ガザ北部:2歳未満児の3人に1人が急性栄養不良、1カ月で倍増【プレスリリース】

ラファの食料配給センターの前で、食べ物を受け取るため待機する11歳のムハンマドさん(左)と9歳のリハムさん(中央)。家族のために毎日2キロの道のりを歩き、5時間以上をかけてようやく1食分の食事を手に入れている。(ガザ地区、2024年2月25日撮影) © Uラファの食料配給センターの前で、食べ物を受け取るため待機する11歳のムハンマドさん(左)と9歳のリハムさん(中央)。家族のために毎日2キロの道のりを歩き、5時間以上をかけてようやく1食分の食事を手に入れている。(ガザ地区、2024年2月25日撮影) © U

【2024年3月15日 ニューヨーク発】


ガザ地区北部では、2歳未満の子どもの31%、つまり3人に1人が急性栄養不良に苦しんでおり、これは1月の15.6%から驚異的な増加を示している、とユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしています。


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栄養不良は子どもたちの間で急速に広がっており、ガザ地区では、戦争の広範囲にわたる影響と支援物資の搬入制限の継続により、壊滅的かつ前例のないレベルに達しています。

 

ガザ地区北部では、ここ数週間で少なくとも23人の子どもが栄養不良や脱水症で死亡したと報告されており、パレスチナ保健省によると、今回の紛争中に同地区で犠牲となった子どもの数は約1万3,450人に上ります。

 

南部ラファにあるユニセフ支援の小児科のテントで、上腕計測メジャーで栄養状態をチェックされている3歳のアクラムちゃん。(ガザ地区、2024年2月15日撮影) © UNICEF_UNI519935_El Baba南部ラファにあるユニセフ支援の小児科のテントで、上腕計測メジャーで栄養状態をチェックされている3歳のアクラムちゃん。(ガザ地区、2024年2月15日撮影) © UNICEF_UNI519935_El Baba

ユニセフとパートナーが2月に北部で実施した栄養状態の検査によると、避難所や保健センターにいる子どもの4.5%が重度消耗症に陥っています。重度消耗症は栄養不良の中でも最も生命が脅かされている状態であり、緊急に治療食を与え治療をしない限り、彼らは合併症や死の危険にさらされます。しかし、治療食も治療も手に入りません。北部で栄養不良に陥っている5歳未満の子どもの割合は、13%から25%にまで増加しています。

 

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。 「ガザにおけるこの壊滅的な子どもの栄養不良の危機が、特に差し迫って必要な支援があとわずか数マイルの距離に準備されていたにもかかわらず、このような速さで進行していたことは衝撃的です。私たちは、何度も追加支援物資を届けようと試み、何カ月も前から直面しているアクセスの問題を解決するよう繰り返し求めてきました。しかしながら、子どもたちの状況は日を追うごとに悪化しています。命を守る支援を提供するという私たちの努力は、不必要な制限によって妨げられており、そのために子どもたちの命が犠牲になっているのです」

 

ガザ地区中央部のハンユニスで初めて実施された検査では、2歳未満の子どもの28%が急性栄養不良で、そのうち10%以上が重度消耗症であることがわかりました。

 

南部ラファにあるユニセフ支援の小児科のテントでは、子どもたちに上腕計測メジャーを使った栄養状態の確認や、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を用いた治療などの栄養支援を行なっている。(ガザ地区、2024年2月15日撮影) © UNICEF_UNI5199南部ラファにあるユニセフ支援の小児科のテントでは、子どもたちに上腕計測メジャーを使った栄養状態の確認や、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を用いた治療などの栄養支援を行なっている。(ガザ地区、2024年2月15日撮影) © UNICEF_UNI5199

援助が最も届きやすい南部のラファでも、2歳未満の子どもの検査の結果は、急性栄養不良が1月の5%から2月末には約10%へと倍増し、重度の消耗症は1%から4倍の4%以上に増加したことを示しました。

 

国連各機関は昨年12月以来、ガザ地区における飢饉の危険性を警告してきました。今年1月には、子どもの急性栄養不良率が緊急事態の閾値を超えました。子どもたちの急性栄養不良は急速かつ大規模に増加し続けており、さらなる人道支援と必要不可欠なサービスの再開がない限り、ガザ地区全域で増加し続け、より多くの人命が犠牲になる高い危険性があります。

 

ユニセフは、子どものためのすぐに食べられる治療食(RUTF)や乳児用液体ミルク、また予防的に妊婦用の鉄分や必要な栄養素を含む微量栄養素補助食品を用いるなど、急性栄養不良の治療を提供しています。今週、さらに多くの物資が到着する予定ですが、必要とされる量にはまだ十分ではありません。

 

ラッセル事務局長はこうも述べています。「私たちは、ガザの人道危機の悪化を回避するために、できる限りのことをしていますが、まだ十分ではありません。即時の人道的停戦は、子どもたちの命を守り、苦しみを終わらせる唯一のチャンスをもたらします。また、ガザ北部を含め、大規模な援助を確実に届けることができる複数の陸路での越境地点と、支援物資の配布に必要な安全の確保、および遅延やアクセスの妨げのない運搬経路が必要です」


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■ ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い

ガザ地区をはじめパレスチナで戦闘の影響を受ける子どもたちを支援するため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。

https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/  


■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
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03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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