<イベントレポート>「なぜ、サステナブルは広がらないのか?」オーガニックコットンの実態と富裕層インサイトから考える、明日へのアクション

ハースト婦人画報社が社内外横断のサステナビリティ勉強会を開催

株式会社ハースト婦人画報社

株式会社ハースト婦人画報社(本社:東京都港区、代表取締役:ニコラ・フロケ)は、6月の環境月間に際し、「なぜ、サステナブルは広がらないのか?」をテーマにしたサステナビリティ勉強会を6月30日(火)にオンライン開催いたしました。 

本勉強会には、ゲストとしてスタイレム瀧定大阪株式会社 ORGANIC FIELD室室⾧の髙森俊滋氏が登壇。商品開発、仕入れ、情報発信、販売など、アパレルサプライチェーンを横断する社内外の関係者とともにファッション業界の課題を多角的な視点から捉え直し、明日への具体的なアクションへ繋げることを目的として実施いたしました。 当日は、お取引先企業やメディア関係者を含め、総勢303名が参加いたしました。

6月の環境月間に際し「なぜ、サステナブルは広がらないのか?」をテーマにサステナビリティ勉強会を開催

■ファッションサプライチェーンの仲間として『共に学び、共に考える場』に

ハースト婦人画報社 社長室 コーポレート コミュニケーションマネージャー 高野由絵

会の冒頭、ハースト婦人画報社 社長室 コーポレート コミュニケーションマネージャーの高野由絵が登壇し、開催趣旨を説明しました。
「ファッション業界全体で今もっとも向き合うべきテーマであるサステナビリティは当社およびELLEブランドにとって重要なDNAの一つです。今回、本勉強会開催のきっかけは、当社のECサイト「ELLE SHOP」が今年のアースデイに展開した「コットン・イン・コンバージョン(CIC)」を使用したTシャツのプロジェクトでした。この企画を通じて、コットンのサプライチェーンに関する課題やサステナブルな商品が広がりにくい背景について、私たち自身が多くの気づきを得ました。その学びを社員だけでなく、お取引先やメディアの皆さまと共有し、同じファッションサプライチェーン上に存在する仲間として共に学び、共に考える場にしたいと考えています」。

続いて、ELLE SHOPマーチャンダイジング部の副ジェネラルマネージャーの堀中朋之より、スタイレム瀧定大阪および人気5ブランドとのコラボレーションによるTシャツ企画の背景と、現場でのリアルなコストの壁について語られました。

「企画当初は『サステナブル素材を使うことで価格が高くなるのではないか』という懸念が当然ありましたが、多少コストが高くなったとしても、今回の企画は絶対に実行しようと決めていました。それは、スタイレムさんの綿花農家を救う取り組みに深く共感し、メディアコマースである「ELLE SHOP」として、これは広く伝えていかなければならないと考えたからです。実際に発売したところ、生産枚数自体は多くなかったものの、すでに300枚以上が実売。追加生産に踏み切ったブランドもあり、サステナブルな取り組みに興味をもった新規顧客の購入も一定数みられました。企業側がコストを理由に足踏みするのではなく、強い想いを持って一歩を踏み出せば、お客様はしっかりと応えてくださるという確かな手応えを感じました」。

ハースト婦人画報社 エル・ショップ マーチャンダイジング部 副ジェネラルマネージャー 堀中 朋之

■コットンの抱える課題 

〜オーガニックコットンと「コットン・イン・コンバージョン」~

第1セッションでは、ゲストのスタイレム瀧定大阪株式会社 ORGANIC FIELD室室長の髙森俊滋氏より、レギュラーコットンが抱える環境・社会課題と、オーガニックコットンの現状についてお話しいただきました。


「コットン栽培は通常、大量の水の使用と化学肥料や農薬の散布が主要因となり、様々な環境負荷を引き起こします。温室効果ガスの排出や土壌被害、生態系の破壊などが現状も問題視されています。社会的な面では、生産者の経済的困窮や児童労働・強制労働に加え、防護服なしで農薬を浴びるなどの危険な労働環境が深刻な問題になっています」。

