企業の派遣社員の指揮命令者400人に聞いた「派遣社員の早期離職に関する調査」
1年間で一部署(*1)あたり平均5.8人が「組織文化のミスマッチ」を理由に早期離職/失われる想定コストは日本全体で年間9兆円以上であることが明らかに
人財サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの日本法人で、総合人事・人財サービスを展開するアデコ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平野 健二)は、この度、日本全国の企業で派遣社員への指揮命令を行っている400人を対象にした「派遣社員の早期離職に関する調査」を実施しました。
*1:本調査では、「部署」を「部以下の組織」と定義したうえで、調査を実施いたしました。
【調査結果のポイント】
派遣社員の指揮命令者の約9割が、派遣社員の受け入れに悩みや課題があると回答
受け入れにあたり「経験やスキル」を重視するにも関わらず、「スキルのミスマッチ」に悩む企業が多い
1年間で一部署あたり平均5.8人の派遣社員が、「組織文化のミスマッチ」を理由に早期離職
失われる想定コストは、日本全体で年間9兆464億6090万4994円(*2)にのぼることが明らかに
派遣社員の指揮命令者の半数以上が、早期離職による「余計な引継ぎ業務が発生する」ことを課題に感じている
派遣社員の早期離職対策として、「業務内容や範囲を明確にし、説明機会を作ること」に取り組んでいる企業が多い
約9割が「、派遣社員との条件面・価値観のマッチ度を事前に測定すること」が早期離職対策になると期待
*2:以下の条件で算出
【日本全体で失われる想定コストの計算式】
企業数×組織文化のミスマッチによる早期離職者の年間平均人数×派遣社員1人が6か月以内に離職した場合に失われる想定コスト
【組織文化のミスマッチによる早期離職者の年間平均人数】
5.8人(本調査におけるスクリーニング調査により算出)
【派遣社員1人が6か月以内に離職した場合に失われる想定コスト】
1,382,844円(アデコが独自に算出)
【企業数】
367万4千社(経済センサスより引用)×30.7%(派遣社員を受け入れている企業の割合・本調査でのスクリーニング調査より)
経済センサス(総務省):
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531005/20220531005-1.pd
<調査結果についてのコメント>
今回の調査の結果について、アデコ株式会社 ピープルバリュー本部長 籾山 直威は、次のように話しています。「日本国内では、2014年以降、有効求人倍率が1倍を下回ったことがなく、求職者に有利な売り手市場の状態が続いています。コロナ禍で大きく落ち込んだときでも、1倍を切ることはありませんでした。労働力人口は今後も減少することが見込まれており、しばらくは売り手市場が続くと考えられます。
このような状況のなか、企業は様々な方法で人財の確保に動いています。中途入社の即戦力人財の採用では、求職者に直接コンタクトするダイレクトリクルーティングや、自社の従業員からの紹介で採用するリファーラル採用を採り入れる企業が大きく増加しています。新卒人財の採用では、内定を辞退した学生に対し、一定期間中に中途採用に応募した場合は他の候補者よりも優遇すると伝える企業も出てきています。
一方、人財不足の解消を目指す企業にとって重要なのは、採用だけではありません。採用した人財が定着するかどうかも重要なポイントであり、人財の定着を左右する主な要素のひとつが、カルチャーフィットです。カルチャーフィットとは、企業や組織の文化・風土に、人財の価値観や考え方がフィットしていることを表す言葉です。そして、カルチャーフィットは、派遣社員の定着にも大きな影響を及ぼします。
今回当社が行った調査では、企業の約9割が、「人財派遣サービスを活用する上で、企業・組織風土(カルチャー)とのミスマッチに起因する派遣社員の早期離職を課題だと感じる」と回答しました。派遣社員の早期離職を課題だと感じる企業がこれほど多いのは、早期離職によって多くのコストが失われるためです。当社が独自に行った試算では、派遣社員1人が6か月以内に離職した場合に失われる想定コストは、130万円を超えることがわかっています。企業にとって大きな負担であることはもちろんですが、派遣社員も安定した環境で働くことができないため、スキルを伸ばすことが難しくなり、キャリアの開発にブレーキがかかってしまいます。
今回の調査では、企業の約9割が「派遣社員の価値観と企業・組織風土(カルチャー)をそれぞれ数値化・可視化したうえでマッチングすることで、派遣社員の早期離職を減らすことができると思う」と回答しています。派遣社員の受け入れにあたって、カルチャーがフィットしているかどうかという点に着目することで、派遣社員のキャリアの開発という観点からも、また企業における派遣社員の定着率の向上と生産性向上という観点からも、派遣社員と企業に大きなベネフィットをもたらすものと考えられます」
アデコ株式会社 ピープルバリュー本部長
籾山 直威
2003年、サンダーバード国際経営大学院卒。2022年より現職。現職就任までの5年間は、ゴディバ・ジャパン株式会社においてHR Director、日本・ベルギー・オーストラリア・ニュージーランド・韓国を統括するグループHRヘッド、常務執行役員を歴任。2014年から約3年間は、アデコ株式会社にHR Development Directorとして在籍し、企業文化の醸成、採用活動やトレーニング、タレントマネジメントを通じた社員の人財開発および企業の成長に貢献。それ以前は、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社や日本ヒルティ株式会社など、複数の多国籍企業においてタレントマネジメントや組織開発、制度設計に従事した経験を持つ。
