世界初 特殊セラミック仕様(常圧焼結SiC型)高耐食性ヒーターの開発【東京ガス・TGES】
~リチウムイオン電池極材焼成炉ヒーター交換サイクルを、従来比3倍以上に延長~
2025年2月6日
東京ガス株式会社
東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
東京ガス株式会社(社長:笹山 晋一、以下「東京ガス」)と東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(社長:小西 康弘、以下「TGES」)は、このたび、特殊セラミック(常圧焼結SiC[*1])を採用した高耐食性小口径ヒーター「C-SERT-H-Leptos[*2]」(以下「本製品」)を世界で初めて[*3]開発しました。
本製品は、東京ガスとTGESが、都市ガスや水素による燃焼技術開発[*4]で製品化しているシングルエンド型ラジアントチューブバーナ(以下「C-SERTバーナ」)[*5]の技術を応用した、常圧焼結SiCを発熱体とする世界初の高耐食性小口径ヒーターです。リチウムイオン電池(以下「LiB」)電極材の焼成工程において発生するアクティブ酸化[*6]やリチウムアタック[*7]に対する高い耐食性能が特徴です。
また、本製品は、LiBの電極材の焼成工程で最も用いられているノリタケ株式会社(社長:東山 明、以下「ノリタケ」)製の連続焼成炉(以下「RHK」[*8])に搭載されているヒーターとその周辺部品を含めたユニットが互換性のある設計になっていることから、容易にリプレースが可能です。本製品の採用により、従来数カ月間であったヒーターの交換サイクルを3倍以上の年単位にまで延長し、ヒーターの交換に伴う設備の稼働停止回数を抑えることでRHKの稼働率を向上し、生産量を飛躍的に拡大することができます。
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東京ガスとTGESは、本製品の耐食性の高い加熱技術を、LiB電極材の焼成のみならず、高温域での安定した熱処理が求められる電子材料や半導体関連素材などの高機能性材料の製造用途にも応用し、さまざまな製品の加熱工程の効率改善に貢献していきます。
■LiB電極材用RHK C-SERT-RHKシリーズ ラインナップ
<都市ガス燃料型 C-SERT-RHK>
・電気式と比較し最大40%エネルギーコストの削減が可能
・常圧焼結SiCラジアントチューブバーナにより高耐食性能を実現
<水素燃料型 C-SERT-RHK-Nero[*9]>
・C-SERT-RHKの水素燃料型、水素燃焼採用によるゼロカーボンが可能
・常圧焼結SiCラジアントチューブバーナ(水素燃焼式)により高耐食性能を実現
(参考) ノリタケ株式会社のWebサイト 「脱炭素工業炉技術情報」
*1:常圧焼結SiC:SiC(炭化ケイ素。シリコンカーバイド。読み:エスアイシー)は、シリコン(Si) と炭素 (C) で構成される化合物。常圧焼結SiCは、一般的なセラミックヒーターに使用される再結晶SiCや反応焼結SiCと比較し、耐久・耐食性に優れる
*2:C-SERT-H-Leptos (読み:シー・サート・エイチ・レプトス)
C:セラミック、SERT:シングルエンドラジアントチューブ、H:ヒーター、Leptos(レプトス):ギリシャ語で「細い」の意味…高耐食性小口径ヒーター
*3:TGES調べ
*4:日本における省エネバーナのパイオニアとして、リジェネバーナやセラミックラジアントチューブバーナ(C-SERT)などを開発
*5:雰囲気熱処理炉など燃焼ガスを炉内に排出しない間接加熱に用いるバーナ。バーナ部分に熱交換器を内蔵した省エネルギー型で、セラミック(SiC)タイプのラジアントチューブは耐久性と温度分布の均一性に優れ、100℃から1300℃超まで対応。都市ガス燃焼式のほか、水素用も製品化
*6:高温かつ極微量の酸素濃度環境下(負極材の生産環境)で発生する酸化現象。セラミックを構成する原子を消耗させるため、汎用セラミックの寿命は著しく短命化する
*7:正極材原料に含まれる浸食性の強いリチウムが溶融し、炉壁や加熱機器(ガスバーナや電気ヒーター)に付着し損傷させる現象
*8:ローラー搬送により連続で、設定された温度環境の中を製品が通過することで高品質な熱処理を行う焼成炉
*9:Nero(ネロー):ギリシャ語で「水」の意味(水素燃焼型)
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