引越し業界の「2024年問題」に関する調査結果を『引越し侍』が公開!
人員不足と価格高騰により、2025年繁忙期には「引っ越し難民」再発か?
株式会社エイチームのグループ会社である株式会社エイチームライフデザイン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:間瀬文雄)は、引越し業界における「2024年問題」について、引越し業者に調査を行った結果を公開いたしました。(https://hikkoshizamurai.jp/report/report-20240325/)
■物流の「2024年問題」とは
2024年4月から働き方改革関連法に基づき、トラックドライバーの時間外労働について960時間の上限が適用されます。運送・物流業界では、慢性的な人手不足に加えて労働時間が短くなることで、輸送能力が不足し「モノが運べなくなる」という可能性が懸念されています。こうした問題を「物流の2024年問題」と呼び、引越し業界においても、料金の高騰や引越し業者の手配が困難になるなどの影響が見込まれています。
■調査サマリー
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現時点での引越し業者への影響は約4割
現時点で「2024年問題」の影響が出ている業者は約4割。具体的な影響は、「1日あたりの対応件数の減少」や「人員減少」などが挙げられた。
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2024年4月以降は引越し対応件数・人員の減少のほか経費の増加も
2024年4月以降に「影響がある」と予測した業者は約8割。引越しの対応件数や人員の減少のほか、「人件費などの経費の増加」などを危惧する業者が多かった。
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「2024年問題」に向け、引越し業者は「社内の効率化」等で対策
「影響がある」と予測した業者のうち約7割が対策を行っている。具体的な対策は「社内の効率化」のほか「引越し料金の値上げ」「従業員の賃上げ」が続いた。
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引っ越し利用者は料金高騰・引っ越し枠の減少などの影響が予想
料金は100~110%の値上げが予想、引越し枠も減少が予想される。料金高騰に加え引越し枠の減少が起これば、2018・2019年に発生した「引越し難民」の再発も懸念される
■調査結果
1.現時点での引越し業者への影響は約4割
現時点で、実際に影響がある業者は約4割程度。過半数以上は、影響がないという状況のようです。また、「影響がない」という背景には、「まだ対応していない」というほかにも、いくつか理由が考えられます。
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既に適用後の基準で業務を行っていて、今はもう影響がない形で運営できている
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近距離の引っ越しが中心だったり、長時間労働をしていなかったりなど、そもそも今回の働き方改革法案の適用による影響を受けない
働き方改革法案の改正後の基準の適用は、2024年3月31日まで猶予されていますが、それまでに対応することも可能です。そのため、従業員数が多い引っ越し業者の中には、数年かけて既に対応済みなので、現時点では影響がないということもありえます。また、業務形態や運営方針などで、2024年4月1日以降の基準を適用してもしなくても、大きな影響はない業者もいるようです。
現在起きている主な影響としては、「1日あたりの対応件数の減少」が最も多い結果となりました。
人員減少なども既に発生しているようです。ほかにも、対応エリアの減少や経費の高騰が起きたり、長距離引っ越しが難しくなったりなどもあるようです。
「2024年問題」の起因は「労働時間の上限規制」なので、これにより1日あたりの労働時間が短くなり、対応件数が減ってしまうのは当然のように思えます。また引っ越しを含む運送・流通業界はそもそも、「たくさん働いて、たくさん稼ぎたい」という目的で就業している人が多いため、業務時間が短くなって収入が減ることは、離職の原因にもなります。
2. 2024年4月以降は引越し対応件数・人員の減少のほか経費の増加も
2024年4月以降は、約8割の業者が「2024年問題」による影響を危惧しているという結果になりました。今回の労働時間の上限規制では、年間の労働時間の規制しか明記されておらず、さらにこの「年間」の基準も、業者によって異なるようです。つまり、上限に達するタイミングは業者によって異なるということになります。そのため、約2割の業者は「影響がないのではないか」と推測していると考えられます。
予測される具体的な影響は、「1日当たりの対応件数の減少」が最も多いという結果になりました。「人員の減少」という回答も多いですが、「経費の増加」という回答も。経費が増えるということは、引越し料金が値上がりすることにもつながります。
3.2024年問題に向け、引越し業者は「社内の効率化」等で対策
