W/O/W製剤の皮膚への時間差浸透を可視化することに世界で初めて※2成功
― 世界的権威のある化粧品技術者学会「IFSCC 2025 congressカンヌ大会」で発表 ―
サントリーウエルネス(株)生命科学研究所は、W/O/W※1製剤の皮膚への時間差浸透を可視化することに世界で初めて※2成功しました。「IFSCC※3 2025 congress カンヌ大会」で9月17日(水)に発表します。
※1 Water in Oil in Waterの略で、内水相、油相、外水相の3相の構造をした乳化物(エマルジョン)のこと
※2 PubMed(米国立医学図書館が提供している医学・生物学分野の代表的な文献検索システム)およびGoogle Scholar(Googleが提供する学術用途検索システム)にて、検索ワード「raman microscopy」と、「W/O/W」または「water in oil in water」の組み合わせによる検索結果のうちヒト皮膚に対するイメージングを対象とした研究の学術文献を調査し該当なし(2025年8月当社調べ)
※3 国際化粧品技術者会連盟
▼発表演題
「Innovative analysis of emulsion behavior on skin
(皮膚上における乳化物の動態観察の革新的な手法)」
▼発表者
サントリーウエルネス株式会社 生命科学研究所
小谷康祐、山科拓也、北川小百合、松岡龍雄、竹本大輔、泰松暁、中尾嘉宏
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
小椋俊彦
▼研究の背景
サントリーウエルネスのスキンケア商品の他、さまざまな化粧品に採用されているW/O/Wは、塗布した後の長時間での変化を可視化した例はなく、W/O/Wの浸透について詳細なメカニズムは解明されていませんでした。そこで皮膚に塗布した際に形態の異なる乳化物が浸透していく様子を可視化し、一般的な乳化物との違いを目に見える形で明らかにすることに着手しました。
図1.形態の異なる乳化物の構造(イメージ)

▼試験方法
美容外科手術によって摘出されたヒト摘出皮膚※4に対して、乳化物3種をそれぞれ塗布し、肌のキメを形成する皮溝を中心に皮膚の断面を共焦点ラマン顕微鏡※5により観察しました(図2)。
※4 (株)ケー・エー・シーより購入
※5 分子と光の相互作用によって観測される「ラマン散乱光」を用いて観察する顕微鏡。ラマン散乱光によって物質の分子構造などを識別することができる。
図2.ヒト摘出皮膚とその断面図

▼結果
皮膚に塗布された乳化物は、それぞれ異なる浸透の特性を見せることがわかりました(図3)。
〈O/W〉
水相が皮膚全体を満たしつつ浸透していく一方で、油相が皮膚の上で点在したまま滞留する様子が観察されました。
〈W/O〉
油相が時間とともに皮膚に浸透する一方で、水相は皮膚の上で滞留しながらゆっくりと浸透する様子が観察されました。
〈W/O/W〉
外側の水相(外水相)が速やかに浸透する一方で、内側の水相(内水相)は皮膚の上で滞留しながらゆっくりと浸透。油相は皮膚表面を覆うように保護膜を形成する様子が観察されました。
図3.乳化物の浸透する様子の可視化(左画像)。W/O/Wの浸透イメージ(右図)。
・O/W :水相(赤)、油相(緑)
・W/O :水相(赤)、油相(緑)
・W/O/W:外水相(青)、内水相(赤)、油相(緑)

今回の研究によって、乳化物が実際のヒト皮膚に対してどのように変化して浸透していくのかを可視化することに成功しました。この特徴を応用することで、肌悩みに適した製剤や優れた使用感のスキンケア商品を開発するための一助になる可能性が示唆されました。
当社では今後も新たなW/O/W製剤の開発に取り組み、健康と美容を起点としながら、人々の生活のWell-beingに貢献していきます。
以上
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