中央サヘル地域:子どもたちの未来を脅かす暴力、貧困、飢餓、新型コロナ【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

早朝の砂嵐の中、家族のために水汲みをする男の子。(ニジェール、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI337865_Haro早朝の砂嵐の中、家族のために水汲みをする男の子。(ニジェール、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI337865_Haro

【2020年10月20日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)事務局長ヘンリエッタ・フォアは、中央サヘル地域の人道状況に関する閣僚懇談会に際し、以下の声明を発表しました。

* * *

現在、ブルキナファソ、マリ、ニジェールでは緊急人道支援を必要としている子どもたちが昨年の430万人から720万人に増加しています。

これらの国々は、情勢不安、暴力、極度の貧困、飢餓、そして今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)といういくつもの課題を抱え、子どもや若者たちの未来が危険にさらされています。アフリカや世界にとって多くの可能性を秘めている地域が、課題の多さからその未来を暗くしています。

これは移動の危機です。100万人以上の子どもたちが故郷を追われて避難しています。
 

栄養不良の検査を受けるため、母親に連れられて自宅から135km離れたトンブクトゥの病院にやって来た1歳のマヤちゃん。(マリ、2020年3月撮影) © UNICEF_UNI317114_Coulibaly栄養不良の検査を受けるため、母親に連れられて自宅から135km離れたトンブクトゥの病院にやって来た1歳のマヤちゃん。(マリ、2020年3月撮影) © UNICEF_UNI317114_Coulibaly

また、栄養危機でもあります。290万人の子どもたちが消耗症に陥る危険にさらされており、今年に入ってから20パーセント増加しています。

水と衛生の危機はますます深刻化しており、670万人以上が支援を必要としています。

そして教育の危機でもあります。2,000万人以上の子どもたちが現在学校に通えていません。この人数は、パンデミックが始まってから2倍以上に増えています。

これは保護の危機です。230万人の子どもたちが支援を必要としています。特に10代の女の子たちは、性的虐待や児童婚、妊娠などの被害を受けやすくなっています。そして、コミュニティ、学校、保健センター、家庭への武力攻撃は、人々の生活を悪夢のようなものにしています。

また、経済危機でもあり、社会支出が減少し、インフレ率が上昇し、人々は必需品のための支払いさえ厳しい状況です。

そして、人道支援機関にとってはアクセスの危機です。中央サヘルの子どもたちは緊急に支援を必要としていますが、彼らに手を差し伸べることは日に日に困難で危険なものになっています。
 

カヤの保健センターで、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする子どもたち。(ブルキナファソ、2020年10月2日撮影) © UNICEF_UNI394865_Dejonghカヤの保健センターで、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする子どもたち。(ブルキナファソ、2020年10月2日撮影) © UNICEF_UNI394865_Dejongh

ユニセフは地域の主に現場で活動するクラスターパートナー(さまざまな組織や団体が支援する中で、支援の重複や不足を防ぐための調整を行うシステム)とともに、できる限りの支援を行っています。

例えば、今年だけでも、栄養クラスターのパートナーとともに36万4,000人の重度の栄養不良の子どもたちを治療しました。また、水と衛生パートナーと協力し、56万人以上の人々が飲み水、調理、衛生のための水を手に入れました。

国連組織として、人道支援パートナーを深く評価し、感謝しています。私たちはチームとして、中央サヘル全域で最も支援を必要としている子どもたちに手を差し伸べています。しかし、そのニーズは私たちの対応能力をはるかに超えています。この地域を危機から救うために、国際社会に向けて協力を呼びかけます。

支援において、私たちすべての機関は資金不足に陥っています。8月末現在、ブルキナファソ、マリ、ニジェールに必要な14億米ドルのうち、得られた資金はわずか39パーセントに留まります。資金の不足は、子どもたちが、必要とする栄養、保健、保護、教育、社会的保護、水と衛生設備を手にできない状態にあることを意味します。そしてまた、将来に向けてより強力なシステムを構築するための、中央サヘルの各国政府との取り組みが危険なほど行き詰っていることをも意味します。

ユニセフは、国際社会に向けて以下の取り組みへの協力を呼びかけます:
  • 安全で栄養価の高い手頃な価格の食品や、栄養不良の治療などの利用可能性を拡大する。
  • 子どもたちがトラウマに対処するのを助けるために、心理社会的支援へのサポートを増やす。
  • 家庭での食料、教育、保健ケアといった必需品の支払いを支援するために、現金給付など国の社会的保護制度を拡充する。
  • 遠隔教育を含む、すべての子どものための革新的で質の高い学習手段を拡大する(特に、移民・難民、国内避難民の子ども、女の子)。
  • 慢性的に資金不足に陥っている水と衛生設備の普及率を3カ国すべてで向上させる。COVID-19に対処するだけでなく、深刻な水不足や気候変動の影響を受けやすい地域を支援する。
  • 社会サービスに投資する。そしてそれを提供する人々:教師、保健従事者、社会福祉士、そしてこの危険な時期に子どもたちとその家族を支援しているボランティアを支援する。
  • 学校、病院、水と衛生のインフラ、そして最前線で働く人々に対する攻撃や脅迫を止める。
 

きれいな水で子どもの体を洗う女性。(ブルキナファソ、2020年10月3日撮影) © UNICEF_UNI394596_Dejonghきれいな水で子どもの体を洗う女性。(ブルキナファソ、2020年10月3日撮影) © UNICEF_UNI394596_Dejongh

暴力は終わらせなければなりません。平和なくして、これらの国々に希望はありません。子どもたちのニーズに投資することは、3カ国の平和、社会的結束、そして永続的な発展にも投資することでもあります。今、団結し、この地域の子どもたちによりふさわしい未来を。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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会社概要

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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