NEC、早稲田大学とDID/VCの社会実装に向けた共同研究を開始
日本電気株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田 隆之、以下 NEC)は、早稲田大学基幹理工学部情報理工学科の佐古研究室(理工学術院総合研究所 所長 高橋 大輔:/所在地:東京都新宿区)と、安全・安心で健全なIT社会の実現を目指し、分散型ID(Decentralized Identity、以下 DID、注1)と検証可能なデジタル証明書(Verifiable Credentials、以下VC、注2)を組み合わせたDID/VCの社会実装に向けた共同研究を、2025年7月から2026年3月までの期間で実施します。
近年、DXの急速な浸透に伴い、個人に関するさまざまな情報がデジタル化され、個人情報やプライバシー保護の必要性が高まっています。このような変化の中で、DID/VCを活用することにより、個人が自身のデータを自己主権的に管理し、自らの意思で必要な情報だけを開示することが可能になり、プライバシー保護が強化された形でサービスを利用できるようになります。
NECが提供するDID/VCソリューションは、マイナンバーカードに限らず、さまざまな身分証明書の情報及びその他関連情報をVC化し、さらに顔情報を活用し、より高い安全性を提供できます。利用者のスマートフォンに格納することにより、オンラインでの本人確認や複数のサービス提供者から同じ確認をされる場面において、スマートフォンから必要な情報をVC/VP(注3)で提示することができます。ユーザー利便性が向上されると共にセキュアな本人確認ができ、多岐にわたるユースケースへの柔軟な対応を実現できます。また、顔認証を用いて、VC格納時や利用時に厳格な本人確認を行うことが可能になります。NECの顔認証技術は世界No.1(注4)の精度を有しており、なりすまし等不正利用を防止し、より信頼された形でのサービス提供を可能にします。さらにPETs(Privacy Enhancing Technologies) 技術と連携することで、個人の同意のもとで提示されたデータを秘匿化したまま分析・管理することができ、プライバシー保護と同時にデータ利活用の可能性が広がります。このように、本人性の担保とプライバシー保護を両立するDID/VCについて、各産業におけるユースケースを検討し、社会実装を加速させることを目的に、下記の内容の共同研究を開始しました。
<共同研究の内容>
1. 各産業におけるDID/VC活用のユースケース及び課題や解決方法の検討
2. 大学でのDID/VC利用に関する実証実験
3. DID/VCにおける各種検討
・発行局の在り方
・マイナンバーカード等の公的身分証のスマートフォン等の端末への追加や活用方法の検討
・モバイル運転免許証の国際規格mDL, デジタル身分証の国際規格mdoc,
Digital Travel Credential 等の活用
・多国間でのVCの活用や検証にかかる実施課題
今後、本共同研究で得た知見を基に各産業向けのユースケース開発を加速し、NECの強みである生体認証技術も活用しながらDID/VC事業のさらなる強化・発展を進め、分散型社会の構築を支えていきます。
(注1)
個人が自分のデジタルIDを自分で管理できる仕組みです。通常の企業システムのIDやWebサービス(例えばSNS)のIDは企業がパスワードとともに集中的に管理していますが、DIDは公開鍵暗号技術を用いており、ブロックチェーン(分散型ネットワーク)や信頼できるレポジトリに個人の公開鍵とともに記録されるため、誰かに集中管理してもらうことなく、複数のサービスをまたいで活用できます。
(注2)
デジタル形式で安全に管理できる証明書のことで、第三者によって信頼性が確認された情報を持ち主が自身で管理し、必要に応じて相手に証明できる仕組みです。VCの大きな特徴は、ユーザーが自分の情報を自分で管理できることと、提示時にその情報の真正性が第三者に検証できることです。
(注3)
VP(Verifiable Presentation)は、1つもしくは複数のVCをパッケージングし、正当性証明を付与したものです。これにより、改ざん防止と、誰が提出したVCかを検証者が検証することができます。
(注4)
米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストでこれまでにNo.1を複数回獲得。NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません。
https://jpn.nec.com/biometrics/evaluation/index.html
■NECの生体認証技術を活用したDID/VCソリューションについて
NECのDID/VCソリューション|生体認証技術を活用したVC
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■本件に関するお問い合わせ先
NEC バイオメトリクス・ビジョンAI統括部
E-Mail:dpf-pr@dpf.jp.nec.com
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