたいと考えています。
■Future Food Fund 投資担当 長谷川 コメント
培養肉の大きな課題の一つとして常に挙がるのが高い生産コストです。今回出資させて頂いたForsea Foodsは、コスト高を招いている要素やプロセスの大幅削減・効率化を可能にする独自のOrganoid技術を開発しています。当該技術が商業規模での製造にも対応できるようになると、将来の水産物製造において品質と価格の安定、また海洋の環境や資源における負荷軽減など多方面で大きなインパクトがもたらされると考えています。
Forsea Foods社では今後様々な魚種の細胞培養生産を予定していますが、参入する最初の市場としてシーフードの世界最大の市場であるアジアに着目、また魚種の中でもまず高付加価値のうなぎを選択した点を興味深く感じています。完全養殖が難しく現在絶滅危惧種になっているうなぎのような種においては、養殖技術の発展や海洋資源保護の動きもさることながら、細胞培養による生産も日本の食文化を未来につなぐ重要な手段の一つになり得ると考えています。人にとってのシーフードの生産・消費を持続可能なものにしつつ地球環境、海洋生態系の保護にも貢献できる点、また弊ファンドとして日本から多くのサポートをご提供出来ると判断し、出資に至りました。
Future Food Fund株式会社について
Future Food Fund株式会社は、2019年8月に日本の食のスタートアップエコシステムを作る為に、フードイノベーション領域に特化した国内外のスタートアップ企業への出資を目的としたCVCファンドを運営する投資子会社として、オイシックス・ラ・大地株式会社により設立されました。パートナー企業とともに、国内外の先進的な食・農・ヘルスケア領域への積極的な投資と、販売や商品開発などの支援も可能としており、日本国内で、スタートアップ企業を支援するエコシステムの構築を目指しています。
(「Future Food Fund」サイトURL:https://futurefoodfund.co.jp/)
オイシックス・ラ・大地株式会社について
オイシックス・ラ・大地株式会社(代表:高島宏平)は、有機・特別栽培野菜、添加物を極力使わない加工食品など安心・安全に配慮した食品の宅配サービスを「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の 3ブランドで展開しています。
当社は「これからの食卓、これからの畑」を理念に掲げ、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する事業を推進しています。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 経営情報
- ダウンロード