【ファンケル】角層と皮膚常在菌の新たな関連性を解明
- 肌の健康維持に向けた新発見 -
株式会社ファンケルは、20年以上にわたり肌の最外面に位置する「角層」に着目し、敏感肌の方でも安心してお使いいただける化粧品の開発に取り組んでいます。
角層は、外の刺激から体を守るバリア機能を担うと同時に、肌の内部や外部環境を映す「お肌の履歴書」とも言われています。今回、角層の状態をさまざまな独自の指標で測定し、皮膚常在菌※1との関連を調査した結果、新たに「P2角質細胞」※2という指標を見いだしました。さらに、「P2角質細胞」がアトピー性皮膚炎の病態指標となること、また、アトピー性皮膚炎の重症度と「P2角質細胞」の関連を解明したのでお知らせします。
なお本研究は、福田皮ふ科クリニック(横浜市西区)との共同研究です。
この研究結果は、敏感な肌状態のメカニズム解明や、皮膚常在菌の調整による敏感肌改善への新たなアプローチ、さらには肌トラブルの予防につながることが示唆され、肌の健康維持に向けた発見であると考えています。これらの知見を生かし、今後も次世代のサービスや製品の開発に向けた研究を続けてまいります。
※1 皮膚常在菌 : 皮膚表面に通常存在する菌のこと。皮膚のバリア機能や免疫機能などにさまざまな影響を及ぼす。
※2 P2角質細胞 : 脆弱な角質細胞を表す新たな指標で、名称は当社が命名。本研究から、健康な皮膚にも存在すること、アトピー性皮膚炎では増加し、皮膚常在菌と関連することがはじめて明らかとなった。
【アトピー性皮膚炎の病態指標となる指標を発見】
角質細胞をFACS法※3で「細胞の大きさ」と「細胞の構造の複雑さ」でそれぞれ分けて比較しました。その結果、新たに角層状態の指標となる脆弱な角質細胞を見いだし、「P2角質細胞」としました(図1)。

※3 FACS(fluorescence-activated cell sorting)法 : フローサイトメトリー法とも言われる。個々の細胞や粒子の物理的・化学的特性を迅速に分析する技術。
さらに、「P2角質細胞」は、アトピー性皮膚炎の症状が出ている部分に多く存在し、アトピー性皮膚炎の病態の指標となり得ることも明らかにしました(図2)。

【アトピー性皮膚炎の症状が重症なほど「P2角質細胞」が多い傾向】
さらに、アトピー性皮膚炎患者において、症状が出ている部位と「P2角質細胞」の関連を調べました。その結果、症状の重症度が高い人ほど、症状が出ている部位の「P2角質細胞」が多く、症状が出ている部位の周辺で症状がない部位においても「P2角質細胞」が多い傾向を示すことが明らかになりました。
アトピー性皮膚炎の症状がない部位は、症状がないように見えますが、微弱な炎症があると言われています。これらの結果から、「P2角質細胞」に対するケアが、敏感な肌状態のトラブル予防につながる可能性が期待されます(図3)。

※4 皮疹の重症度 : それぞれの皮疹の重症度を、紅斑、浮腫、丘疹、掻破痕、苔癬化の状態に基づき数値で表した。
【研究背景・目的】
肌のバリア機能や免疫の調整に寄与する皮膚常在菌は、健やかな皮膚の維持に欠かせない存在として近年注目を集めています。しかしながら、皮膚常在菌は長期間にわたって安定した集団を形成するため†1、意図的にコントロールすることが難しいとされています。また、皮膚常在菌は皮膚の生理状態や疾患にも深く関わる一方で、菌が生息する場所である「角層」との具体的な関連性については、これまで十分に研究が進んでいませんでした。
当社では長年の角層研究の知見を活用し、角層のさまざまな特性と皮膚常在菌の関連を多面的に分析することで、角層と皮膚常在菌の関連を明らかにすることを目指しました。
†1 Cell. Temporal Stability of the Human Skin Microbiome. 2018 165(4) 854–866
【担当者のコメント】

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