宮崎県都農町「水産業夢未来プロジェクト」試験飼育成果報告~完全閉鎖循環式陸上養殖では世界初となる「クエタマ」「タマカイ」の養殖に成功~
2023年3月より、実証用養殖プラントにて、ICTと好適環境水®※2を活用した「クエタマ」「タマカイ」の9か月間の試験飼育を実施し、完全閉鎖循環式陸上養殖では世界初※3となる試験養殖に成功しました。今後は、特に高い生残率と成長率を確認できた「タマカイ」の本格的な量産体制の構築を進めてまいります。
※1 宮崎県都農町と岡山理科大学とNTT東日本およびNTT西日本との「多分野連携に関する協定書」締結式を実施
~取り組み第一弾はICTを活用した陸上養殖プロジェクト~
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20221223_01.html
※2 水産生物の効率的な陸上養殖を目的として開発された人工海水。海水中に含まれる成分のうち、魚の成長に必要なナトリウム・カリウム・カルシウムに絞り込んで構成されている。塩分濃度も海水よりも低く調整されており、魚の浸透圧調整に関わるストレス軽減・消費エネルギーの削減が見込まれ、浸透圧調整に使っていたエネルギーを成長に回せることで、一部の魚類で成長促進されることが確認されている。
※3 「完全閉鎖循環式陸上養殖」×「クエタマ」および「タマカイ」の組み合わせでの養殖成功が、4者調べで世界初。
1 取り組みの概要
2023年3月末に都農町に完成した7.4トン水槽×2基の実証用養殖プラントにおいて、日本をはじめとするアジア各国で高級魚として好まれているハタ科の中で、完全閉鎖陸上養殖方式では成功事例が無い「クエタマ(Epinephelus bruneus×Epinephelus lanceolatus)」と「タマカイ(Epinephelus lanceolatus)」を選択し、約9か月間の試験飼育を実施してきました。
本養殖環境においては、岡山理科大学保有技術の好適環境水®・養殖ノウハウ・養殖プラントシステムとNTT東日本グループの持つICTを組み合わせることで、生育速度の向上と生産に関わる作業の効率化・最適化の実現に取り組んでいます。また、岡山理科大学から都農町に遠隔指導をすることによる地域の養殖人材育成と手技・ノウハウの獲得をめざしています。
2 成果内容
「クエタマ」および「タマカイ」の両魚種の中で「タマカイ」については、94.2%という高い生残率と、養殖における一般的な成長速度の約3倍という高い成長率の両立が確認されました※4。特に、高い生産性は今後の量産化・ビジネス化に向けた大きな成果であると考えています。
また、今回、試験飼育に携わった飼育員は養殖経験が全くありませんでしたが、養殖経験のない飼育員でも現地で不安なく養殖作業に取り組めるように、魚の生育に対して影響を与える水質項目等の環境状況・魚の生育状況をデータ化・見える化して管理することや、岡山理科大学から的確な遠隔指導を受けるようにしたことで、手技・ノウハウを積み上げながら過去に事例がない高いレベルの養殖を実施することができました。
※4「金城清昭ら(2003). タマカイの成長試験」で公表されている実績と比較して、魚体重で約3倍の高成長を記録。
3 今後の展開
今回、試験飼育を行った両魚種のうち、特に「タマカイ」については、元々持ち合わせている先進性・ブランド性とあわせて、高い生産性を確認できたことから、今後は「タマカイ」を注力魚種として扱う予定です。
また、取得したデータを活用したデータ駆動型による生育環境の自動制御やより高いレベルでのリアルタイム遠隔指導体制の構築をめざしていく予定です。
今回の成果をもとに、「水産業夢未来プロジェクト」の推進と実現に向けて、都農町漁協など地域の水産事業者等との連携により、完全閉鎖循環式スマート陸上養殖における「タマカイ」の本格的な量産体制の構築、2024年春に竣工予定の加工場の活用および都農町の新たな特産品の商品化・販売の実現、新たな地域ブランドの創出に向けた取り組みを進めてまいります。
【本件に関するお問い合わせ先】
都農町 産業振興課 0983-25-5721
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