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公益財団法人日本ユニセフ協会
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世界の子どもの4人に1人「重度の食の貧困」-ユニセフ新報告書が警鐘【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

干ばつや洪水の被害を受け、国内避難民キャンプへ逃れた母親と生後7カ月のファヒアちゃん。重度の急性栄養不良のため、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)による治療を受けている。(ソマリア、2024年1月撮影) © UNICEF_UNI534995_Hill干ばつや洪水の被害を受け、国内避難民キャンプへ逃れた母親と生後7カ月のファヒアちゃん。重度の急性栄養不良のため、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)による治療を受けている。(ソマリア、2024年1月撮影) © UNICEF_UNI534995_Hill

【2024年6月6日 ニューヨーク発】


世界の5歳未満の子どもの4人に1人に相当する約1億8,100万人が重度の食の貧困状態にあり、そうした子どもたちは栄養不良が引き起こす症状の中でも特に致命的な消耗症に陥る可能性が最大50%高いことを、ユニセフ(国連児童基金)は本日発表の新報告書で明らかにしました。


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報告書「子どもの食の貧困:乳幼児期の栄養の欠乏 (Child Food Poverty: Nutrition Deprivation in Early Childhood)」は、約100カ国のさまざまな所得階層を対象とし、世界中の乳幼児の間で起きている食の欠乏の影響と原因を初めて分析したものです。本報告書は何百万人もの5歳未満児が、乳幼児期およびその後の健やかな発育を持続させるために必要な、栄養価が高く多様な食品群が含まれる食事を摂取できていない、と警鐘を鳴らしています。

 

定義された8つの食品群のうち、多くて2つしか摂取していない子どもは、重度の子どもの食の貧困状態にあると見なされています。このような状態にある子どもの5人に4人は、母乳やミルク、および、米・トウモロコシ・小麦などのでんぷん質の主食の、両方またはそのどちらかしか与えられていません。果物や野菜を与えられている子どもは、10%未満です。また、卵、魚、鶏肉、その他の肉などの栄養価の高い食品を与えられているのは5%未満です。

 

子どもにやさしい空間で、栄養価の高い食事を口にする子どもたち。(ブルキナファソ、2023年12月撮影) © UNICEF_UNI486243_Dejongh子どもにやさしい空間で、栄養価の高い食事を口にする子どもたち。(ブルキナファソ、2023年12月撮影) © UNICEF_UNI486243_Dejongh

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。「重度の食の貧困にあえぐ子どもは、命の危機の瀬戸際にいます。 現在、何百万人もの幼い子どもがそのような状況に置かれており、生存、成長、脳の発達に取り返しのつかない悪影響を被っています。1日にわずか2つの食品群、例えば米とミルクなどしか摂取していない子どもは、重度の栄養不良に陥る可能性が最大で50%高まります」

 

報告書は、各国が新型コロナウイルス感染症の社会経済的打撃から回復途上にある一方で、拡大する不平等、紛争、気候危機の影響により、食料価格と生活費が記録的な高値に達している、と警鐘を鳴らしています。

 

重度の食の貧困に苦しむ1億8,100万人の子どもの65%が、わずか20カ国に集中しています。地域で見ると、約6,400万人が南アジア、約5,900万人がサハラ以南のアフリカに暮らす子どもです。

 

紛争、干ばつ、洪水に見舞われているソマリアでは、63%の子どもが重度の食の貧困に陥っており、最も脆弱なコミュニティでは、養育者の80%以上が、養育する子どもが丸一日何も食べ物を口にすることができなかったと報告しています。

 

ガザ地区では、数カ月に及ぶ戦闘と人道支援の制限により、食料システムと保健医療体制が崩壊し、子どもたちと家族に破滅的な結果をもたらしています。2023年12月から2024年4月にかけて行われた5回の調査では、ガザ地区の子どもの10人に9人が、1日に2つ以下の食品群が含まれる食事だけでかろうじて生き延びており、重度の食の貧困に陥っていることが一貫して明らかになっています。これは、戦闘と支援制限によって、子どもたちが必要とする食事を家族が与えられなくなっているという悲惨な状況の証しであり、子どもたちが致命的な栄養不良に陥る危険が迫っていることを示しています。

 