<調査結果詳細>
1. 派遣社員の指揮命令者の約9割が派遣社員の受け入れに悩みや課題があると回答
派遣社員の受け入れで経験やスキルを重視しているにも関わらず、スキルのミスマッチに悩む企業が多いことが判明
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「派遣社員の受け入れにおいて悩みや課題はありますか」と質問したところ、約9割となる89.1%が「ある」(ある:46.3%、どちらかといえばある:42.8%)と回答しました。
続いて、前問で「派遣社員の受け入れにおいて悩みや課題がある」と回答した派遣社員の指揮命令者356人に対し、「派遣社員の受け入れにおいて、どのような悩みや課題がありますか」と質問したところ、1位は「スキルのミスマッチが起きやすい」(51.1%)、2位は「自社に適した人財の受け入れが難しい」(42.7%)、3位は「早期離職が起きやすい」(37.4%)という結果になりました。
一方、「派遣社員の受け入れにおいて、重視していることは何ですか」と質問に対しては、1位が「経験やスキル」(52.5%)となっており、経験やスキルを重視しているにも関わらず、スキルのミスマッチが起きやすいと考えていることがわかりました。
2. 1年間で一部署あたり平均5.8人が「企業・組織風土とのミスマッチ」を理由に早期離職
失われる想定コストは、日本全体で年間9兆464億6090万4994円にのぼることが明らかに
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「人財派遣サービスを活用する上で、企業・組織風土とのミスマッチに起因する派遣社員の早期離職を課題だと感じることはありますか」と質問したところ、88.5%が「ある」(ある:38.5%、どちらかといえばある:50.0%)と回答しました。
さらに、「企業・組織風土とのミスマッチを理由に早期離職した人数はどのくらいですか」と質問したところ、平均で5.8人となりました。この結果に基づき、企業・組織風土とのミスマッチによる早期離職によって失われる想定コストを算出したところ、日本全体で年間9兆464億6090万4994円にのぼることが明らかとなりました。
3. 指揮命令者の半数以上が、派遣社員の早期離職者による「余計な引継ぎ業務が発生する」ことを課題に感じている
派遣社員の早期離職対策として、「業務内容や範囲を明確にし、説明機会を作ること」に取り組んでいる企業が多い
「企業・組織風土とのミスマッチが理由で早期離職した派遣社員がいる」と回答した全国の派遣社員の指揮命令者369人に対し、「派遣社員の早期離職が発生することで、どのような損失がありますか」と質問したところ、「余計な引継ぎ業務が発生する」(53.4%)がトップとなりました。受け入れや教育のコスト以上に、引き継ぎの発生を課題に感じている企業が多いことが伺えます。
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「派遣社員の早期離職を防ぐための対策として、行っていることはありますか」と質問したところ、1位は「業務内容や範囲を明確にし、説明機会を作る」(38.4%)、2位は「派遣社員との条件面でのマッチ度を事前に測定する」(36.5%)となりました。
4. 派遣社員の早期離職の対策としては、条件や価値観のマッチ度が重要
指揮命令者の約9割が、「派遣社員との条件面・価値観のマッチ度を事前に測定すること」に期待
全国の派遣社員の指揮命令者400人に対し、「派遣社員の早期離職を防ぐために、今後どのような対策をとることが有効だと思いますか」と質問したところ、1位が「派遣社員との条件面のマッチ度を事前に測定する」(36.5%)、2位が「派遣社員との価値観の面でのマッチ度を事前に測定する」(36.3%)となりました。
さらに、「派遣社員の価値観と企業・組織風土をそれぞれ数値化・可視化したうえでマッチングすることで、派遣社員の早期離職を減らすことができると思いますか」と質問したところ、約9割となる87.3%が「そう思う」(そう思う:34.0%、どちらかといえばそう思う:53.3%)と回答しました。
※本リリースに基づく内容をご掲載の際は、必ず「アデコ株式会社調べ」と明記していただきますようお願いいたします。
※本調査の回答結果はすべて小数点第2位を四捨五入して算出したパーセント表示を行っているため、数値の合計が100%にならない場合があります
【調査概要】
調査対象:全国(派遣社員の受け入れに関する決定権があり、派遣社員への指揮命令を行う担当者)
サンプル数:400人
調査方法:インターネット調査
実施時期:2024年2月2日~4日
調査実施会社:株式会社シグナル
Adeccoについて
Adeccoは、世界60の国と地域で事業を展開する人財サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの事業ブランドとして、人財派遣、アウトソーシング、HRソリューションの各サービスを提供しています。日本では、Adecco Group Japanのビジョンである「『人財躍動化』を通じて、社会を変える。」の実現を目指し、それぞれのサービスの革新を図りながら、すべての働く人々のキャリア開発を支援するとともに、企業の多岐にわたる業務の最適化と業績向上をサポートしています。Adeccoに関するより詳しい情報は、https://www.adecco.co.jpをご覧ください。
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