ラクトフェリンの摂取が健常成人のプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性を維持し、呼吸器および全身の健康状態を維持することを確認~科学雑誌『Nutrients』掲載~
「ラクトフェリン」の製造量において世界トップシェア(※1)の森永乳業
本研究成果は、科学雑誌「Nutrients」に 2023年9月13日に掲載されました(※2)。
1.研究背景
ラクトフェリンは、牛乳から発見された鉄と結合する性質を示す糖タンパク質で、多彩な機能性を有します。これまでに当社が行った細胞実験から、ラクトフェリンがウイルスに対する免疫応答でリーダーの役割を果たすプラズマサイトイド樹状細胞(以下pDC)を活性化することを確認しています。そこで今回、健常成人がラクトフェリンを摂取することにより、pDCの活性が維持され、呼吸器および全身の健康状態が維持されるかを臨床試験で検討しました。
2.研究方法
健常成人157名を無作為に2つのグループに分け、ラクトフェリンを含む食品(200mg/日)またはラクトフェリンを含まない食品(プラセボ)のいずれかを12週間摂取していただきました。摂取期間中は、呼吸器症状(のどの不快感、声がれ、たん、くしゃみ、鼻水、鼻づまり)および全身症状(熱っぽさ、倦怠感)のスコアを日誌に記録していただきました。また、摂取前後で採血し、血液中のpDCの活性指標であるCD86およびHLA-DRの発現強度を測定しました。
3.研究結果
① ラクトフェリンの摂取により呼吸器および全身の健康状態が維持されました。
摂取期間中の呼吸器症状および全身症状のスコアは、ラクトフェリン群でプラセボ群と比較して有意に低い値を示しました(図1)。
② ラクトフェリンの摂取によりpDCの活性が維持されました。
摂取後のpDCの活性指標であるCD86およびHLA-DRの発現強度は、ラクトフェリン群でプラセボ群と比較して有意に高い値を示しました(図2)。
これらの結果から、健常成人がラクトフェリンを摂取することにより、pDCの活性が維持され、呼吸器および全身の健康状態が維持されることが示されました。ラクトフェリンがpDCを介してどのように免疫を調節するのか、引き続き研究を進めてまいります。
PDF版はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d21580-1015-fd75ac74ac29fb57d910932a4ed4b188.pdf
<森永乳業とラクトフェリンの取り組み>
森永乳業は60年以上にわたりラクトフェリンの研究、製造、食品への応用を進めてまいりました。現在、国内外の企業が、ラクトフェリンを様々な食品に配合しています。また、世界各地の研究者がラクトフェリンを様々な側面から精力的に研究しており、こうした研究者との連携も通じて研究をさらに推進し、人々の健康に貢献してまいります。なお、当社は企業の中で、世界で最も多くラクトフェリンに関する研究論文を発表しています※3。
<参考>
※1 Absolute Reports社 2022年版 当社の子会社、MILEI GmbH(ミライ社)の製造量シェア
※2 「Effects of Bovine Lactoferrin on the Maintenance of Respiratory and Systemic Physical Conditions in Healthy Adults—A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial」Hirotsugu Oda, Shutaro Kubo, Asuka Tada, Takumi Yago, Chihiro Sugita, Hiroki Yoshida, Tatsunori Toida, Miyuki Tanaka, Masahiko Kurokawa
Nutrients. 2023; 15(18):3959.
URL:https://doi.org/10.3390/nu15183959
※3 Elsevier社が提供するデータベース「SCOPUS」にて”lactoferrin”で検索(2023年9月時点)
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