ラファの一時避難所に身を寄せる姉弟。紛争により父親は亡くなり、18歳の長女のタスニム(左から2番目)が弟たちの面倒をみているが、食料も水もなかなか手に入らない。(ガザ地区、2024年4月撮影) © UNICEF_UNI565092_Elieanラファの一時避難所に身を寄せる姉弟。紛争により父親は亡くなり、18歳の長女のタスニム(左から2番目)が弟たちの面倒をみているが、食料も水もなかなか手に入らない。(ガザ地区、2024年4月撮影) © UNICEF_UNI565092_Eliean

報告書によると、重度の食の貧困状態にある子どもの約半数(46%)が貧困世帯の子どもで、所得貧困が食の貧困の主因と考えられる一方、それ以外の9,700万人(54%)は比較的経済的に豊かな世帯の子どもであり、質の低い食環境と摂食習慣が乳幼児期の食の貧困の主な要因となっています。

 

栄養に富み安全かつ入手可能な食品を子どもに提供できない食料システム、栄養価の高い食品を購入できない家庭、子どもに望ましい食習慣を取り入れ持続することができない親など、いくつかの要因が子どもの食の貧困の危機に拍車をかけています。多くの状況で、安価で栄養が乏しく健康に悪い超加工食品や、砂糖入り飲料に関するマーケティング広告がさかんに打たれ、魅了された親や家族がそれらを子どもに与えることが、新たな日常となっています。こうした不健康な食品や飲料の消費行動は、食の貧困状態にある子どもの間で驚くべき高い割合に上っており、日々の食事の中でより栄養価が高く健康的な食品に代わって摂取されるようになっています。

 

他方で、重度の子どもの食の貧困に関して、注目すべき成功例もあります。例えば、ブルキナファソでは、重度の子どもの食の貧困率が67%(2010年)から32%(2021年)に半減しました。ネパールでは、20%(2011年)から8%(2022年)に、ルワンダでは20%(2010年)から12%(2020年)に減少しました。ペルーは、長期にわたる経済低迷の中でも、重度の子どもの食の貧困率を2014年以降5%以下に抑え続けています。

 

子どもの食の貧困を撲滅するため、ユニセフは各国政府、開発援助・人道支援団体、ドナー、市民社会、食品・飲料業界に対し、以下のことに至急に取り組むよう呼び掛けます。

  • 養育者が乳幼児に与える食品を選ぶ際、栄養価が高くて多様で健康的な食品が、最も身近かつ手頃な価格で手に入る望ましい選択肢となるよう、食料システムを変革する。

  • 乳幼児期の栄養不良を予防・治療するのに必要不可欠な栄養支援を提供するために、保健医療システムを活用する。これには、子どもに与える食事や適切なケアについて親や家族に助言をする、地域の保健・栄養スタッフへの支援も含まれる。

  • 社会的弱者である子どもとその家族の食料と栄養のニーズに対応する形で、現金・食料・引換券の給付などの社会的移転を通じて所得貧困に取り組むための社会保護システムを活性化させる。

 

重度の子どもの食の貧困と栄養不良を予防、特定、治療する活動を加速させるために、ユニセフは昨年、英国外務国際開発省(FCDO)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、児童投資基金財団 (CIFF)の支援を受けて、子ども栄養基金(CNF)を立ち上げました。CNFは、ユニセフが主導する複数のパートナーによる資金調達メカニズムで、子どもの栄養不良をなくすための国内投資を働きかけます。ユニセフは、各国政府やパートナーに対し、CNFへのサポートと、重度の子どもの食の貧困と栄養不良をなくすための持続可能な政策や行動を優先的に実施するよう、強く求めます。

 

注記

  • 子どもの食の貧困は、1日に摂取できる食品群の数によって以下のように分類されます。

    0~2食品群:重度の食の貧困

    3~4食品群:中度の食の貧困

    5食品群以上:食の貧困には該当しない

  •  消耗症:急性あるいは重度の栄養不足から生じる状態で、十分なカロリーを摂取できておらず、差し迫った死のリスクに直面します。消耗症の子どもたちはひどく痩せ、免疫系が弱っており、緊急の治療ケアを要します。

  • 食事の多様性:1日のうちに多様な食品群を消費することを指します。健やかな発育のために、子どもは次の8つの食品群のうち、少なくとも5つの食品群を摂取することが必要です。8つの食品群とは、①母乳 ②穀類、根菜類、塊茎 ③豆類、ナッツ類、種子類 ④乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ) ⑤肉類(肉、魚、鶏肉、レバーや内臓肉) ⑥卵 ⑦ビタミンAの豊富な果物や野菜(にんじん、マンゴー、濃い緑の葉野菜、かぼちゃ、オレンジ、さつまいも)⑧その他の果物、野菜です。


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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