【岡山大学】不安定なタンパク質の凝集問題を解決、基礎研究から診断薬開発までを支える「S-カチオン化」技術の応用

国立大学法人岡山大学

2026(令和8)年 5月 29日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

<発表のポイント>

  • 独自開発の「S-カチオン化」技術で、従来取り扱いが困難だった不安定で凝集しやすい「天然変性タンパク質」を可溶化・精製し、化学的に安定な状態で取得可能に。

  • S-カチオン化抗原を免疫に用いると、高品質な抗体が取得可能で各種の基礎研究や自己抗体バイオマーカー測定の精度管理が可能に。

  • がん・自己免疫疾患領域に求められるバイオマーカー測定の精度を高めるプラットフォーム技術として、基礎研究から診断薬開発まで幅広い活用に期待。

◆概 要

 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の大学院ヘルスシステム統合科学研究科博士後期課程の坂口隆偉大学院生、同大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の宮本愛助教、二見淳一郎教授らの研究グループは、独自開発のS-カチオン化法で、従来取扱いが困難であった天然変性タンパク質を可溶化・精製する技術を確立しました。

 がん・自己免疫疾患領域では、個々の患者で異なる免疫応答を正確に把握する「プロファイリング」や「モニタリング」が求められており、血液中の自己抗体が重要なバイオマーカーとして注目されています。しかし、標的となる自己抗原の多くは「天然変性タンパク質」に分類され、不安定で凝集しやすいため、高精度な測定系構築の障壁となっていました。

 本研究では、S-カチオン化法で精製した自己抗原をウサギに免疫すると、高品質な抗体が取得できることが確認されました。これらを陽性コントロールとして、多項目の自己抗体測定パネルで測定誤差20%以下の高い再現性と信頼性が確認され、臨床研究で利用できることが実証できました。天然変性タンパク質は多くの生命現象や疾患に関与する重要な創薬ターゲットです。本手法は未解明な点が多い天然変性タンパク質に対する強力な研究ツールとなるだけでなく、高精度な次世代診断薬の開発を加速させる画期的な基盤技術となります。


 本研究成果は、2026年3月4日付で学術雑誌「Bioconjugate Chemistry」誌に掲載されました。

 本件は、2026年5月28日公開されました。

◆研究者らからひとこと

 タンパク質の変性や凝集は、研究や産業利用における重大な課題です。私たちは、独自開発の化学修飾による可溶化技術を解決策として提案し、社会実装を目指しています。タンパク質工学の力で、自己抗体バイオマーカーによる精密な個別化医療の実現を目指しています。

(左から)二見教授、坂口大学院生、宮本助教

◆論文情報
 論 文 名:A Cysteine-Specific Cationization Strategy for Versatile Antibody Production against Intrinsically Disordered Proteins
 掲 載 誌:Bioconjugate chemistry
 著  者:Ryui Sakaguchi, Ai Miyamoto, Rikako Kutsuma, Takeru Mori, Daichi Nakashima, Mirei Masui, Tomoko Honjo, Midori Futami, Mariko Morii, Toshiyuki Oshiki, Junichiro Futami
 D O I:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.bioconjchem.6c00001

◆研究資金
 本研究は、日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業(22H01881, 24K10913, 23K14923, 23K07161, 24K23389)、日本血液学会奨励費、特別電源所在県科学技術振興事業補助金、および科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)(JPMJST1918)の支援を受けて実施しました。

◆詳しい研究内容について
 不安定なタンパク質の凝集問題を解決、基礎研究から診断薬開発までを支える「S-カチオン化」技術の応用

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260408-1.pdf

◆参 考
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学学域(工学部・化学・生命系)蛋白質医用工学研究室(二見研究室)
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/proteng/
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
 https://www.gisehs.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学 工学部
 https://www.engr.okayama-u.ac.jp/

◆参考情報

・【岡山大学】がん免疫応答の狼煙を検出し、免疫地固め療法の有効性を早期に判定する技術開発に成功

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003286.000072793.html

・【岡山大学】新規で安価なプロテオミクス技術の開発に成功! ~個別化医療の精度を上げる自己抗体バイオマーカー探索の強力ツールに~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001679.000072793.html

・【岡山大学】がんと免疫の戦歴と戦況を評価する技術が実用化に近づく ~網羅的な自己抗体バイオマーカー測定の定量性を保証するシステムを構築~                                                   

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000700.000072793.html

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)

本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域(工学部 化学・生命系)教授 二見淳一郎
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス 工学部6号館 460室
 TEL:086-251-8217
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/proteng/

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 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
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 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
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     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

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    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html

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会社概要

国立大学法人岡山大学

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
電話番号
086-252-1111
代表者名
那須保友
上場
未上場
資本金
-
設立
1949年05月