「2024年問題」に関して、2024年4月以降に「影響がある」と回答した約8割の引越し業者の中では、約7割が対策を行っているようです。一方、約3割の業者では、「2024年問題」による影響を危惧していながら対策を行っていないという結果になりました。「対策のしようがない」、「どう対策したらいいかわからない」などのほか、「労働時間の規制を守らないとどうなるのかよくわかっていない」という業者もあるようです。
具体的な対策で最も多かったのは「社内の効率化」でした。引っ越し業界では見積もり金額からの値下げが常態化しているため料金を上げることが難しく、社内の効率化でやりくりをするというのが最もやりやすい対策といえるのかもしれません。
一方で、料金の値上げをしている業者も多いです。実際に、ここ数年の引っ越し料金は確実に上がっており、2024年は過去最高の平均料金となりました。
4.引っ越し利用者は料金高騰・引っ越し枠の減少などの影響が予想
引越し料金については、「変わらない」と予測した業者が最も多く、次いで「100~110%ほど値上がりする」という回答が多い結果となりました。2024年2月の平均料金が単身で約7万円、家族で約12万円。110%に値上げすると仮定すると、単身で約7.6万円、家族で約13.8万円まで相場が上がると予測されます。
実際に値上げをしている業者も多いなかで引越し料金が「変わらない」と予測する業者が多いのは、実際の料金と引越し業者の「感覚」の違いがあるかもしれません。引越しは訪問見積もりの際に、提示した料金から値下げをするのが一般的のため、見積もりを行うスタッフは「相場が上がっている」と感じる機会が少ないのではないかと考えられます。
引っ越し枠(引越し業者が対応できる引越し件数の数)についても、「変わらない」と考えている業者が最も多く、次点で「少し減少する」という回答が多い結果となりました。ただし、「かなり減少する」「まぁまぁ減少する」といった回答を含めると44%で、程度の差はあれど「減少する」と考えている業者が最も多いことになります。実際にこれまでの調査結果でも、「1日の対応件数を減らす」としている業者も多くあったため、引越し枠が減るのは妥当といえます。
引っ越し枠が減少し、費用が高くなれば、次に起こるのは「引っ越し難民」です。
新型コロナウイルス感染による行動制限などで一時は落ち着いていた引っ越し難民ですが、現在危惧されている料金高騰や人手不足などが解消されなければ、2025年の繁忙期にもまた発生する危険は多いにあります。
「引越し侍」編集部からのコメント
「2024年問題」の原因ともいえる労働時間の上限規制は、労働者の環境改善のために行われたはずでした。しかし、運送・物流業界では「長時間働いて高賃金を得たい」と考える人も多いため、この規制で収入が減り離職するドライバーが増加し、人員不足や料金の高騰などの問題が発生しています。労働時間を規制するだけでなく、今までと同水準の収入がなければ、労働環境の改善とはいえません。
ドライバーや作業スタッフの労働環境の改善がされにくいのは、引越し業界全体の問題点でもあります。 引越し利用者が今まで「不適切なほど安い価格でサービスを受けている」という側面もあるからです。事業者が作業員やドライバーに適正な賃金を支払うためには、ユーザーが引っ越しに対して適正な料金を支払うことも大切です。
ユーザーが納得する価格かつ、事業者やスタッフにも適正な報酬が入る価格でうまくバランスをとる手助けをするのが、「引越し侍」の役割だと考えています。複数業者を比較することで、引越し業者が高すぎる見積もりを出すのを防ぐだけでなく、ユーザーに安すぎない適正価格を提示し、引越し業者への負担を減らすことを目指しています。また、引越し業者を選ぶ基準が「安さ」だけにならないよう、口コミや評判を掲載して納得感のある引越しができるサポートを行います。そして、引越し業者とユーザーが適正な価格で引っ越しができるようになれば、ドライバーや作業スタッフにも適正な賃金が支払われるようになります。
このようにして「引越し侍」は、引越し業界の問題解決とさらなる発展に向けて尽力してまいります。
【『引越し侍』について】
ITの力で『一人ひとりの、暮らしの「まよい」を「よかった」に。』をミッションとするエイチームライフデザインが運営する「引越し侍」は、引越し体験をより良くするためのwebサイトです。全国340社以上(2023年1月現在)の引越し会社の中から、料金やサービス・クチコミを簡単に比較でき、引越し情報を入力するだけで、お客様の条件にあわせて引越し会社を予約ができるほか、一括で最大10社に見積もりの依頼ができます。また、引越し準備や手続き、見積もりのコツなど引越しにまつわるお役立ち情報を発信しているほか、転勤や海外への引越しやオフィスの引越し、ピアノの引越し・売却などをサポートするサービスもございます。
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■会社概要
会社名:株式会社エイチーム(Ateam Inc.)
所在地:愛知県名古屋市中村区名駅三丁目28番12号 大名古屋ビルヂング32F
代表者:代表取締役社長 林高生
設立:2000年2月29日
資本金:838百万円(2023年1月31日時点)
事業内容:人生のイベントや日常生活に密着した様々なウェブサービスを提供する「ライフスタイルサポート事業」、多様なジャンルのゲームやツールアプリケーションを企画・開発・運営する「エンターテインメント事業」、複数の商材を取り扱うECサイトの企画・開発・運営をする「EC事業」の3つの軸で事業を展開する総合IT企業
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