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公益財団法人日本ユニセフ協会
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世界の飢餓人口 増加続く~2030年の「飢餓ゼロ」達成困難のおそれ【プレスリリース】

ユニセフなど、国連5機関が新報告書

公益財団法人日本ユニセフ協会

マアリブにある国内避難民キャンプで、上腕計測メジャーを使って栄養不良の検査を受ける1歳のアルワちゃん。(イエメン、2020年3月撮影) © UNICEF_UNI337474_マアリブにある国内避難民キャンプで、上腕計測メジャーを使って栄養不良の検査を受ける1歳のアルワちゃん。(イエメン、2020年3月撮影) © UNICEF_UNI337474_

【2020年7月13日 ローマ 発】

国連が本日発表した世界の食料安全保障と栄養の現状に関する最新の年次報告書は、世界の飢餓人口の増加が続き、2030年までに飢餓とあらゆる形の栄養不良を終わらせることが困難になるおそれがあると指摘しています。過去5年間で、数千万人が慢性的な栄養不良になり、世界中の人々がさまざまな形態の栄養不良に苦しんでいます。

2020年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書(原題:2020 The State of Food Security and Nutrition in the World)では、飢えに苦しむ人の数は2019年に約6億9,000万人にのぼり、2018年から1,000万人、5年間で6,000万人近く増加したと推定しています。高い価格により食料を手に入れられないことは、何十億もの人々が栄養を十分に摂取し健康でいられないことも意味します。飢餓人口はアジアで最も多いものの、最も急速に拡大しているのはアフリカです。報告書が指摘しているように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、2020年末までに1億3千万人以上の人々が慢性的な飢餓に陥るおそれがあります(パンデミックにより急性の飢餓が急増した場合、この数はさらに増える可能性があります)。

この「世界の食料安全保障と栄養の現状」は飢餓と栄養不良に対する取り組みの成果を追跡した、最も信頼できる世界規模の調査報告書です。「世界が飢餓、食料不安、あらゆる形態の栄養不良を終わらせることを約束してから5年経った今でも、2030年までにこの目標を達成できる見通しは立っていません」と、ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連世界食糧計画(国連WFP)、世界保健機関(WHO)の各機関の長は、その序文で警鐘を鳴らしました。

【数字で見る飢餓】

コックスバザールのクトゥパロン難民キャンプで、重度の急性栄養不良の治療を受け回復しつつある2歳のジュビルちゃん。(バングラデシュ、2019年6月撮影) © UNICEF_UN0332992_Nyboコックスバザールのクトゥパロン難民キャンプで、重度の急性栄養不良の治療を受け回復しつつある2歳のジュビルちゃん。(バングラデシュ、2019年6月撮影) © UNICEF_UN0332992_Nybo

中国など人口の多い国々の重要なデータが更新され、2000年まで遡ってより正確に見直された結果、世界の飢餓人口の推定数は6億9,000万人と以前より大幅に少なくなりました。しかし、飢餓人口の推移の傾向は変わっていません。慢性的な飢餓は、数十年間着実に減少した後、2014年以降徐々に増え始め、今も増加し続けています。

アジアは依然として、栄養不良が最も多い(3億8,100万人)地域です。2番目はアフリカ(2億5,000万人)で、ラテンアメリカとカリブ海諸国(4,800万人)がこの後に続きます。世界の飢餓人口の割合は8.9%とほとんど変わっていませんが、その絶対数は2014年以降増加しています。これは、過去5年間、世界の人口増加と合わせて、飢餓も増加したことを意味します。

ここには、大きな地域格差が隠れています。割合で言えば、最も大きな打撃を受けた地域はアフリカであり、アフリカの人口の19.1%が栄養不良になっています。これは、アジア(8.3%)や中南米およびカリブ海諸国(7.4%)の2倍以上です。現在の傾向が続けば、2030年までに、慢性的な飢餓に苦しむ人口の半分以上が、アフリカにいることになります。

【パンデミックによる影響】
飢餓との闘いの進展が鈍るなか、パンデミックによって、食料の生産、流通、消費に影響を与えるすべての活動とプロセスとしての世界の食料システムの脆弱性と不足が高まっています。ロックダウンやその他の封じ込め対策の影響を完全に評価するには時期尚早ですが、本報告書は、COVID-19による景気後退の結果、2020年には最低でも8,300万人、場合によっては1億3,200万人が飢餓に陥ると予測しています。これは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標2(飢餓をゼロに)の達成にも影響を及ぼします。

