多様な読み書き特性に対応した「じぶんフォント」を製品化しライセンス提供を開始

ファシリティジャポンの読字サポートアプリ「MYdys」に実装

大日本印刷(DNP)

大日本印刷株式会社(DNP)は、多様な読み書き特性を持つ人を包括する読字環境の実現に向けて、読み書きに困難がある人(発達性ディスレクシアを含む)にも見やすく・読みやすい「じぶんフォント」の開発を進めています*1。今回、DNPグループの株式会社DNPアートコミュニケーションズを通した「じぶんフォント」のライセンス提供を開始します。

本ライセンスの第1弾として、2025年10月に提供を開始したファシリティジャポン株式会社の読字体験サポートアプリ「MYdys(マイディス)」に「じぶんフォント」が実装されました。

【「じぶんフォント」ライセンス提供の背景と狙い】

視力や知的能力に関わらず、文字の読み書きに著しい困難を抱える学習障がいが、読み書き困難の一つであるディスレクシアです。この症状がある人口は欧米で学齢期児童の10~15%、日本で3~8%と言われています*2。文字を読むことに極端に時間がかかったり誤読が多くなったりすることで、学力テストで本来の力を示せない、資料作成や情報収集に困難が生じるなど、さまざまな場面での活躍機会の制限につながっており、一人ひとりに最適化された読み書き環境の構築が求められています。

こうした課題の解決に向けてDNPは、誰もが平等に情報へアクセスできる環境づくりを目指し、2022年から東京工業大学(現東京科学大学)、ファシリティジャポン株式会社、株式会社リアルタイプと連携し、読み書きに困難のある人にも見やすく・読みやすい「じぶんフォント」を開発してきました。その後、「じぶんフォント」の評価や有用性の実証*3を進め、今回の製品ライセンス提供に至りました。

【製品化した「じぶんフォント」の特徴】

1.人々の「読み書き特性」に合わせた、4種類の形状のフォントを開発

人によって読み書きの特性はさまざまであり、読み書き困難の症状も異なります。DNPは、文字の読み書きに困難がある当事者の協力を得て、各人が主観的に読みやすいと評価するフォントの傾向を分析し、①文字の下部が太い(どっしりまるご)、②全体が細め(すっきりまるご)、③全体が縦長で太め(はっきりまるご)、④全体的に中庸(まるご)の4つの形状の「じぶんフォント」を作成しました。

「じぶんフォント」は、常用漢字や人名漢字などJIS第1・第2水準の文字を含み、日常的に使う文字(9,498文字)の多くが収録された「Adobe-Japan1-3(StdN)」の基準に準拠しています。今後、バリエーションを増やすとともに、利用者がフォントを自分用に調整できる仕組みを開発する予定です。

2.DNPオリジナル書体「秀英丸ゴシック」をベースに開発した、手書きに似たゆとりがあるフォント

「じぶんフォント」は、文字の読み書きに困難がある人が好む傾向のある、画線がシンプルで先端や角が丸い「秀英丸ゴシック」をベースに開発しました。「じぶんフォント」のひら仮名は、例えば「い」は平たく、「く」は縦長にするなど、形状や大きさを揃え過ぎないようにしているほか、手書きに近い形状を保ち、字間にゆとりを持たせることで、読み取りやすくしています。

3.「読み書き困難」の人が誤読しにくい仮名の形状に改良

プロトタイプで開発した「さ」と「ち」のひら仮名は形状が似ており、実証を通じて誤読の可能性が指摘されました。それに対して、「さ」の2画目(縦の画)と3画目(最終の画)を離す形に変更し、「ち」の形と差をつけることで読み分けやすくしました。「ざ」「き」「ぎ」の形状も同様に変更しました。

【ファシリティジャポン「MYdys」の実装】

DNPは、ファシリティジャポンが開発した、文字情報の読み取りが困難な人の読字をサポートするアプリ「MYdys」に「じぶんフォント」のライセンスを提供しました。本アプリは、書籍やプリント、看板などを撮影したり、文字が写っている画像ファイルを読み込んだりすると、アプリが自動的に文字を認識し、フォントの種類・文字の大きさ・行間・文字間隔・色などを読みやすく調整します。国内では現在、多様な読み書き特性に対応したフォントが少ないため、フォントの選択肢を増やしたいという課題・ニーズに対応し、今回「じぶんフォント」が採用されました。

アプリ「Mydys」の利用イメージ

【今後の展開】

DNPグループは、本フォントの法人向けライセンスの提供を推進することで、誰もが快適に情報にアクセスできるインクルーシブ(包摂的)な社会を実現します。今後もユーザーのフィードバックを活かしながら研究・開発を重ね、多様な人々が暮らしやすい「ユニバーサル社会の実現」を目指していきます。

*1 「じぶんフォント」を開発→ https://www.dnp.co.jp/news/detail/20167622_1587.html

なお、「見やすく・読みやすい」とは、利用者が主観的に“見やすい”“読みやすい”と感じることを指します。

*2 ディスレクシア等の人数について →  Uno, A., Wydell, T. N., Haruhara, N., Kaneko, M., & Shinya, N. (2009). Relationship Between Reading/Writing Skills and Cognitive Abilities among Japanese Primary-school Children: Normal Readers Versus Poor Readers (Dyslexics). Reading and Writing, 22(7), 755–789./Vellutino, F. R., & Fletcher, J. M. (2005). Developmental Dyslexia. In M. J. Snowling & C. Hulme (Eds.), The Science of Reading: A Handbook (pp. 362–378). Blackwell Publishing.(p. 363)

*3 「じぶんフォント」の有効性を確認 → https://www.dnp.co.jp/news/detail/20169677_1587.html

※「じぶんフォント」はDNPの登録商標です。記載されている会社名・商品名は、各社の商標・登録商標です。

※記載された製品の仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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会社概要

大日本印刷株式会社

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URL
https://www.dnp.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都新宿区市谷加賀町1‐1‐1
電話番号
-
代表者名
北島義斉
上場
東証プライム
資本金
1144億6476万円
設立
1894年01月