幻の魚を守るためのアクション「サツキマスから学ぶ海の今と未来~シンボルフィッシュとたどる清流長良川の旅~」を開催しました!
2024年8月8日(木)・9日(金) 世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ ほか
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
・開催概要 岐阜県を流れる長良川で幻の魚と言われるほど減少している回遊魚サツキマス。
川で生まれ、海に行くのはなぜ?どうして減っているのだろう―。
海なし県の岐阜県の小学生が対象で、水族館で貴重な生体を見学するほか、
長良川の河口部に広がる干潟の観察、サツキマスのえさとなるイカナゴの漁師による講義、
海の魅力を体感するサップ体験などを通して、海の課題と解決について考える
体験学習ツアーです。
・日程 2024年8月8日(木)8時15分 ~ 9日(金)17時30分(1泊2日)
・開催場所 世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ(岐阜県各務原市川島笠田町1453)
高松海岸(三重県三重郡川越町朝明川河口)
愛知県水産試験場漁業生産研究所(愛知県知多郡南知多町大字豊浜字豊浦2‐1)
山海海岸(愛知県知多郡南知多町山海橋詰59)
・参加人数 岐阜県内の小学5・6年生20名
・後援 岐阜県教育委員会
”幻の魚”サツキマス その姿と生態、取り巻く環境を知る
子どもたちは各務原市川島笠田町の世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふを訪れ、分水嶺を模した山における川の始まりと海までのつながりをたどりながら、ことし長良川を遡上し捕獲されたサツキマスを観察。サツキマスを長年獲っている長良川漁業協同組合の組合員飯田哲夫さんから、アマゴの水槽でひと際大きな雄姿を見せるサツキマスの見分け方を教わりました。「銀色に輝く姿にとりこになった」という飯田さん。岐阜県の川で生まれて、長良川を下り、伊勢湾で大きく育ってまた、長良川に戻ってくる生態について説明し、「川と海はつながっている。川や海を守るために、ごみを捨てないことが大事」と呼び掛けました。アクア・トトぎふの職員大島 啓さんは、県内には110種の淡水魚が生息し、うち外来種は37種を占め、絶滅危惧種は31種に上ると説明。「河川が単調化している」とし、池のようになった「ワンド」が減って産卵するための二枚貝が少なくなったことや外来種の影響で国の天然記念物のイタセンパラが減少したことなどを伝えました。子どもたちはサツキマスを取り巻く環境から、山・川・海のつながりを知り、それぞれの変化がもたらす影響を学びました。
干潟は命のゆりかご 海の底を歩いて知る豊かさと危機
三重県三重郡川越町の朝明川の河口に広がる高松干潟。子どもたちは川沿いの堤防に立って、川が注ぐ海を見渡した後、干潮で現れた海の底へ。干潟の環境を守る活動をしている「高松干潟を守ろう会」の水谷いずみ会長らの案内で歩き、生き物の観察をしました。一歩一歩進むごとに見つかるカニや貝。カニのすばしっこさに初めは驚いていた子どもたちも、目が慣れてくると次々と捕まえて仲間で見せ合って喜んでいました。一方、砂浜には、その生き物の数を上回るのではと感じるほどのごみが散乱。子どもたちはペットボトル、缶などを拾いながら、サツキマスの遡上の通り道となる伊勢湾沿岸域の自然の豊かさとともに、それを人がおびやかしている現状を目の当たりにしました。水谷さんは、海にすむ生物だけでなく、海岸に自生して砂浜の砂が流れ出すのを防いでいる海浜植物も紹介し、生物の多様性によって一帯の環境が保たれていることも教えてくれました。
サツキマスのえさ イカナゴがいなくなった?!
