JTBが「訪日インバウンドVISION2030」を発表
~地域共創とデータ戦略で、持続可能な観光立国の実現へ~
株式会社JTBは、訪日インバウンド市場のさらなる成長と持続可能な観光立国の実現を目指した事業戦略「訪日インバウンドVISION2030」(以下、本戦略)を発表しました。
本戦略では、地域共創やデータの戦略的な利活用によって、持続可能な観光地域づくりを目指します。地域の観光資源の価値向上や、環境・社会・経済を意識した持続可能な仕組みやコンテンツの開発、そして2026年度中の本格稼働を目指す、訪日インバウンドデータプラットフォーム「JTB Tourism HUB」を活用した、データドリブン型の事業推進を戦略の柱としています。

地域やステークホルダーとともに、「共創」と「創客」に取り組み、訪日インバウンドを取り巻く様々な地域課題の解決と、訪日外国人旅行者が「また訪れたい」と感じる魅力的な体験を創出します。これらの取り組みを通じて、訪日外国人旅行者受入数および観光収入の拡大を図ります。
■背景と課題
2023年3月31日に閣議決定した「観光立国推進基本計画」で、日本政府は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円という目標を掲げています。2024年に8兆円を超える規模に成長した訪日インバウンド市場(※)ですが、欧州の観光先進国などと比較すると、まだまだ成長の余地が残っています。
日本全国の地方自治体や観光事業者、宿泊事業者などにとって、訪日外国人旅行者の受け入れ環境の整備が重要な経営課題になっており、その課題を解決することが訪日インバウンド市場全体の成長につながると言えます。
一方で、特定の地域においては、旅行者の一極集中によるオーバーツーリズムや環境負荷の増大、人手不足などの課題が顕在化しており、受け入れ環境の整備が急務となっています。2025年は訪日外国人旅行者数が過去最速で2,000万人を突破し、年間で4,000万人を超えると予想されるなか、訪日外国人旅行者の「時間・場所・コンテンツ」などの適切な分散を行うことで、一極集中の解消と、地域経済の活性化につなげることが重要となります。同時に、多言語対応、情報やナイトコンテンツの充実など、訪日外国人旅行者の視点からも課題を捉え、解決に向けた取り組みが必要です。
(※出典 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年暦年の調査結果」より)
■「訪日インバウンドVISION2030」の概要
地方自治体や観光事業者などとの共創により、訪日インバウンド市場を盛り上げていくため、「3つの改革」とそれを支えるデータ基盤の構築、活用推進に取り組みます。

1.戦略的事業領域の策定
JTBグループ全体で横断的に本戦略を推進するため、「既存事業6領域」と「+1の新領域」を整理しました。推進領域を明確にし、それぞれの領域での創客を目指します。
地域とともに訪日インバウンド戦略を練り伴走して推進していくフェーズから、訪日外国人旅行者に知ってもらい、体験していただくまでを、対象市場毎に6つの領域に整備し、対応します。また、「+1の新領域」では、社内の機能を超えて連携を強めることで、地域課題への対応力を高めます。
◆戦略的事業領域 既存事業6領域

◆+1の新領域

コンテンツの開発から海外での認知獲得、話題化、プロモーションまでをトータルプロデュースで取り組みます。コンテンツ開発では、訪日外国人旅行者のニーズ・インサイトを追求したコンテンツ(寺院仏閣の非公開エリアを含めた特別拝観など)や、地域ごとに異なる課題・ニーズから創出するコンテンツ(地域の季節ごとの魅力発掘につながるコンテンツや、地域全域を盛り上げるエリア周遊、地域資産を活かしたコンテンツなど)など、課題とニーズを起点に、新たな体験の創出を行います。
2.積極的な投資による、課題解決力の強化
国内における組織力と対応力を強化するため、JTBグループ全体で本戦略を推進する組織体制を整備しました。国内営業拠点による地域における対応力をあげるとともに、海外拠点やグループ会社を通じて訪日外国人旅行者のニーズも捉え、発地(海外)と着地(日本)双方から訪日インバウンド事業に取り組みます。
首都圏、関西圏に加え、エリア毎(北海道、仙台、名古屋、広島、福岡、沖縄)に、訪日インバウンド推進個所を新たに設定し、地域に根差した取り組みを強化します。
これまで地域交流事業を推進してきた「47DMC」全国の拠点で、150名のインバウンド担当者が、地方自治体や企業とともに訪日インバウンド市場に向けた課題に取り組み、持続的に経済を発展させていくことを目指します。
3.訪日旅行の目的となるサービス・コンテンツの創出
「訪日外国人旅行者が、日本を訪問する目的となりうるサービスやコンテンツ」の開発では、パートナーとの連携や積極的な投資による共同事業などに取り組みます。一例として、2025年2月にアソビシステム株式会社と戦略的パートナーシップ契約を締結し、ナイトタイムエコノミーの創出や、KAWAII MONSTER CAFEのIPを活用した共同事業開発などの検討・協議を進めています。

4.訪日データプラットフォームの構築とデータ活用ソリューションの提供
(1)訪日インバウンドデータプラットフォーム 「JTB Tourism HUB」を構築
「JTB Tourism HUB」は、「集客の仕組み」「システム」「コンテンツ」を整備し、ディストリビューターとして適切にコントロールしていく新たなデータプラットフォームです。地方自治体や観光事業者にはオペレーションの整備や行動・購買データを基にしたコンサルティング、宿泊施設や飲食店、交通機関などには、新たに流通チャネルの提供、国内外の提携販売チャネルには新たなソリューションの提供を行います。
「JTB Tourism HUB」は2026年度中の本格運用を目指し、構築を進めています。「JTB Tourism HUB」を活用することで、各地域で起きている課題の把握・分析・改善のPDCAが行いやすくなり、各地域において訪日インバウンド事業の推進力を上げていくことにつなげていきます。
(2)データを掛け合わせ、新たなターゲット・ストーリーの開拓へ
JTBが保有するデータと公的な外部データを掛け合わせ分析することで、訪日インバウンド市場における新たなターゲット開拓、新たなストーリーの開拓などをサポートするとともに、インバウンドトレンドの発信をします。
■CEOメッセージ 代表取締役 社長執行役員 山北 栄二郎
JTB グループは、 1912 年に外国人観光客を誘致し、日本文化を世界へ発信するとともに世界の異なる文化習慣を理解し、日本が国際社会の一員として繁栄する土台づくりに貢献するために設立されました。その後、高度経済成長を経てチケットエージェントからパッケージ旅行などを開発する総合旅行業へ、そして旅や交流に関わるあらゆるステークホルダーに対しソリューションを提供する企業へと自らビジネスを進化させ、ツーリズム産業の育成に努めてまいりました。
現在、数十年にわたる日本の経済停滞が課題視される中、訪日インバウンドは地域や様々な産業を活性化する契機として大きな可能性を秘めています。長年の経験に基づく専門性と洞察力を生かし、旅行者とそれを受け入れる地域の課題に向き合い、新たな価値を創出していきます。「ONE JTB」として JTB グループが一丸となり、持続可能な訪日インバウンドツーリズムの発展に貢献してまいります。
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