【不健康な食生活、食料不安と栄養不良】

サン・ペドロの保健所で、栄養不良に苦しむ子どもに食べさせるおかゆの作り方を母親に教える看護師。(コートジボワール、2020年5月14日撮影) © UNICEF_UNI330298_Frank Dejonghサン・ペドロの保健所で、栄養不良に苦しむ子どもに食べさせるおかゆの作り方を母親に教える看護師。(コートジボワール、2020年5月14日撮影) © UNICEF_UNI330298_Frank Dejongh

あらゆる形態の飢餓と栄養不良(低栄養、微量栄養素欠乏症、過体重、肥満を含む)を克服するには、生きるために十分な食料を確保すること以上のことをしなければなりません。食事、特に子どもたちが口に入れるものは栄養価が高くなければなりません。しかし、課題は、栄養価の高い食品の価格が高く、多くの家庭はそのような健康的な食品を入手できないことです。

本報告書は、健康的な食生活のために必要な費用が、国際貧困ラインである1日あたり1.90米ドルをはるかに超えるというデータを示しています。最も安価な健康的な食事でさえも、胃をでんぷんのみで満たす費用の5倍かかります。栄養価の高い乳製品、果物、野菜、タンパク質を多く含む食品(植物性・動物性)は、世界的に最も高価な食品のグループです。

最新の推定によると、30億人を超える人々が健康的な食事をする余裕がありません。サハラ以南のアフリカと南アジアにおいて、これは人口の57パーセントに当てはまります。また、北米やヨーロッパを含むいずれの地域も例外ではありません。結果として、栄養不良を終わらせるための闘いは揺らいでいるように見えます。本報告書では、2019年、5歳未満の子どもの4分の1から3分の1(1億9,100万人)が発育阻害(年齢相応の身長に達していない状態)或いは消耗症(身長に対して体重が少なすぎる状態)で、さらに3,800万人が過体重であったとしています。一方、成人の肥満が世界中で増加しています。

【求められる行動】

子どもの栄養不良防止のため、地域の人たちに市場で入手できる食材を使った健康的な食事の作り方を教える様子。(コンゴ民主共和国、2019年9月撮影) © UNICEF_UNI212653_Tremeau子どもの栄養不良防止のため、地域の人たちに市場で入手できる食材を使った健康的な食事の作り方を教える様子。(コンゴ民主共和国、2019年9月撮影) © UNICEF_UNI212653_Tremeau

本報告書は、持続可能性について考慮され、健康的な食事に切り替えられるならば、莫大なコストを節約しながら、飢餓への逆戻りを阻止する助けになると指摘しています。それにより、2030年に年間1.3兆米ドルに達すると推定される不健康な食事に関連する健康コストをほぼ完全に相殺できます。一方で、食事に関連する温室効果ガス排出の社会的コストは1.7兆米ドルと推定され、最大4分の3を削減することができます。

本報告書は、栄養価の高い食品の費用を削減し、健康的な食事が手頃な価格で手に入りやすくするために、食料システムの変革を求めています。具体的な解決策は国や地域によって異なりますが、全体として言えることは、食料サプライチェーン全体、食品環境、および貿易、公共支出、投資政策を形作る政治経済における介入に答えはあります。本報告書では政府に対し、以下の行動を求めます:
  • 農業への取り組みにおいて栄養面への考慮を主流化する
  • 非効率性や食品廃棄を減らすことを含め、食料生産、保管、輸送、流通、およびマーケティングにおけるコスト増加要因を削減する
  • 地元の小規模農家がより栄養価の高い食品を栽培・販売し、市場へのアクセスを確保することをサポートする
  • 子どもの栄養を最もニーズの高い項目として優先する
  • 教育と広報を通じて行動変容を促進する
  • 栄養を国の社会保護システムと投資戦略に組み込む

本報告書を作成した国連5機関の長は、この重要な行動をサポートし、「人々と地球のために持続可能な方法で」取り組むことをここに宣言します。

* * *

■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
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代表者名
赤松良子
上場
未上場
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