STマイクロエレクトロニクス、アクティビティ・トラッキングと高衝撃検出を兼ね備えたパーソナル電子機器およびIoT向けAI搭載小型センサを発表
2つのMEMS加速度センサと組み込みAIを搭載した業界初の慣性測定ユニット(IMU)が最大320gの範囲で高精度に測定

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、アクティビティ・トラッキング用に最適化されたセンサと、高gの衝撃測定向けセンサを1つの小型パッケージに組み込んだ慣性測定ユニット「LSM6DSV320X」を発表しました。同製品を搭載したシステムは、あらゆるイベントを高精度で完全に再現できるため、より多くの機能と優れたユーザ体験を提供できます。LSM6DSV320Xにより、モバイル機器やウェアラブル機器、コンスーマ向け医療機器に加えて、スマート・ホーム、スマート・インダストリ、スマート・ドライビング向け機器の強力な新機能の開発に貢献します。
組み込みAI処理機能も内蔵しているLSM6DSV320Xは、動作や衝撃の連続記録機能を標準サイズのモジュール(3mm x 2.5mm)に搭載した業界初のセンサです。STがこれまで継続的に投資してきたMEMS(微小電気機械システム:Micro Electro-Mechanical System)設計を活用することにより、この革新的なデュアル加速度センサは高精度のアクティビティ・トラッキング(最大16g)と衝撃検出(最大320g)を1つのデバイスで実現しています。
STのアナログ・パワー & ディスクリート・MEMS・センサグループ(APMS)バイスプレジデント 兼 MEMSサブグループ・ジェネラル・マネージャであるSimone Ferriは、次のようにコメントしています。「STは最先端AI MEMSセンサの可能性をさらに引き出し、現在の主要スマート・アプリケーションの性能とエネルギー効率を今後も高めていきます。独自のデュアルセンサ機能を備えたSTの新しい慣性モジュールは、よりスマートなやり取りを可能にし、スマートフォンやウェアラブル機器、スマート・タグ、アセット・モニタ、イベント・データ・レコーダ、大規模インフラなど、多様なシステムやアプリケーションに、より優れた柔軟性と精度をもたらします。」
LSM6DSV320Xは、組み込みAI処理機能であるSTの機械学習コア(MLC)を搭載したセンサ・ファミリを拡大しています。その組み込みAI処理機能がセンサ内で直接推論を処理することで、システムの消費電力を削減しながらアプリケーションの性能も高めます。2つの加速度センサを搭載し、ST独自の先進技術を使用して、互いに干渉することなく、最適な性能が発揮できるように設計されています。加速度センサの一つは、最大検出範囲が±16gで、アクティビティ・トラッキングにおいて最高の分解能を提供するように最適化されています。もう一方の加速度センサは、最大±320gの測定が可能で、衝突や高い衝撃イベントなどの激しい衝撃を定量化します。
STの新しい組み込みAI搭載MEMSセンサは、小型かつ極めて広い検出範囲全体にわたる高精度測定が可能で、コンスーマ / IoT機器のスタイリッシュな形状やウェアラブルな形状を維持しつつ、さらに多数の機能を提供することができます。アクティビティ・トラッキング機能は、標準範囲内のパフォーマンスをモニタリングするとともに、ぶつかり合うようなスポーツでの強い衝撃を計測して安全性を確保できるため、コンスーマおよびプロ / セミプロ・アスリートに付加価値を提供できます。コンスーマ市場での活用の機会としては他に、ゲーミング・コントローラで素早い動作や衝撃を検出してユーザ体験を向上できるほか、商品に装着するスマート・タグで、動きや振動、衝撃を記録し、商品の安全性とセキュリティ、完全性を確保できます。
同製品の幅広い加速度測定範囲により、コンスーマ向けヘルスケアや産業安全などの分野で次世代スマート機器の開発が可能になります。これには、危険な環境下での作業における、落下や衝撃の強さを評価する個人用防護具などのアプリケーションが考えられます。その他、建物や橋などの構造の状態を正確に評価する装置があります。
LSM6DSV320Xは集積度が高く、製品の設計・製造を簡単にできるため、先進的なモニタリング・デバイスを競争力のある価格でターゲット市場に投入できます。製品設計者は、身体への装着や機器への取付けが容易な小型・軽量のデバイスを実現できるようになります。
技術情報
LSM6DSV320X(2.5 x 3mm)は、最大±16gの加速度センサ、±320gの加速度センサ、検出範囲±4000dpsのMEMSジャイロセンサという3つのMEMSセンサを集積しています。これらのセンサが完全に同期されているため、使いやすく、システム開発が容易になります。
LSM6DSV320Xは、高い電力効率でコンテキスト認識を処理するMLCに加えて、モジュール内でのモーション・トラッキングに役立つステート・マシン(FSM)を内蔵しています。また、このデジタル回路にはSTの低消費電流センサ・フュージョン(SFLP)技術が搭載されており、空間的な位置認識にも対応しています。
LSM6DSV320Xは、STの製品ポートフォリオの他のスマートMEMSセンサと同様に、消費電力を最適化する適応型の自己構成機能(ASC)を備えています。ASCを搭載したセンサは、特定のモーション・パターンやMLCからの信号を検出すると、リアルタイムで自動的に設定を調整します。ホスト・プロセッサを介入させる必要はありません。
強い衝撃をトラッキングしやすく、かつ同時に低gイベントの精度を最大限にするため、STは低g加速度センサのデータと高g加速度センサのデータを融合する「Motion XLF」ソフトウェア・ライブラリを開発し、特許を取得しました。顧客の開発チームは、X-CUBE-MEMS1パッケージを使用して、自分たちの機器を設計する場合にこのソフトウェアを自由に利用することができます。また、STが提供する無償のグラフィカル設計ツールにより、LSM6DSV320Xと組み込みAIを評価、設定、テストし、STM32のアプリケーションを使ったプロジェクトに接続できます。これらのツールには、「ST Edge AI Suite」の一部である「MEMS Studio」や、ノード・ツー・クラウドのAIoT(Artificial Intelligence of Things:モノの人工知能)プロジェクトの開発およびプロビジョニング用のツールを備えたウェブベースの開発環境「ST AIoT Craft」があります。LSM6DSV320Xは現在、ST Edge AI Suiteでサポートされており、2025年末までにST AIoT Craftに追加される予定です。
詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、約50,000名の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、すべての直接・間接排出(スコープ1および2)、ならびに製品輸送、従業員の出張・通勤による排出(スコープ3の注力分野)におけるカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを進めており、2027年末までに再生可能エネルギーの使用率を100%にする計画です。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。
◆ お客様お問い合わせ先
STマイクロエレクトロニクス(株)
アナログ・MEMS・センサ製品グループ
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
TEL : 03-5783-8250
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