ベネッセと村田製作所「学び」と「組織成果」の関連性に関する共同調査結果を発表
~組織成果創出には「組織学習」「心理的安全性」「ラーニングカルチャー」が鍵~
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役会長兼社長:岩瀬大輔、以下:ベネッセ)は、株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役社長:中島規巨、以下:村田製作所)と共同で実施した「学び」と「組織成果」の関連性に関する結果を発表しました。

■調査結果から見えた3つのポイント
1.「組織学習」が「組織成果」を促進する
調査の結果、「組織学習」の中でも「情報分配」「情報解釈」「情報記憶」が特に「組織成果」に大きく関連していることが分かりました*1。知識を共有し、活用し、組織内に蓄積することで、業績向上や新しいビジネス創出につながる可能性が示唆されました。
2.「心理的安全性」が学びの推進に寄与
職場で「失敗しても大丈夫」と感じられる心理的安全性が確保されている場合、社員同士の学び合いが活発になり、組織全体の成長が促進されることが確認されました。
3.「ラーニングカルチャー(学びの文化)」が組織の未来を切り開く
個人の学びを組織的な成果に結びつけるためには、学びを共有し、活用する文化(ラーニングカルチャー)の醸成が重要であることが分かりました。これには、学びの成果を共有する場の設置や、社員同士が交流できるコミュニティの支援が有効と考えられます。
■共同調査背景と目的
日本では少子高齢化による労働力人口の減少により、従業員の生産性向上が企業の重要課題とされています。また、従業員が学びを通じて自己成長し、それを組織の成果に結びつける仕組みの構築が、企業の持続的な成長に不可欠とされています。
しかしながら、これまで「個人の学習」、「組織学習」、「組織成果」の関連を検証した研究は限られており、従業員の学びに対しての企業が中長期的な投資対効果(ROI)を検証することが難しい現状がありました。
ベネッセは、2019年より法人向けオンライン動画学習サービス「Udemy Business」を展開しており、DX人材育成を目的としたサービス提供に加え、同社が教育事業で培ってきた研究知見を生かし、DX研修の設計や調査・分析を行っています。
村田製作所は、2021年に策定した「長期構想Vision2030」と「中期方針2024」に基づき、成長戦略の一環としてDX推進を掲げ、「個人を変える」「組織を変える」という2つの軸を大切に、DX人材育成を進めています。同社は、DX人材育成の質をさらに高め、個人の学びと組織学習推進がどのような成果につながるかを明らかにするため、ベネッセと共同調査を行いました。
■調査概要
「組織学習と組織成果の関係性に関する調査」
調査期間:2024年11月11日~2024年11月22日
対象者:村田製作所におけるUdemy Business利用者のうち2,089名
※本報告は単一の調査データを分析したものであり、因果関係はあくまでも仮定となります。
*1
「組織学習」の定義
本調査では、先行研究から、「組織学習」を組織の構成員の全員が学ぶという意味ではなく、「組織を1つのまとまり(例えば、一人の人格)と見立てたときに組織(人)が変化すること」と定義し、以下の5つの構成要素をもとに分析を行いました。
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情報獲得(個人の知識獲得)
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情報分配(組織への共有)
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情報解釈(組織での実践フィードバック)
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情報統合(組織での共通理解)
-
情報記憶(組織での形式知化)
なお、分析の結果、「1.情報獲得」は信頼性の観点から除外し、残りの4つの要素で分析を進めました。
「組織学習」の構成要素

■調査結果
1 組織における知識の共有や活用が、「組織成果」につながる
調査の結果、「組織学習」は「組織成果」を促進する可能性があることが分かりました。特に「組織学習」の中でも、獲得した知識を組織に共有する「情報分配」、知識を実際に使ってみる「情報解釈」、知識を将来の使用のために蓄積していく「情報記憶」との関連が確認され、それらを促進することで「組織成果」の向上につながる可能性が明らかになりました。

2 「心理的安全性」が「組織学習」を推進する
また、「組織学習」に関連を与える要素を分析するため、関わりがあると予想される「学習推進(スキル獲得についての個人の意識や組織の取り組み)」「業務成果(学習結果を個人の業務や改善に生かせたか)」「心理的安全性」との関係を調べました。
その結果、職場において、「失敗しても問題ない」といった心理的安全性が確保されている場合、「組織学習」が促進される可能性が高いことがわかりました。また、個人が学びを継続し、その学びを組織の成果に結びつけるためには、以下の3つの要素が重要であることも分かりました。
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学習期待:職場や上司から新たなスキル獲得への期待があること
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学習サポート:会社や職場が学びをサポートする環境を提供していること
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学習継続意向:個人がスキル獲得のための学びを継続する意思を持っていること

3 「ラーニングカルチャー(学びの文化)」が組織の未来を切り開く
一方で、学習促進のために実施している施策(例えば、学習習慣や目的)が、必ずしも組織の変化につながっていない可能性があることも分かりました。「個人の学び」を「組織学習」に生かし、「組織成果」につなげるためには、組織が「個人の学び」を推進しながら、学びの成果を共有したり、活用したり場を設けるなどの施策を行うことで、組織内にラーニングカルチャー(学びの文化)を醸成していくことが重要だと考えられます。
【企業が取り組める施策案~調査結果より~】
個人の学びを推進する施策
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スキルアセスメントやスキル棚卸しの機会の提供
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勉強会や研修への積極的な参加の支援・促進
組織学習を促進する施策
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学んだスキルを職場で共有して議論する場を提供(社内プレゼンテーションの機会、報告会など)
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ジョブローテーションやプロジェクトの参加機会の支援・促進
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学習者同士が交流する場やコミュニティの支援
■本共同調査を受けてのコメント
鷹野正宗氏
株式会社村田製作所 情報システム統括部 ITDX戦略企画部 シニアマネージャー

当社では、2021年に策定した「長期構想Vision2030」と「中期方針2024」に基づき、成長戦略の一環としてDX推進を掲げています。革新的な生産性・競争力の向上を目指すため、DX人材の育成・強化を打ち出しました。「個人を変える」「組織を変える」という2つの軸を大切に、DX人材育成を進めています。本調査を通じて、学びの推進が組織成果に与える具体的な影響を確認できたことは、大変意義深いものでした。学びを通じて心理的安全性を高め、組織の力を最大化することは、弊社の「CS(Customer Satisfaction)とES(Employee Satisfaction)による総合力」を高めていくことに直接寄与します。今後もより良い学習環境を整備し、その活動を事業に結びつけ、社会に貢献していきます。
飯田 智紀(いいだ とものり)
株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員 社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者)

今回の村田製作所様との調査で得られた知見は、個人の学びが組織全体の成果に繋がることを示しており、非常に示唆に富むものでした。少子高齢化が進み、限られた人材資源を最大限に活用することが求められる現在、学びを通じて心理的安全性を高め、組織成果を促進する仕組みの構築は、企業の持続的成長に欠かせない要素です。ベネッセがUdemyを日本に展開して10周年を迎えた今、私たちはこれまで以上に「学びが生み出す変化・成果」を可視化し、企業や個人の成長を支援する取り組みをさらに強化してまいります。
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