【速報!日本人初の快挙】王谷晶『ババヤガの夜』が、世界最高峰のミステリー文学賞・ダガー賞〈翻訳部門〉を受賞! 翻訳者はサム・ベット。英国推理作家協会が発表。
「ダガー賞」は1955年創設、英国推理作家協会(CWA)が主催する、ミステリー/犯罪小説に贈られる文学賞。翻訳部門は、英国で出版された、英語翻訳作品に対して授与される。

日本時間7月4日(金)早朝、英国推理作家協会(CWA:The Crime Writers’ Association)は、2025年のダガー賞〈翻訳部門〉(Dagger for Crime Fiction in Translation)の受賞作として、王谷晶『ババヤガの夜』英訳版(The Night of Baba Yaga)を発表しました。
翻訳はサム・ベット、出版社はFaber & Faber(2024年9月刊)。本賞は、世界で最も権威あるミステリー文学賞のひとつであり、今回の王谷さんの受賞は日本人として史上初、アジアの作家としても史上2人目の快挙です。
【ダガー賞〈翻訳部門〉2025 選考スケジュール】
• ロングリスト発表:2025年4月16日(全12作)
• ショートリスト発表:2025年5月29日(全6作)
• 授賞作発表:2025年7月3日夜(ロンドン時間)/7月4日朝(日本時間)
CWA公式サイト:https://thecwa.co.uk/awards-and-competitions/the-daggers/dagger-for-crime-fiction-in-translation/
・王谷晶『ババヤガの夜』作品紹介

本作は、2020年「文藝」秋季号の特集「覚醒するシスターフッド」にて全文発表され、同年10月に単行本化、2023年5月に文庫化されました。
喧嘩しか取り柄のない新道依子は、ある日、関東有数の暴力団の屋敷に連れてこられ、組長の一人娘である短大生の送り迎えと護衛を命じられる。気の合わないふたりの奇妙な同居生活のなかで、依子はこの家に隠された、ある秘密に触れていく。
物語終盤で明かされる大胆不敵な大仕掛け。繊細かつ哀切に描かれる、女と女の名前のつけられない関係――
一気読みの直後、二度読み必至。ラストで明かされる衝撃の仕掛けとは?
圧巻のシスター・バイオレンス・アクション!
・日本国内の部数
単行本/文庫/電子書籍累計:3万8000部突破(2025年7月4日現在)
・翻訳刊行
イギリス・アメリカ・韓国で発売中。今後ドイツ・イタリア・ブラジルで出版予定。
・本文ためし読み
https://web.kawade.co.jp/tameshiyomi/126559/
・「ダガー賞」授賞式での王谷晶さんスピーチ全文
まずは審査員の皆さん、この国で私の本を出版してくださったFaber&Faber、アメリカで最初の英語版を出してくれたSoho Press、タトル・モリ エイジェンシー、印刷製本、流通、販売してくださった皆さん、そしてこの本を手に取って大切な時間を使ってくれた読者の皆さんに大きな感謝を捧げます。
今は、とにかく驚いています。完全に混乱しています。「モンティ・パイソン」のスケッチに出ている気分です。昨夜は「フォルティ・タワーズ」みたいな素敵なホテルに泊まりましたし。何より感謝したいのは、翻訳のサム・ベットさんです。この本は日本のローカルな要素がたくさんあります。サムさんはそういった作品の細やかな部分をひとつひとつ大切にしてくれて、そのうえで素晴らしい英訳を作り上げてくれました。本当にありがとうございます。私はミステリ専門の作家ではありません。様々な種類の作品を書きます。日本では作品と作家は細かくジャンル分けされているので、私は曖昧な作家と思われています。曖昧であることは私の作家としてのテーマそのものです。自分の曖昧さを受け入れ、他人の曖昧さを認めることが世の中をよりよくすると信じています。この作品の主人公たちも、はっきりとラベリングできない関係と人生を手に入れます。これは何よりも私が読みたかった要素です。同時にこれはバイオレンス満載の物語でもあります。ここにお集まりの皆さんは私と同じく血や殺人や犯罪や、復讐や暴力が大好きな方々だと思います。もちろんフィクションの。私はバイオレンスフィクションの愛好家ほど、よりさらに現実世界の平和を願い行動しなければいけないと思っています。リアルの暴力が溢れている世界では、フィクションの暴力は生きていけません。歴史が物語っています。これからも首無し死体やパーティでの毒殺を楽しむためにも、今回頂いた栄誉を、世界の平和のために少しでも役立てたいと思います。Thank you.
2025年7月3日夜(ロンドン時間)
・著者プロフィール

王谷 晶 Akira Otani
1981年、東京都生まれ。著書に『完璧じゃない、あたしたち』『ババヤガの夜』『君の六月は凍る』『他人屋のゆうれい』『父の回数』、エッセイ集『カラダは私の何なんだ?』『40歳だけど大人になりたい』などがある。

