ガザ、すべての5歳未満児が死のリスク~ユニセフ「飢饉」発生の危険性に警鐘【プレスリリース】
最新報告、支援状況まとめ
【2023年12月22日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は、パレスチナ・ガザ地区の5歳未満の子ども全員、33万5,000人が重度栄養不良と防ぐことができる死のリスクにさらされており、また地区の栄養状態の悪化により飢饉発生の危険があるとする報告について、声明を発表しました。
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21日、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は、ガザ地区における飢饉の危険性が非常に高く、現状が続けばそのリスクは日に日に増していく、との調査報告を発表し、世界に向け警鐘を鳴らしました。具体的には、ガザ地区の少なくとも4世帯に1世帯、つまり50万人以上が、壊滅的なレベルの急性食料不安に直面しており、これは警告の段階においては最高レベルである、と述べています。
このような、完全に人為的で、予見可能で、防ぐことのできる破滅的な状況は、現在ガザ地区の子どもたちとその家族が、空からの暴力と地上からの剥奪に直面していることを意味します。しかも事態は、これからより悪くなる可能性があるのです。
本報告ではまた、120万人近くが緊急レベルの急性食料不安に見舞われているとし、急性食料不安の飢饉のしきい値はすでに超えていることを明らかにしました。つまりガザの多くの家族にとって、飢えで命を落とす、という恐れがすでに現実のものとなっているのです。
これらの調査結果はガザ地区にいる33万5,000人の、つまりすべての5歳未満の子どもが、 飢饉のリスクが増大の一途をたどる中、重度栄養不良と予防可能な死の高い危険にさらされていることを意味しています。ユニセフは、今後数週間で、少なくとも1万人の5歳未満の子どもが、重度消耗症と呼ばれる最も生命を脅かす栄養不良の形態に見舞われ、治療食が必要になると推定しています。
この受け入れがたいリスクは、ガザ地区の食料および保健システムが完全に崩壊しているときに発生しました。ガザでは幼い子どもたちの80%以上が深刻な食料不足に直面しており、3分の2以上の病院が、燃料や水、必要不可欠な医薬品が不足しているため、あるいは攻撃で壊滅的な被害を受けたため、機能しなくなっています。
私たちはまた、15万5,000人以上の妊婦と授乳中の母親、そして13万5,000人以上の2歳未満の子どもの栄養状態についても特に懸念しています。彼女たちには、特に配慮すべき栄養ニーズがあり、ストレスやトラウマによって栄養状態がさらに悪化しているからです。
重要なことは、このような状況がこのまま続く必要はない、とIPCが強調していることです。今後数週間から数カ月の間に飢饉が発生する、という21日付の警告は、まだ回避することができます。そのために、私たちは今、行動を起こさなければなりません。
人道支援従事者がガザ地区全域で必要不可欠なサービスの強化と復旧を支援し、脆弱な立場にいる子どもたちが基本的な栄養と保健のニーズを満たせるようにするためには、即時かつ長期的な人道的停戦が必要です。これには、乳児用ミルク、食品、栄養補助食品、重度の栄養不良の早期予防・発見・治療のためのすぐに食べられる栄養治療食の提供や、水、医薬品、燃料の供給、商用輸送の再開などが含まれます。
幼い子どもたちや妊婦、負傷した患者たちが、救命治療やケアを安全に受けられるよう、病院を含む重要なインフラの復旧が必要です。
最後に、すべての当事者が、区別と均衡性の原則を含む、国際人道法を直ちに、そして全面的に尊重することが不可欠です。また民間人を保護するために必要なすべての予防措置を講じ、すべての人質を解放し、子どもたちを確実に保護し支援する義務を果たすことが必要です。
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ユニセフ・パレスチナ情勢レポートNo.11(2023年12月21日付)ハイライト
避難民の数は190万人に上り、最も人口密度の高いガザ地区南部では1平方キロメートルあたり1万2,000人を超えている。これは衝突激化前の4倍にあたり、無数の国内避難民が極度の過密空間に押し込められ、悲惨な生活環境で暮らさざるを得なくなっている。
食料不足と不衛生が生活環境を悪化させ、保護とメンタルヘルスに関する問題を増大させ、疾病まん延の一因となっている。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の避難所では、急性呼吸器感染症、髄膜炎、黄疸、とびひ(伝染性膿痂疹)、水ぼうそう(水痘)など、36万件以上の感染症の症例が記録されている。
ユニセフは、ガザ地区の避難所内にいる生後6~24カ月の子ども6万1,600人の1カ月分のニーズを満たす脂質ベースの栄養補助食品を、急性栄養不良の子ども3,000人にすぐに食べられる栄養治療食を、妊娠中および授乳中の女性1,660人に微量栄養素補助食品を、6~11カ月の乳児3,370人にビタミンA補助剤を提供した。
ユニセフは12月14日~20日の1週間で、井戸や海水淡水化プラントを稼働させるための燃料8万リットルを提供した。これにより、67万6,000人以上の子どもを含む130万人以上の人々が飲料用のきれいな水を手に入れることができた。
東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区において、ユニセフは298人の子どもを含む562人(うち320人は女性と女の子)に対し、子どもの保護に関するサービスと、子どもの権利に関する啓発セッションを提供した。
12月14日~20日の間に、ユニセフのトラック35台がガザに入り、重要な緊急支援物資を搬入した。これにより、2万7,000人分の衛生キット、7万5,000人分の医療用医薬品キット、乳幼児3,000人分のサプリメント入り栄養キット、2~16歳の子ども1万1,600人分の冬服が届けられた。
ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い
ガザの最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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