2022年 注文住宅動向・トレンド調査~建築費・土地代が全国的に上昇。検討者のうち約9割は建築費高騰の認識あり~
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:北村 吉弘)の住まい領域の調査研究機関であるSUUMOリサーチセンターは、すべての人の自分らしい人生を応援するため「住まいの価値」を提言・実証する研究を進めております。このたび、注文住宅の建築者・検討者を対象に調査を行いました。2022年の調査結果の一部を抜粋してご報告申し上げます。
注文住宅の建築費・土地代ともに全国的に上昇し、直近7年の中で最高値に。それに伴い世帯主の年齢・世帯年収の平均値も上昇(建築者)
■建築者(全国)の建築費用(土地代を除く)は平均3,153万円。前年より165万円増加し、直近7年の中で最高値に。
■建築者(全国/新規土地取得者)の土地代は平均1,971万円。前年より293万円増加し、直近7年の中で最高値に。
■建築者(全国)の家づくりの頭金は平均714万円。前年より120万円増加。
■建築者(全国)の世帯主年齢は平均38.8歳と前年より1.3歳上昇。世帯年収は平均848万円と前年より52万円増加。
■建築者(全国)のうち、注文住宅以外の種別を検討しなかったのは38.6%。前年より5.1ポイント増加。
■建築時の土地の有無について、建築者で「土地あり」であった人は、全国で29.0%(前年比3.8ポイント増)、首都圏で30.5%(前年比7.1ポイント増)。
■建築時の重視項目として、建築者(全国)では一昨年と比べて「設計の自由度が高いこと」を重視した人が7.2ポイント、「蓄電池を搭載すること」が4.7ポイント、「メンテナンスコストが低いこと」が3.7ポイント増加。
■建築者(全国)のうち、建築費高騰を認識していたのは75.1%、建築費高騰の影響があったのは41.6%。
検討者のうち約9割は建築費高騰を認識。認識者のうち、建築時期の変更なしが約7割と多数派(検討者)
■検討者(全国)のうち89.7%は建築費高騰を認識している。高騰を認識している人のうち62.3%は今後も現在より建築費が上がっていくと予想。
■検討者(全国/建築費高騰の認識あり回答者)のうち68.2%は、建築費高騰による建築時期への影響について「時期に変更はない(変更しなかった)」と回答。
■建築費高騰で予算をオーバーした場合の対応は、検討者(全国/建築費高騰の認識あり回答者)のうち39.4%が「予算を増やす」、27.4% が「土地費用を抑える」、10.2% が「建築費を抑える」、21.3% が「両方抑える」と回答。
■土地費用の抑え方は、「土地面積を狭くする」「坪単価が低いエリアを選ぶ」がともに5割程度。
■建築費用の抑え方は、「設備・仕様を安くすむものにする」が62.0%、「延床面積を抑える」が47.0%。
ZEH認知率が増加し、直近5年の中で最高値に。2030年度ZEH基準義務化の認知率は建築者で3割強、検討者で約5割(建築者/検討者)
■建築者(全国)のZEH認知率は77.4%。前年より4.5ポイント増加。
■ZEH認知者のうち、ZEHを導入した人は25.3%で前年からほぼ変化なし。
■ZEH導入による光熱費等の経済的メリットは、平均で8,562円/月。
2030年度ZEH基準義務化の認知率は、建築者(全国)で34.1%、検討者(全国)で50.2%。
※ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは「外壁や窓など外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がおおむねゼロとすることを目指した住宅」です。
解説
SUUMO副編集長による解説
注文住宅の建築費・土地費用ともに直近7年の中で最高値を記録し、注文住宅取得のコストアップが顕著に表れました。この背景には、コロナ禍での需要により、新築分譲一戸建ての販売が好調なことで、土地の争奪戦が起こっていることが挙げられます。そのコストアップと比例するように、建築者の頭金・世帯年収・建築者の年齢の上昇が見られました。
一方、注文住宅以外の並行検討種別は減少していることなどから、注文住宅を建てた方は、「高くても注文住宅に価値を感じている人」であると考えられます。また、重視項目ではメンテナンスコストの安さを重視する方が年々増加しており、ZEHの認知も進んでいく中で、今後は初期コストだけではなく、ランニングコストに、より目が向けられていくことが予想されます。
昨今の建築費高騰は、検討者の約9割が認知しており、今後さらに上がる、もしくはこの水準が続くと考えている検討者が多くを占めました。しかし、建築時期の変更はしない方が約7割。また、予算をオーバーした際の行動としては、予算内で調整をされる方が約6割と多い一方で、「予算を増やす」が約4割おられ、建築時期も建築プランも変更しない方が一定数いると考えられます。
最後に着目したい調査結果として、ZEH認知率が直近5年の中で最高値となり、4人に3人が認知する存在になりました。ZEHの2030年の義務化についても、検討者の認知率が5割を超え、政府が省エネ推進に向けて住宅の省エネ基準の適合義務化を進める中で消費者の関心が高まっている様子が見られました。ハウスメーカー大手各社も、ZEH商品の強化を図っておりますし、実際のZEH導入による光熱費などの経済的メリットは、平均で8,562円/月という結果もでており、経済的メリットの大きさからも今後も導入率は伸びていくのでないかと見立てています。
SUUMO副編集長
中谷 明日香
調査概要
■調査目的
注文住宅の建築者/検討者(建築予定者)の意識や行動の把握
■調査対象
下記条件を満たすマクロミルモニターの男女個人
【建築者】 1年以内に一戸建て(新築・建て替え注文住宅)を建築(竣工ベース)した人
【検討者】 今後2年以内に一戸建て(新築・建て替え注文住宅)の建築を検討している人
*上記いずれも本人または家族が下記職業の人を除外
住宅メーカーまたは販売、不動産・建設関連、広告代理店・市場調査関連
■調査地域
全国
■調査方法
インターネットリサーチ
■調査時期
スクリーニング調査 :2022年7月29日(金)~8月8日(月)
本調査 :2022年7月29日(金)~8月8日(月)
■スクリーニング調査対象
296,340サンプル
■本調査有効回答数
【建築者】 1,856サンプル(全国)
【検討者】1,847サンプル(全国)
■調査実施機関
株式会社マクロミル
詳細は下記リンクよりPDFをご覧ください
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20221116_housing_01.pdf
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