愛知県知多郡南知多町の愛知県水産試験場漁業生産研究所では、同研究所海洋資源グループ主任研究員の
今泉哲さんと愛知県ぱっち網漁業者組合の磯部治男組合長から、サツキマスのえさとなるイカナゴについて話を聞きました。愛知県の漁獲量は全国有数で、加工品は「ちりめん」「じゃこ」などとして親しまれてきましたが、近年は獲れず、9年間禁漁が続いています。今泉さんは減少の理由について、イカナゴは冷たい水を好む魚であるものの海水温が上がっていることや、他の魚に食べられることが増えたことなどを挙げ、サツキマスが育つ伊勢湾の今と昔の変化を説明しました。また、現在はイカナゴに代わり行っているカタクチイワシの漁では、研究者と漁師が連携して漁獲量を調整し、資源管理に努めていることを紹介し、子どもたちが真剣に耳を傾けていました。
漁師の磯部組合長は、イカナゴが大漁だったころの様子を語ったほか、網に掛かったサツキマスを食べたときの感想を「とてもおいしかった」と話し、子どもたちが目を輝かせていました。また、海なし県の人たちに取り組んでもらいたいこととして「木を植えて、育ててほしい。山が育んだ栄養が川を下って海を豊かにしてくれる」と伝えました。
会場には、地元で獲れた多様な小魚も展示され、子どもたちはにおいをかいだり、触ったりして、調理される前の生の魚の状態を興味深そうに学んでいました。
サップ体験で海を満喫 海に入るのは初めてという児童も
2日目は愛知県知多郡南知多町の山海海岸でサップに挑戦。子どもたちはライフジャケットを着用し、出発からこれまで親しんできた5つのグループごとに海を体験しました。海は見たことはあっても、入るのは初めてという子も。「泳ぎが得意ではないから」と初めは不安そうだった子も、打ち寄せる波や海水の塩辛さを体感すると笑顔を浮かべていました。2日間共に過ごしてきた学生サポーターも一緒に入り、体験の安全をサポートしました。
SURFER’S TOY 代表でインストラクターの河合繁輝さんは「山、川、海はつながっている。人が捨てたごみは自然に消えることはなく海にたまり、魚が食べて死んでしまう」と話し、海の課題も伝えました。
体験の後は、スタッフも一緒に全員で砂浜のごみ拾いをしました。
CM制作に挑戦! 学んだことを呼び掛けよう
2日間の学びのまとめは、岐阜市橋本町の岐阜放送本社でのCM制作。子どもたちはグループごとに、海の課題解決に向けたアクションを訴えるCMを考えて出演しました。
「岐阜県にはサツキマスという魚がいます
昔はたくさんいましたが、今は少なくなっています
僕たちはサツキマスが絶滅しないように学んできました
なぜなら、川や海の環境が悪くなったからです みんなで海を守ろう!」
子どもたちは絵コンテを書いてセリフを考えたほか、絵を描いて見せたり、劇のように役を演じたりして、30秒の中にそれぞれの思いを込めました。CMは、9月17日(火)から11月30日(土)まで、5つのグループごとに2週間ずつ、岐阜放送で放送するほか、岐阜バスの車内サイネージ、JR岐阜駅前の大型ビジョンでも放映予定です。
参加した子ども・保護者からの声
【参加した子どもの声】
・サツキマスの育つ環境や、サツキマスを増やしたいと思う人たち、海を守りたいと思う人たちの気持ちを
学びました。
・生き物が1匹減ることで、たくさんの魚に影響があることを知った。
・知らなかった事を知れて魚や海のことをもっと知りたくなった。
・あまり他のところでは体験できないようなことばかりで楽しかった。
・ごみ拾いをしたいです。海がきれいになるし、魚がごみを食べないから。
【保護者からの声】
・川は身近だけど、そのずっと先は海につながっていること、たくさんの生き物が生活をし、
その環境の変化を知り、きれいに大切にしたいとの思いが深くなったようです。
・普段の生活の中で地球温暖化が海の生態系にも影響を与えていることを考えると、近所に行くときは
自動車ではなく自転車を使う、身近に落ちているごみは率先して拾うなど、自分ができることは
意識して行動したいと思います。
<団体概要>
団体名称:一般社団法人海と日本プロジェクト岐阜
活動内容 :日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、海のない岐阜県民が次世代へ海を引き継ぐため、海を介して人と人がつながることを目的とした各事業を実施しています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
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