STマイクロエレクトロニクス、業界初、高性能アプリケーション向け18nmマイコンを発表

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先進的な相変化メモリ(PCM)を内蔵し、次世代18nm FD-SOI技術を使用した初のマイコン「STM32V8」
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SpaceX社のStarlink衛星ネットワークの高速通信システムに採用
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工場自動化やモータ制御、ロボットなど、きわめて要求の厳しい産業用途に最適
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、要求の厳しい産業アプリケーションに対応する次世代の高性能マイクロコントローラ(マイコン)「STM32V8」を発表しました。STの最先端の18nmプロセス技術を使用して設計された同製品は、クラス最高の相変化メモリ(PCM)を内蔵しています。STのクロル工場(フランス、300mm工程)で製造され、Samsung Foundry社との協力体制も構築されています。マイコンは基本となる半導体製品であり、STM32の幅広いポートフォリオは、コンスーマ機器、生活家電、産業機器、医療機器、通信機器など、世界中の膨大な数のシステムに搭載されています。
STのマイクロコントローラ・デジタルIC・RF製品グループ 社長であるRemi El-Ouazzaneは、次のようにコメントしています。「STM32V8は、最も高速なSTM32マイコンです。過酷な動作環境でも高い信頼性を得られるように設計されており、より大型で消費電力の大きいアプリケーション・プロセッサの置き換えが可能です。同製品は、高性能マイコンで、産業機器制御、センサ・フュージョン、画像処理、音声制御など、要求の厳しい組み込みシステムやエッジAI用途を実現できる未来を示します。」
STM32V8は、Arm® Cortex®-M85コアおよび18nmプロセス技術により、最大動作周波数800 MHzを実現しており、これまでで最も高性能なSTM32マイコンです。高レベルの高速・大容量内蔵メモリは、セキュリティが求められるIoT機器に幅広く対応することができます。FD-SOIプロセス技術と内蔵PCMにより、過酷な動作環境でも優れた堅牢性と信頼性を発揮します。
そのような要求の厳しい環境の1つが、地球低軌道(LEO)で発生する高放射線条件です。SpaceX社は、同社の「Starlink」衛星の小型レーザー・システムにSTM32V8を採用し、LEOを超高速で移動する衛星同士の接続に使用しています。
SpaceX社のStarlinkエンジニアリング部門バイスプレジデントであるMichael Nicolls氏は、次のようにコメントしています。「STのSTM32V8マイコンを使用したStarlinkの小型レーザー・システムは、宇宙での展開に成功しました。これは、Starlinkネットワークで高速通信を発展させる取り組みにおいて重要なマイルストーンとなりました。STM32V8の高い演算能力や、大容量の内蔵メモリとデジタル機能の統合が、厳格なリアルタイム処理の要件を満たす上で不可欠な要素でした。一方で、18nm FD-SOI技術により、低軌道環境における信頼性と堅牢性の向上を実現することができました。STM32V8を他の製品にも展開し、その機能を次世代の先進アプリケーションに活用することを楽しみにしています。」
STM32V8は、現在、限定顧客向けに情報提供を開始しています。2026年第1四半期より主要顧客に向けた提供を開始し、その後、一般向けに提供が開始される予定です。
技術情報
STM32V8は、シリーズ最高の性能を誇る最新世代のArm® Cortex®-M85を採用しているため、複雑なアプリケーションに対処し、きわめて高い電力効率を維持することができます。
STのFD-SOI技術により、優れた電力効率と堅牢性を実現し、最大140℃の接合部温度に対応します。
STM32V8の不揮発性相変化メモリ(PCM)は、セル・サイズが市場で最も小さく、4MBの不揮発性メモリ(NVM)を内蔵できるため、高集積化と優れたコスト効率の両立が可能です。
STM32V8には、「STM32 Trust」フレームワークを活用した最先端のセキュリティ機能に加えて、最新の暗号化アルゴリズムとライフサイクル管理機能も組み込まれています。PSA Certifiedレベル3とSESIP認証を対象とするSTM32V8は、今後全面適用されるサイバーレジリエンス法(CRA)への準拠に貢献します。
3.3Vに対応しているため、消費電力の削減、シグナル・インテグリティの向上、最新の産業用通信規格への対応など、産業用途において多数のメリットを得ることができます。
グラフィック、暗号化 / ハッシュなどの特殊なアクセラレータを内蔵しているほか、1Gbpsイーサネット、豊富なデジタル・インタフェース(FD-CAN、Octo / Hexa xSPI、I2C、UART / USART、USB)、アナログ・ペリフェラル、タイマなど、多彩なIPを備えています。
STM32V8は、マイコンでありながらMPUクラスの処理性能を発揮し、ベアメタルやRTOSベースの開発をサポートして、最適なシステム動作・ブート時間・リソース使用量、および攻撃耐性を実現します。
また、STM32開発エコシステム(STM32Cubeソフトウェア開発環境)や、各種開発ボード(Discovery Kit、価格競争力に優れたNucleo評価ボード)を利用することができます。
詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、約50,000名の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、すべての直接・間接排出(スコープ1および2)、ならびに製品輸送、従業員の出張・通勤による排出(スコープ3の注力分野)におけるカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを進めており、2027年末までに再生可能エネルギーの使用率を100%にする計画です。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。
◆ お客様お問い合わせ先
STマイクロエレクトロニクス(株)
マイクロコントローラ・デジタルIC・RF製品グループ
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
TEL : 03-5783-8240
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