サム・ベット Sam Bett
1986年、アメリカ・ボストン生まれ。小説家、翻訳者。訳書に三島由紀夫『スタア』、太宰治『道化の華』『乞食学生』、デビッド・ボイドとの共訳で川上未映子『夏物語』、『ヘヴン』(国際ブッカー賞候補)、『すべて真夜中の恋人たち』(全米批評家協会賞候補)など多数。
・英国推理作家協会主催・ダガー賞翻訳部門とは?
ダガー賞は、1955年に創設された、英国推理作家協会(CWA)が主催する、ミステリー小説・犯罪小説に贈られる権威ある文学賞です。その中のひとつである翻訳部門(Dagger for Crime Fiction in Translation)は、英語以外の言語で書かれ、英国で出版された、英語翻訳作品に対して授与される賞です。
国境を越えた物語の力と翻訳者の卓越した手腕を讃えるもので、これまでにフレデリック・ヴァルガス、ピエール・ルメートルなど、世界中から選び抜かれた作家の作品が受賞してきました。
2025年7月現在、Maxim Jakubowski (選考委員長)、Nic Parker、Meggy Roussel、Simon Kurt Unsworth、Sarah Wardの5名が選考委員を務めています。
・ダガー賞〈翻訳部門〉と日本文学
これまでに日本の作品では以下の3作が最終候補に選出されてきました。
2016年:横山秀夫『64(ロクヨン)』(訳:Jonathan Lloyd-Davies)
2019年:東野圭吾『新参者』(訳:Giles Murray)
2022年:伊坂幸太郎『マリアビートル』(訳:Sam Malissa)
いずれも受賞には至らなかったものの、翻訳ミステリーとして国際的な評価を獲得してきました。
そして2025年、日本文学として初の歴史的快挙が達成されました。
王谷晶『ババヤガの夜』(訳:サム・ベット)が翻訳部門の最終候補に選出され、柚木麻子『BUTTER』(訳:ポリー・バートン)とともに日本から初めての2作同時にノミネート。
そのなかで、日本人初の受賞作として『ババヤガの夜』が選ばれました。
・『ババヤガの夜』海外でのこれまでの受賞・選出
クライム・フェスト「スペックセイバーズ新人小説賞」受賞(イギリス、2025年)
クライム・フィクション・ラバー「最優秀翻訳賞」(編集者選)受賞(イギリス、2024年)
デイリー・テレグラフ「スリラー・オブ・ザ・イヤー」選出(イギリス、2024年)
ロサンゼルス・タイムズ「この夏読むべきミステリー5冊」選出(アメリカ、2024年)
・海外・日本のレビューまとめ
海外メディアのレビュー
「めちゃくちゃブッ飛んでて最高に血まみれ、これはヤバかった!『キル・ビル』とか『ジョン・ウィック』っぽい雰囲気の本を探してるなら、もうこれ一択」――@thespookybookclub
「怒り、ユーモア、スリル満載」――The Times紙
「激しい暴力と素晴らしい優しさが交互に訪れる」―― The Guardian紙
「女の力を描いた、シャープでストイックな物語」―― Los Angeles Times紙
「手に汗握る、壊れないスリラー」―― Tokyo Weekender
「優しくも怒りに満ちたこの犯罪サーガは、オウタニの次作を待ち望まずにいられない」―― Publishers Weekly
日本の著名人レビュー
「どんどこ血が脈打ってくる。」――北上次郎(「本の雑誌」2021年1月号)
「まず、この世界を壊せ。話はそこからだ、と作者は言う。」――杉江松恋
「シスターフッド文学をあらゆる意味で刷新するシスターバイオレンスアクション!」――鴻巣友季子
「もう一気に読了して最後はナルホド! と唸った。」――大槻ケンヂ
「友情でも愛情でも性愛でもない、ただ深いところで結ばれたこの関係に、名前など付けられない。」――宇垣美里
・河出文庫『ババヤガの夜』

著者:王谷晶
仕様:文庫判/並製/208ページ
初版発売日:2023年5月9日
税込定価:748円(本体価格680円)
ISBN:9784309419657
装画:寺田克也
解説:深町秋生
出版社:河出書房新社
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309419657/
※電子書籍も発売中です。詳細は各電子書籍ストアでご確認ください。
・イギリス版『The Night of Baba Yaga』
著者: Akira Otani
訳者: Sam Bett
仕様: 12.9 x 1.12 x 19.81 cm/ 224 頁
発売日:2024年9月12日
価格:£9.99
ISBN: 9780571391073
出版社:Faber & Faber
https://www.faber.co.uk/product/9780571391073-the-night-of-baba-yaga/
※Faber & Faber……1929年創業の出版社。約100年の歴史の中で、T.S.エリオットやサミュエル・ベケット等の文豪作品、近年ではカズオ・イシグロ、吉本ばなな、サリー・ルーニー等、世界的な人気作家の作品を世に送り出しています。

・『ババヤガの夜』初出 季刊文芸誌「文藝 2020年秋季号」

【雑誌情報】
誌名:文藝 2020年秋季号
仕様:A5判/504ページ
発売日:2020年7月7日
税込定価:1,485円(本体1,350円)
雑誌コード:0782108
・これまでのプレスリリース一覧
2025年5月29日
【異例の最終候補ノミネート!】 王谷晶『ババヤガの夜』が英国推理作家協会(CWA)主催、英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳小説部門の最終候補作に選出! 著者コメント到着。
URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000961.000012754.html
2025年4月16日
快進撃が続く日本人女性作家の快挙!王谷晶『ババヤガの夜』が英国推理作家協会(CWA)主催の翻訳ミステリー賞「インターナショナル・ダガー賞」にノミネート。
URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000921.000012754.html
2024年7月2日
【英語版が発売前から話題騒然!】王谷晶の話題作『ババヤガの夜』がロサンゼルス・タイムスで「この夏読むべきミステリー5冊(2024年)」に選出!。アメリカ版は、本日7月2日発売。
URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000683.000012754.html
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