アサリ減少の原因を追及!「ひごんアサリ調査隊~熊本のアサリを守ろう~」を開催しました!
2024年8月20日(火)~22日(木) 【場所】熊本県立大学など
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
・開催概要:熊本県近海では、豪雨による淡水化や食害などの理由でアサリの漁獲量が減る問題が起きています。生産者はエイやカモからの食害を防ぐ「漁獲量減少」対策として、網で保護しながらアサリを生産するなどの工夫を行っています。参加した小学生は「天然アサリの復活」をテーマとし、アサリの復活のためにどのような活動や研究をしているのかなどを専門家から学び、それらを享受していくためにはどうしたらいいかを子どもたち自身が考え、「アサリが生きる干潟の環境を守るためのきっかけ作り」を行いました。そして、イベントを通して学んだ「自分たちがアサリの減少を防ぐためにできること」をイラスト・メッセージにして、オリジナルメニューを開発。「アサリの減少」という熊本の海で起きている問題をたくさんの人に伝えることを目指します。
・日程:2024年8月20日(火)、21日(水)~22日(木)1泊2日
・開催場所:熊本県立大学(熊本市東区)、小島漁協(熊本市西区)、10Toki3Toki(宇城市三角町)
・参加人数:小学5・6年生 21人
・協力団体:熊本県立大学、小島漁協、一般社団法人10Toki3Toki
まずはアサリについてお勉強
熊本県立大学の講義室に集まったひごんアサリ調査隊の21人。今回の調査隊長を務める熊本県立大学の堤学長から、まずはアサリ漁の歴史やアサリの漁獲量の変化、アサリが減少した原因、堤学長が行っている研究の内容を学びました。
熊本県はかつて国内生産量の4割を占めるアサリの一大産地でした。熊本県は干潟の面積が日本一で、熊本県の有明海と八代海の干潟はそのほとんどがアサリが好む砂の干潟です。しかし、近年、そのアサリの漁獲量が減っています。
アサリが減少した原因について、多くの子どもたちが「漁師が獲りすぎたから」と予想。話を聞いていくと「人間が川の砂を採りすぎたことで干潟の砂の質がかわったから」「ホトトギスガイが作る泥マットが干潟を覆い、砂を好むアサリが住めない場所が増えてしまった。強い波で泥マットを飛ばしていた台風の進路が地球温暖化の影響で変わったためか」「エイがアサリを捕食するから」「今まで飛来していなかったカモが来るようになりアサリを大量に殻ごと食べるから」「豪雨で干潟が淡水状態になりアサリが死んでしまったから」などたくさんのアサリが減った原因を知りました。
その原因の多くに共通することは「地球温暖化」ではないかと考え、子どもたちは地球温暖化を食い止めることがアサリと海を守ることに繋がるのだと学びました。
地球温暖化を食い止めるために「エコバックを使う」「エアコンの温度を上げる」「バスを使う」など自分たちに実践できることを考えた子どもたち。最初の授業からしっかりと自分ごととして捉えることができました。
アサリを食べてみよう!
熊本のアサリを食べてみようということで、小島漁協で獲れたアサリを使って熊本市東区にある飲食店「ごはんや ふくろう」が特別にアサリ弁当を作ってくれました。
アサリグラタンやアサリトマトソースのメンチカツ、アサリリゾット、アサリだしの炊き込みご飯など様々なアサリ料理を作ってくださり、子どもたちも大はしゃぎ。夢中でいただきました。
干潟でアサリ観察!アサリの天敵も発見!
アサリがどんなところで暮らしているのか、どんな食害対策が行われているのかを知るために、熊本市西区の小島漁協へ。初の胴長を履いて、いざ干潟へ!熊本県の有明海と八代海はほとんどが砂の干潟ということで、急に足が深くまで入る場所も。アサリがいる場所に移動するまでに多くの子どもたちが干潟の洗礼を受けたのですが、それも楽しい!みんなで手を取り合いながら進みました。歩くとエイの捕食痕やアサリを食べるツメタガイの多さにビックリ。堤学長の解説を聞きながら歩みを進めます。
到着したアサリのいる場所はネットに覆われている部分もあったりと、普段堤学長が実験をしているエリア。保護した場所と保護していない場所ではどういう違いがあるのかを調べるために、金属の枠に同量の砂をとり、ふるいでふるって細かな砂を落として残ったサンプルを持ち帰ります。
細かな作業ですが、子どもたちは真剣に取り組んでいました。1日目の活動はこれで終了!採集したアサリは翌日の実験で使います。
小島漁協の漁師の皆さんからはノリで干潟をかたどった壁飾りのプレゼントもいただきました!想い出に残るプレゼントに子どもたちも嬉しそう!