スタイレム瀧定大阪株式会社 ORGANIC FIELD室室⾧ 髙森俊滋氏

■オーガニックコットンが普及しない理由と「3年の壁」

また、オーガニックコットンの普及が進まない最大の原因として、認証取得に伴う時間と経済的なハードルが指摘されました。

髙森氏:「コットンがオーガニックコットンとして第三者認証を取得するためには、化学肥料や化学農薬を3年以上使用していない土壌で栽培される必要があります。この約3年間の移行期間中、農家は実質オーガニック農法で育てているにもかかわらず、認証が下りるまでは“オーガニック”として販売できません。そのため市場では安いレギュラーコットンとして買い叩かれてしまいます。リスクばかりが大きく、十分な対価を得られないため、農家の人たちが挑戦できないのが普及しない最大の原因です」。

この「3年の壁」を救うソリューションとして提示されたのが、オーガニック栽培への移行期間中に収穫された「コットン・イン・コンバージョン(CIC:転換期コットン)」です。

髙森氏:「スタイレムではこの移行期のコットンを全量買い取り、農家のオーガニック転換を支援する『ORGANIC FIELD®』という取り組みを展開しています。よく『オーガニックだから肌に優しい』と思われがちですが、医学的な肌への優しさはレギュラーコットンと変わりません。また、完成したCICとオーガニックコットンは、見た目も品質も耐久性もまったく遜色ありません。服としてのクオリティも加工技術で高い品質に仕上げておりますので、安心してお取り扱いいただけます。認知拡大と継続的な取り組みが今後の最大の課題です」 。

ORGANIC FIELD®は、オーガニック栽培への転換期間中に収穫されたコットン(CIC)にプレミアムを加えて買い取ることで、農家の経済的負担を軽減し、オーガニック栽培への移行を支援する取り組みです。農薬に依存しない栽培への転換によって農家の健康面や労働環境の改善にもつながっています。


■1.3~1.4倍の価格許容度と、消費者の共感を生む“背景にあるストーリー”

続くトークセッションでは、「なぜサステナブルは広がらないのか?」をテーマに、ハースト婦人画報社 社長室室長兼サステナビリティマネージャーの大竹紘子、および ELLE コマースエディターの椿原里咲が登壇。事前アンケートと当社の「サステナブル消費行動(B2L)レポート」※をもとに、商品開発と情報発信の両面からディスカッションを行いました。

大竹はB2Lレポートの分析結果をもとに、サステナブル商品に対する価格許容度は通常価格の約1.3~1.4倍である一方、消費者がサステナブルな商品を選ぶ際に重視しているのは、サステナブルファッションの本質である「長く着られること」や「高品質であること」であると説明しました。また、ものづくりに携わる人々や生産背景への関心も高く、「サステナブルという言葉だけではなく、その商品が生まれたストーリーや価値を誠実に伝えることが、消費者の“共感”につながる」と述べ、インサイト分析を通じて消費者に選ばれるサステナブルな商品づくりのヒントを示しました。さらに、同レポートのデプス調査では、「買った後でサステナブルだと知って安心した」、「この購入がサステナブルな活動につながるなら満足度が上がる」といった声も複数寄せられました。こうした結果から、サステナブルな要素が購入後の満足度を高め、ブランドへの信頼やロイヤリティの向上にも寄与する可能性を示唆しました。


 ■「グリーンウォッシュ」に配慮しながら、共感を生むコンテンツ設計

ハースト婦人画報社 ELLE コマースエディター 椿原里咲

続いて椿原は、ELLE SHOPで制作した「コットン・イン・コンバージョン(CIC)」特集記事を例に、サステナビリティを伝える際の編集上の工夫を紹介しました。近年、欧州を中心に「グリーンウォッシュ」への規制が強まる中、「オーガニックだから肌に優しい」「エコだから良い」といった誤解を招く表現を避け、事実に基づいた情報発信を徹底したと述べました。
また、記事はCICの背景や生産者の取り組みを伝える記事と、実際に商品を試用したレビュー記事の2部構成とし、「まず背景を知ってもらい、そのうえで商品そのものの魅力を知ってもらう」という編集方針で制作。商品の魅力を伝えるレビュー記事では、エディター自身が商品を取り寄せ、あえてiPhoneで撮影することで、広告的な演出ではなく、商品の自然な魅力が伝わる表現を意識しました。その結果、サステナビリティをテーマとしたコンテンツは成果を可視化しにくいと言われるなか、ELLE SHOPへの遷移率は通常の記事と同水準を維持。商品の背景や価値を丁寧に伝える情報発信が、読者の関心や購買行動にもつながることが示されました。

