マイナビ、「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(2025年)」を発表
直近半年間のアルバイトへの平均賃上げ額は、406円で前年から大幅増。今後アルバイトに対して賃上げする予定の企業は35.4%。時給1500円以上への引き上げが現実的でない企業は7割超

TOPICS
◆ 直近半年間で行ったアルバイトへの平均賃上げ額は、前年から127円と大幅に増額。賃上げ理由は「最低賃金の改定のため」が45.4%で最多【図1、2】
◆ アルバイトの賃上げ方法は「第二の賃上げ(ベースアップ・手当の導入、増額)」が85.2%でトップ。話題の第三の賃上げは10 社に1社以上が実施【図3、4】
◆ アルバイトに対して賃上げする予定の企業は35.4%。時給1500円以上への引き上げが現実的でない企業は7割超【図5、6、7】
【調査概要】
◆直近半年間で行ったアルバイトへの平均賃上げ額は、前年から127円と大幅に増額。賃上げ理由は「最低賃金の改定のため」が45.4%で最多
直近半年間(2024年12月-2025年5月)にアルバイトに対して賃上げした企業は60.1%で前年(60.3%)から0.2pt減少した。企業をエリア「東名阪」「東名阪以外」と従業員規模「従業員300人以上の大企業※1」「従業員300人未満の中小企業」の4グループに分類して比較すると、最も賃上げの実施率が高かったのは「東名阪以外の大企業」で77.7%だった。次いで「東名阪の大企業」が66.5%、「東名阪の中小企業」が56.2%となった。
平均賃上げ額は、全体平均406円で、前年(279円)から127円と大幅に増加した。エリア・従業員規模別では、「東名阪以外の大企業」が増加額171円(2025年:410円、2024年:239円)と、最も増加した。
賃上げの理由としては、「最低賃金の改定のため」が45.4%で最も多く、制度改定に伴う最低賃金の引き上げが、企業の対応に影響している。【図1、2】
※1 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条で定義された「中小企業」の反対解釈として「大企業」とみなす
【図1】

【図2】

◆アルバイトの賃上げ方法は「第二の賃上げ(ベースアップ・手当の導入、増額)」が85.2%でトップ。話題の第三の賃上げは10 社に1社以上が実施
直近半年間において、アルバイトの賃上げをした企業のうち、「第一の賃上げ※2」を行った企業は35.7%、「第二の賃上げ※3」を行った企業は85.2%、「第三の賃上げ※4」を行った企業は13.1%と、「第二の賃上げ」を行った企業が最も多かった。また、近年注目されている「第三の賃上げ」に関しても、10社に1社以上が実施していた。
従業員規模別でみると、「第一の賃上げ」を実施した企業の割合は、大企業が41.2%、中小企業が32.5%となり、8.7ptの差が見られた。さらに「第三の賃上げ」においても、大企業が18.5%、中小企業が10.0%となり、大企業の方が8.5pt高く、企業規模によって差があることが分かった。
「第三の賃上げ」として実施された福利厚生の内容では、「交通費補助」が58.4%で最も多く、「食事補助(48.7%)」、「従業員割引(41.6%)」が続いた。大企業では「奨学金返済制度」が中小企業に比べて16.6pt高く、逆に中小企業では「人間ドックなど健康診断の補助」が12.3pt高かった。【図3、4】
※2「第一の賃上げ」:定期昇給 ※3「第二の賃上げ」:ベースアップ・手当の導入や増額 ※4「第三の賃上げ」:福利厚生サービスの拡充
【図3】

【図4】

◆アルバイトに対して賃上げする予定の企業は35.4%。時給1500円以上への引き上げが現実的でない企業は7割超
今後半年間でアルバイトに対して賃上げする予定の企業は35.4%で、前年(33.6%)から1.8pt増加した。
エリアおよび従業員規模別では、「東名阪以外の大企業」が43.1%と最も高い結果となった。
また、賃上げ予定額の全体平均は397円で、前年(273円)から124円と大幅に増加した。
賃上げ予定企業に対して、いつ頃賃上げするかを聞いたところ、「2025年10月」が35.6%で最も高かった。
さらに、今後現実的に引き上げが可能と考える時給水準は「1200円台」が21.7%で最多となり、平均的な引き上げ可能額としては1327円となった。一方で、「1500円未満」と回答した企業は全体の約7割(72.0%)となり、企業側の賃上げに対する上限意識も垣間見える。【図5、6、7】
【図5】

【図6】

【図7】

【調査担当者コメント】

今回の調査では、賃上げを実施した企業が6割となり、前年とほぼ同水準で推移しているものの、平均賃上げ額は前年以上に増加していることが明らかになりました。
特に「東名阪以外の大企業」では7割以上が賃上げを実施しており、平均賃上げ額も大幅に増加しています。さらに今後の予定についても、最も高い実施意向を示しており、今年の賃上げは東名阪以外のエリアについても一層進展することが期待できます。
また、賃上げした企業のうち、ベースアップや手当の導入・増額といった「第二の賃上げ」を実施した企業は8割を超え、最低賃金の改定や人材不足を背景に、企業が積極的にベースアップを進める動きが広がっていることが明らかになりました。
一方で、アルバイトに対する定期昇給や福利厚生の拡充といった「第一・第三の賃上げ」には企業規模による対応の差がみられ、長期的な雇用維持や人材定着に向けて、今後検討すべき課題が残されている可能性が示唆されます。企業の約7割が賃上げ可能な時給水準を「時給1500円未満」と見込んでいる現状を踏まえると、急激な賃金引き上げには限界があることも浮き彫りとなりました。
企業にとっては賃金以外の側面、すなわち福利厚生の充実といった「第三の賃上げ」を通じた雇用の魅力向上が、今後の人材確保において一層重要になるのではないでしょうか。
キャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋麻友美
『非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(2025年)』
■調査期間/2025年5月16日(金)~2025年5月30日(金)
■調査方法/WEBアンケート調査
(調査主体:株式会社マイナビ/アンケートモニター提供元:外部調査会社)
■調査対象/直近半年(2024年12月~2025年5月)以内に非正規雇用の採用業務に携わった20〜69歳の男女
■回答数/1,501サンプル
※レポート内に記載している「シニア」は「65歳以上」と定義しています。
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります。
※調査結果の詳細はこちら
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