大学で本格的な実験!
2日目も元気に朝を迎えた子どもたち。大学の実験室でアサリ実験です。まずは昨日採取した保護されていた区画・されていなかった区画のアサリのサイズを、デジタルノギスで測って記録していきます。測る…測る…ひたすら測る…なんとみんなで1549個ものアサリのサイズを測りました。手際の良さに堤学長はビックリ。みんなの集中力にスタッフもビックリ。その結果、どちらにも去年の秋に生まれた殻の長さ10ミリ前後のアサリが多くいることが分かり、殻の長さ20ミリを超える個体はほとんど見られませんでした。アサリの密度が高いことで成長速度が遅くなる問題があることや保護シートの中は外敵から守られているはずなのに大きな個体が見当たらないことなど、今の課題を堤学長と一緒に目の当たりにした子どもたち。研究の難しさを実感していました。
アサリが減少する原因の1つが「豪雨による淡水化」ということで、塩分何‰の食塩水だとアサリが水管をだすのか、という実験も行いました。0〜30 ‰の食塩水を用意し、水管を出したのは30‰の食塩水。アサリが生きていくためにはたくさんの塩分が必要なことに子どもたちは驚いていました。この知識はアサリの砂抜きでも活かせます!
他にも顕微鏡でアサリのエサを観察したりと貴重な経験をしました。
熊本県立大学からも子どもたちにプレゼントが!大学オリジナルの付箋とくまモンバッジとUSBが贈られました。USBには子どもたちやスタッフが撮影した写真を入れてお渡ししました。
元クルマエビの養殖場の干潟を再生!
宇城市で干潟の再生活動に取り組む一般社団法人10Toki3Tokiという団体を訪れ、干潟観察をしました。もともとクルマエビを養殖していた場所のため、コンクリートに囲まれていてアサリの天敵が海からは入ってこないようにすることができます。小島の干潟とはまた違うカニなどの生き物がたくさんいて子どもたちは大はしゃぎ。干潟の自然の豊かさを感じました。
学んだことをアサリメニューにアウトプット!発表練習も
3日目は学びの発信です。この3日間で学んだことを詰め込んだ「アサリメニュー開発」と「アサリのメニュー表制作」を行いました。子どもたちが考えたメニューは10月ごろからグランメッセ熊本で提供されます。アサリの出汁のうまみを感じた子からは「アサリのだし巻き卵」という案が。小島漁協でノリも生産していることから「アサリとノリの茶碗蒸し」の案が。たくさんの人の興味を惹くようにと「アサリのあっさりサラダ」という面白い案も出て、グランメッセレストラン オーシャンズセブンの沖さんは「全部採用したい…」と頭を悩ませていました。メニュー表へのメッセージは「数は減っていますが立派に育ったアサリを是非食べてください」「アサリを守るためにも地球温暖化を止めましょう」など思いのたけを記入。
どんなメニューに仕上がるのかはどうぞお楽しみに。
参加した子ども・保護者からの声
参加した子ども
・アサリはどれくらいの食塩の濃さが必要なのかが、思っていたよりとても多い食塩が必要だったことに驚いた
・アサリを守るためにいろんな人がお金をかけてアサリを復活させようとしていてビックリしました
・アサリが今いなくなっているのは、地球温暖化や捕食者が増殖していっているという問題があるということを学んだ
・干潟に行ったときたくさん疲れたけれど初めての干潟でとても楽しかったです
・自分たちのせいで色々問題が起こっている、それをほったらかしにしてはいけない
保護者
・帰ってきて子どもが、キラキラした目で学んだことや体験したことをいっぱい話してくれました
・イベントがよほど楽しかったらしく、お迎えの後は"もう終わっちゃったのかぁ…。"と名残惜しそうでした。
・アサリの生態や何故減少したか、教授達が何を研究して、今後どういう対策をしていくかを帰ってから教えてくれました
<団体概要>
団体名称:一般社団法人くまもと海のミライ
URL:https://kumamoto.uminohi.jp/
活動内容:一般社団法人くまもと海のミライは、海と日本プロジェクトinくまもとの事務局として熊本県の海の魅力を伝え、海と共生するムーブメントを起こすことを目的に活動しています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
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