特別養子縁組当事者によるプチ・フォーラムを開催 イベントレポート
大人になった養子の対談や、特別養子縁組の養子及び養親による参加者からの質問への回答を通じて、生の声を参加者にお届け。リアルな経験や思いを共有することで、特別養子縁組への理解を深める貴重な機会となった。
株式会社小学館集英社プロダクションはこども家庭庁より「令和6年度社会的養護経験者等ネットワーク形成事業」を受託しました。本事業では、特別養子縁組を行った養子及び養親(以下「特別養子縁組当事者」という。)や養子縁組民間あっせん機関、児童相談所等の関係機関のネットワーク構築に関する取り組みを行っています。
当該事業の一環として、令和6年12月7日(土)に「特別養子縁組当事者によるプチ・フォーラム」をオンラインにて開催しました。
このプチ・フォーラムは、特別養子縁組当事者の生の声を広く社会に届ける貴重な場となりました。
■プチ・フォーラムの主旨
プチ・フォーラムは、以下の2つの目的を掲げて開催されました。
1. 幼少期に特別養子縁組を経験し、大人になった養子当事者(以下、「大人になった養子」という。)の生の声を届けることで、養子当事者のリアルな経験や考えに触れたいというニーズに応えること。
2. 特別養子縁組家庭の中でも、「こどもに障がいがあるため、自分には関係がない」と感じている層を対象に、具体的な疑問や悩みを解消する機会を提供すること。
これにより、特別養子縁組に関する多様な視点を共有し、より多くの人々に理解を深めていただくことを目指しました。
■大人になった養子の対談
「大人になった養子の対談」は、大人になった養子2名が登壇し、事前に寄せられた質問に基づき進行しました。主なテーマとして、「養子である事実をどのように受け入れたのか」「生みの親についてどのような情報を知りたいのか」「当事者同士の交流をどのように深めていけるのか」といった問いが取り上げられました。また、配信中に寄せられた質問にもその場で回答し、議論を深めました。
参加者からは、「当事者の率直な本音を聞けたことが非常に良かった」「同じ養子当事者でありながら、異なる環境で育った二人の視点を比較できた点が興味深かった」など、前向きな感想が寄せられました。
■養子・養親の質問に答えよう!
「養子・養親の質問に答えよう!」は、事前に寄せられた質問に基づき進行しました。大人になった養子2名に加え、特別養子縁組養親当事者2名も登壇し、座談会形式で行いました。議論された主なテーマには、「真実告知のタイミングや方法について」や「養親にとっての生みの親の存在について」などが含まれ、様々な立場から率直な意見を発信しました。
参加者からは、「経験に基づいた分かりやすい話が聞けて良かった」「養子も養親も苦悩しながら、家族としての絆を築いていこうと努力していることが伝わってきた」といった感想が寄せられました。
■障がいのあるこどもを育てる養親の座談会
「障がいのあるこどもを育てる養親の座談会」では、引き続き特別養子縁組当事者4名が登壇し、事前に寄せられた質問に基づいて、座談会形式で経験談や考えを共有しました。議論されたテーマには、「障がいがあるとわかったときの相談先について」や「地域や学校との連携に関すること」、「養親になってからの困難や喜び」などがあり、養親2名が実際の経験をもとに、思いや感情を分かち合いました。
参加者からは、「親としての覚悟や社会での支援の重要性について学べて良かった」「正直な心情を語ってくださったことが心に響いた」「勇気を持って声を上げてくださり、感謝しています」といった感想が寄せられました。
■クロージング
クロージングでは、プログラムの振り返りを行い、登壇者4名が参加者へのメッセージを届けました。それぞれの言葉には、特別養子縁組に関わる方々への励ましや気づきを促す思いが込められていました。
みそぎ氏
「長い時間でしたが、あっという間でした。聞いてくださった方々とより時間をかけて話したいと感じています。今回のプチ・フォーラムが、皆さんにとって考えるきっかけやヒントになれば嬉しいです。何かお力になれることがあれば、ぜひお手伝いしたいと思っています。全国フォーラムでも皆さんとよりつながれることを楽しみにしています。」
高柳氏
「特別養子縁組は成立がゴールではなく、そこからがスタートです。こどもの最善の利益とはこどもの意見を尊重することが前提だと思っています。参加された養親の皆さんには、ぜひお子さんの声に耳を傾け、子育てをしていただきたいと思います。ただ、しんどいこともありますので、このような機会を通じて一緒に考えていきましょう。」
志賀氏
「多くの方にご覧いただき、特別養子縁組が '特別' ではない未来が、そう遠くないと希望を感じることができました。しんどい内容も正直にお話したので、聞いていてつらいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。でも皆さまが感じられた心地よい気持ちも、悲しい気持ちも、地域で暮らす養子のこども達へ向けられた皆さまの優しい眼差し=愛情だと信じております。私たち特別養子縁組の家族の話に、心を寄せて聞いてくださって、本当にありがとうございました。」
志村氏
「こどもへの愛情や声をしっかり受け止めてくださる養親の姿勢を感じ、『親って本当にすごいな』と改めて思いました。当事者として、とてもありがたく感じています。養親のお二人が勇気を持ってお話しくださったことで、私たちの声も皆さんが考えるきっかけになれば嬉しいです。」
登壇者たちのメッセージには、特別養子縁組の意義と課題に正面から向き合い、共に考え、歩んでいこうという強い意志が感じられました。
■多くの方にお申込みいただきました。ありがとうございました!
プチ・フォーラムには、非常に多くの方々からお申し込みをいただき、誠にありがとうございました。
今後も、特別養子縁組の当事者がその生の声を社会に届ける場を継続して作り、理解を深める機会を提供してまいります。
プチ・フォーラムに関するお問い合わせがございましたら、事務局(fcnet@shopro.co.jp)までお気軽にご連絡ください。
引き続き、多くの皆さまのご支援とご関心をよろしくお願いいたします。
■お問い合わせ
【事務局】
株式会社小学館集英社プロダクション
fcnet@shopro.co.jp
(本プチ・フォーラムは、こども家庭庁の国庫補助事業の一部として実施しました。)
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