飢餓と栄養不良が広がる南スーダン~人口の3分の2が急性食料不安に直面するおそれ【プレスリリース】
【2022年11月3日 ジュバ(南スーダン)発】
南スーダンでは、洪水や干ばつ、紛争の影響を受けている地域全体で、飢餓と栄養不良が広がっており、一部のコミュニティでは、もし人道支援活動が持続せず、気候変動適応策の規模が拡大されなければ、餓死に直面する可能性があると、国連は本日警鐘を鳴らしました。
* * *
本日発表された、「総合的食料安全保障レベル分類(IPC:Integrated Food Security Phase Classification)」の最新の分析結果によると、南スーダンの人口の約3分の2(776万人)が、2023年4月から7月の作物収穫量が減る時期に、急性食料不安に直面し、140万人の子どもが栄養不良に陥る可能性があることが示されました。
ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)および国連世界食糧計画(WFP)は、「危機(IPCフェーズ3)」以上の高レベルの食料不安、または栄養不良に直面している人々の割合が過去最高水準にあり、2013年と2016年の紛争時に見られた水準すら超えていると警告しています。食料安全保障の低下と栄養不良の広がりは、紛争やマクロ経済状況の悪化、異常気象、食料・燃料価格の高騰などの複合的要因と結びついています。同時に、人道的ニーズが確実に増加しているにもかかわらず、人道支援活動に対する資金は減少しています。
南スーダンを数年続けて襲っている洪水は、依然として続く紛争と世界的な食料危機によってすでに高い飢餓レベルをさらに悪化させています。同国の中部地域は、長年にわたって洪水の被害を大きく受けており、食料不安のレベルが最も高い地域です。
「南スーダンの自立した食料生産を促進するためには、特に生活支援が必要です。現在、54万1,000トンの穀物が不足しており、生産量と自給率を上げるためには、農村部の生活に対する緊急投資が必要なのです」と、FAO南スーダン事務所のメシャック・マロ代表は述べています。
国土の一部で食料安全保障にわずかな改善が見られるものの、南スーダン全体の栄養危機は深まっています。1つの郡を除くすべての郡で、栄養状況の悪化が2023年6月まで続くと見られ、そのうち44の郡の状況は危機的と判断されています。
ユニセフ・南スーダン事務所代表代行のイェスパー・メラーは、「過去3年間、洪水は南スーダンの多くの人々に劇的な被害を及ぼしてきました。被災した人々の中でも、食料不安や栄養不良に苦しむ子どもたちの数が増加しており、国際社会はこれを無視することはできません。気候変動の影響から子どもたちを効果的に守るために、私たちは最も弱い立場にある子どもたちに、複数部門にわたる社会サービスの介入という不可欠な包括的支援を確実に提供しなければなりません」と述べています。
南スーダンにおける2023年の人道的対応のための資金が、今後数カ月以内に緊急に必要です。さもなければ、人道支援機関は来年に向けた人道支援の準備が間に合わず、数百万世帯が飢餓の悪循環に深く陥ってしまう危険性があります。
* * *
注記:
2023年4月から7月の作物収穫量が減る時期には、776万人が深刻な急性食料不安に直面する可能性があります。これには、餓死の瀬戸際(IPCフェーズ4)にいる290万人、および4万3,000人の「大惨事(IPCフェーズ5)」の急性食料不安に陥ると予測される人々が含まれます。2023年の同時期、47の郡では人口の大半が「緊急(IPCフェーズ4)」に陥ることになります。
ジョングレイ州とユニティ州では、2023年4月から7月にかけて、それぞれ人口の74%と77%が「危機(IPCフェーズ3)」以上の状態になり、「大惨事(IPCフェーズ5)」の深刻な食料不安に陥る地域もある見込みです。
一方、南スーダンの南東部に位置する東エクアトリア州では、「アフリカの角」地域の干ばつの影響を受けた南スーダンの郡の中で、食料安全保障が最も大きく悪化しています。カポエタ地域一帯で乾燥状態が続き、作物は枯れ、家畜は死に、生活が壊滅的な打撃を受けています。
これらのIPCの数値は、2023年の作物収穫量が減る時期まで、人々が人道的食料支援を受け続けるという前提に基づいています。この食料支援がなければ、数値は大幅に悪化します。また、歴史的に食料不安の高い地域である上ナイル州のパニカン郡は、不安定な状態のため調査できなかったことに留意する必要があります。
* * *
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像