■サステナビリティは、伝えるだけでなく共感に繋げるコミュニケーションへ

ディスカッションでは、サステナビリティを「伝えること」自体が目的ではなく、背景にあるストーリーや価値を分かりやすく発信し、消費者との共感や信頼につなげることの重要性が共有されました。また、生産者、小売・Eコマース、メディアなど、立場の異なる関係者がそれぞれの役割を果たしながら情報を発信していくことが、サステナブルな選択肢を広げるための鍵であることを改めて確認し、セッションを締めくくりました。 


■参加者の声

写真右から:ハースト婦人画報社 エル・ショップ マーチャンダイジング部 副ジェネラルマネージャー 堀中 朋之/ハースト婦人画報社 社長室 コーポレート コミュニケーションマネージャー 高野由絵/スタイレム瀧定大阪株式会社 ORGANIC FIELD室室⾧ 髙森俊滋氏/ハースト婦人画報社 社長室室長兼サステナビリティマネージャー 大竹紘子/ハースト婦人画報社 ELLE コマースエディター 椿原里咲 


※「サステナブル消費行動(B2L)レポート」

本レポートは、ハースト婦人画報社のメディア読者、Eコマース会員等女性2,361名の中から、サステナビリティへの関与度が高く、かつ直近1年以内に一度に100万円以上の消費行動を行った「ラグジュアリー消費者」270名を対象に「サステナブル消費」に焦点を当てた意識調査。

ダウンロード:https://mk.hearst.co.jp/form/pub/p/b2l-form



ハースト婦人画報社のサステナビリティに関する取り組み

https://www.hearst.co.jp/company/sustainability/



■ORGANIC FIELDについて
スタイレム瀧定大阪株式会社が展開する、インドの農家のオーガニック農法への転換を支援し、環境負荷の低減と労働環境の改善を目指す取り組み。2020年のオーガニックコットン偽装問題を契機に、「信頼できるオーガニックコットンを安定して届けたい」という思いからスタートした。移行期間の「コットン・イン・コンバージョン」を買い取ることで農家の参入を促し、種の選定から栽培、糸の生産までオーガニックのプロセスで管理することで、トレーサビリティを確保している。

公式URL:https://www.stylem.co.jp/sustainability/initiative/organicfield/

■ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパンについて

株式会社ハースト婦人画報社は、アメリカに本社を置き、世界40か国で情報、サービス、メディア事業を展開するグローバル企業、ハーストの一員です。株式会社ハースト・デジタル・ジャパンは、2016年に設立された株式会社ハースト婦人画報社の100%子会社です。1905年に創刊した『婦人画報』をはじめ、『ELLE(エル)』、『25ans(ヴァンサンカン)』、『Harper’s BAZAAR(ハーパーズ バザー)』、『Esquire(エスクァイア)』などを中心に、ファッション、ライフスタイルなどに関する多数のデジタルメディアの運営と雑誌の発行を手掛けています。『ELLE SHOP(エル・ショップ)』をはじめとするEコマース事業も収益の柱に成長。近年はクライアント企業のマーケティング活動をトータルにサポートする『HEARST made (ハーストメイド)』 、データに基づくブランドマーケティング支援を行う『HEARST Data Solutions(ハースト データ ソリューションズ)』を立ち上げるなど、コンテンツ制作における知見にデジタルとデータを融合した企業活動を展開しています。またISO14001を取得し、サステナビリティに配慮した経営を実践しています。

コーポレートサイト:https://www.hearst.co.jp

Instagram :@hearstfujingaho

X (旧Twitter): @hearstfujingaho

LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/hearst-fujingaho







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会社概要

株式会社ハースト婦人画報社

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URL
http://www.hearst.co.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂2丁目17番22号 赤坂トラストタワー7階
電話番号
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代表者名
ニコラ・フロケ
上場
未上場
資本金
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設立
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