池澤春菜×川瀬七緒スペシャル対談!ファッションで読み解く小説『テーラー伊三郎』
今回、服飾デザイナーとして活躍されていた経験を持つ川瀬七緒さんと、声優や女優としてだけでなく、書評やエッセイを執筆し文筆家としても活動されている池澤春菜さんの対談が実現。作品の題材であるコルセットを中心に、ファッションへの思いをたっぷりと語っていただきました。
本取材の撮影スタジオ、「変身写真館ミニーナ(minina)」(http://www.minina.me/)のプロデュースにも関わっているという池澤さんは、作中に登場する着こなし【コルセットと和装】姿で出迎えてくださいました。
ファッションに造詣が深いお二人のトーク模様の冒頭を少しだけお届けします。
池澤 『テーラー伊三郎』、とっても面白かったです。コルセットはわたしも大好きで、女性の体を一番綺麗に見せてくれるアイテムだと思っています。きゅっと締めたコルセットにふんわりしたスカートの組み合わせって、最高じゃないですか!
川瀬 そうそう、誰もが一度は憧れますよね。
池澤 それにしても、なぜ川瀬さんはコルセットのお話を書こうと?
川瀬 よく分からないんです。寂れた商店街に老いた仕立屋がいて、妻の死をきっかけにコルセット作りに没頭してゆく、という基本のアイデアは当初からあったんですが、どうしてコルセットだったんだろう。自分でも不思議です(笑)。
池澤 実際にコルセットを着けたことは?
川瀬 自分ではないですね。デザイン専門学校に通っていた時代は、自作のコルセットを友だちに着せたりしていました。デニム地のコルセットで、生地が伸びないから縫うのが大変でしたね。
池澤 そもそもコルセット作りって、体力勝負の仕事ですよね。わたしの中では日本の畳職人に近いイメージ(笑)。
川瀬 あの生地は一旦糊づけしてあるんですよね。その重なったところを縫っていくから、特殊な縫い針じゃないと入らない。ナイフ状の針で、ざくざくっと縫っていく感じです。先日ある美術展でフランスのコルセットを見ましたが、百年以上前のものなのに完璧な状態で残っていた。まさに職人技ですね。
この続きは、「本の旅人」や「カドブン」でお楽しみください!
★撮影スタジオ/変身写真館ミニーナ(minina) 対談取材・文/朝宮運河
■プロフィール
川瀬七緒(かわせ ななお)
1970 年福島県生まれ。文化服装学院で服飾デザインを学んだ後、子供服のデザイナーとして活躍。2011 年『よろずのことに気をつけよ』で第57 回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家デビュー。『147 ヘルツの警鐘』(文庫化タイトル『法医昆虫学捜査官』)に始まる「法医昆虫学捜査官」シリーズや、『桃ノ木坂互助会』『女學生奇譚』『フォークロアの鍵』などのミステリーで人気を博している。『テーラー伊三郎』は「文芸カドカワ」に短期連載されて好評を博した作品。
池澤春菜(いけざわ はるな)
1975 年ギリシア、アテネ生まれ。声優、女優、文筆家。声優として『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』など数多くのアニメに出演し、人気を博す。大の活字マニアとしても知られ、多くの媒体に書評を執筆。読書エッセイ『乙女の読書道』『SF のS は、ステキのS』などを刊行している。最新刊は趣味の中国茶の魅力を綴った『はじめましての中国茶』。2011 年から、本対談の撮影スタジオでもある、東京・小石川の変身写真館ミニーナのプロデュースにも関わっている。
■『テーラー伊三郎』について
老若男女よ、全力で着飾れ!
偏屈な仕立て職人と卑屈な高校生の出会いが、灰色の日々を、町を、世界を変えていく――
福島の田舎町で、ポルノ漫画家の母と暮らす男子高生・海色(アクアマリン)。17歳にして人生を諦めていたが、ある日、古びた紳士服店「テーラー伊三郎」のウィンドウに現れた美しいコルセット“コール・バレネ”に心奪われる。頑固な老店主・伊三郎がなぜ女性下着を――騒然となる町内を尻目に、伊三郎に知識を買われたアクアは、共に「テーラー伊三郎」の新装開店を目指す。
活動はやがて、スチームパンク女子高生や町に埋もれていた職人らを巻き込んでいき・・・・・・
※初出:「文芸カドカワ」+書き下ろし
※情報ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/321701000365/
<書誌情報>
発売日:2017年12月8日(金)
定価:本体1,500円+税
装丁:鈴木久美
装画:千海博美
頁数:336頁
体裁:四六判並製
発行:株式会社KADOKAWA
★電子書籍配信中!
■「本の旅人」について
株式会社KADOKAWAが発行する書籍PR誌です。2018年1月号は、全国の書店およびKADOKAWAオフィシャルサイト(https://www.kadokawa.co.jp/product/321702001273/)で購入いただけます。
定価(税込):100円
■「カドブン」について
作家と読者の橋渡し役を担う文芸の編集者自らが、読者の皆様へ出来る限り近い距離で「物語」の面白さを伝え、読書の楽しみを伝えたいとの願いから生まれたメディアです。「物語」を愛するすべての人へ向けた、作家インタビューや書評、特集企画等のコンテンツを毎日(月曜~金曜)配信します。【公式サイト】https://kadobun.jp/
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