「ガザ、飢きんの恐れ」ユニセフら新報告 物資搬入の即時再開求める 7.1万人の子ども、緊急栄養治療が必要に 【プレスリリース】

ユニセフが支援するガザの病院で、重度栄養不良の治療を受ける生後5カ月のシワールちゃん(パレスチナ、2025年5月7日撮影) © UNICEF/UNI792683/Eleyan

【2025年5月12日 ローマ/ニューヨーク発】

パレスチナ・ガザ地区の全住民にあたる210万人が総合的食料安全保障レベル分類(IPC)におけるIPCフェーズ3(急性食料不安)以上の状態に、また47万人が飢きんに陥る恐れがあることを受け、ユニセフ(国連児童基金)と世界食糧計画(WFP)は、以下を発表しました。

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ガザ地区全域の住民は、戦闘が再び激化し、検問所が依然として閉鎖され、食料が危機的に欠乏していることから、飢きんの危険にさらされています。3月2日にすべての支援物資の搬入が停止されて以来、飢餓と栄養不良が急激に悪化し、今年初めの停戦中に見られた顕著な人道上の成果が失われています。

本日発表され、9月末までの予測を掲載したIPCの概報によると、ガザ地区の47万人に対し飢餓の最も深刻なフェーズである「飢きん」(IPCフェーズ5)の危機が迫っており、また全ての住民が急性食料不安に陥ると考えられます。さらにこの報告では、7万1,000人の子どもと1万7,000人以上の母親が、急性栄養不良による緊急治療を必要としていると見込んでいます。2025年の初めには、治療を必要とすると推定されていた子どもの数は6万人でした。

ガザにあるユニセフのクリニックで、上腕計測メジャーを使った栄養状態の検査を受ける子ども(パレスチナ、2025年5月11日撮影) © UNICEF Video/UNI793400

 ガザに関する IPC の報告では、軍事行動の再開、継続中の全面封鎖、そして生きるのに必要な物資の深刻な欠乏により、今後数カ月で食料不安、急性栄養不良および死亡率が、飢きんの域に達する可能性があると予測しています。

ガザの子どもの大多数が、IPC報告書で17の国連機関とNGOが確認したように、深刻な食料不足に直面しています。保健医療サービスを受けることが極めて制限され、安全な水と衛生環境が著しく逼迫している状況下で、北ガザ、ガザ、ラファの3県で急性栄養不良の急増が予想されています。

重度の栄養不良に苦しむガザの子ども(パレスチナ、2025年5月11日撮影) © UNICEF Video/UNI793912

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは述べています。「飢きんの危険は突然襲ってくるものではありません。食料へのアクセスが断たれ、保健医療システムが崩壊し、子どもたちが生きるのに必要な最低限の物さえない場所で、徐々に進行するのです。ガザ地区全体の子どもは、飢えと急性栄養不良という現実を日々経験しています。私たちは、このような事態となることについて、繰り返し警鐘を鳴らしてきました。すべての当事者に対し、大惨事を防ぐようあらためて訴えます」

 ガザへの支援物資搬入経路である検問所は2カ月以上閉鎖されており、これは住民が経験した最も長い閉鎖期間です。これにより、市場での食料価格が天文学的な水準まで急騰し、売られているわずかな食料も、ほとんどの家庭では手の届かないものとなっています。

同時に、100万人を最大4カ月間支援できる分量にあたる11万6,000トンを超える食料支援物資が、既に支援回廊に配備され、搬送待機中です。命を守る栄養治療物資を積んだ数百のパレットも、搬入を待っています。国連諸機関は、すべての利害関係者および食料安全保障のパートナーと協力し、検問所が再開され、原則に基づく支援の搬入が可能になり次第、これらの食料および栄養に関する物資を運び入れ、配布する準備を整えています。

ユニセフ等はガザ地区に留まり続けており、必要な人道支援の基本原則に従い命を守る支援を行う体制は整っています。

WFPは4月25日、家族向けの温かい食事を提供する調理施設を支援するために、備蓄されていた最後の食料を放出しました。ほぼ1カ月前には、小麦粉と調理用燃料の不足により、WFPが支援する25の製パン所がすべて閉鎖されました。同じ週に、家族向けのWFP食料配給品(2週間分の食料配給分)も尽きました。ユニセフは、水の配布と非常に重要な栄養サービスの提供は続けていますが、栄養不良を予防するための物資の備蓄は底を突き、急性栄養不良の治療に必要な物資も極めて不足しています。

ユニセフ等は、すべての当事者に対し、民間人のニーズを最優先し、ガザへの支援物資の搬入を直ちに認め、国際人道法に基づく義務を履行するよう強く求めます。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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