低損失磁性材料を用いた車載用パワーチョークコイルを製品化
パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社(以下、パナソニック)は、排ガス規制やCO2低減目標により燃費の改善が求められる内燃機関(エンジン)搭載のガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車などの車載ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)の電源回路に適した、低損失、高耐電圧、高耐振の面実装タイプ車載用パワーチョークコイル[1](12.5 mm角サイズ)を製品化、2021年2月より量産を開始します。
環境規制がグローバルで厳しくなるなか、エンジン搭載車の排ガス規制が強化されています。排ガス特性の向上には、燃料を効率よく可能な限り完全燃焼をさせる必要があり、シリンダー内に高圧で直接噴射する直噴噴射方式[2]による高効率化が進んでいます。完全燃焼には、インジェクターの高圧化や多段噴射により燃料を微粒化してきめ細かく噴射する必要があります。それには、インジェクター昇圧駆動回路において噴射後の昇圧復帰時間を短縮するために直噴エンジンのインジェクター昇圧用コイルの低損失および昇圧駆動に耐えうる高耐電圧の特性が不可欠です。加えて、車載ECUのエンジンルームへの搭載や機電一体化[3]が進んでおり、より厳しい振動条件かつ高温環境での設置と大電流化への対応が求められています。パナソニックは、業界最高の低損失、高耐電圧の磁性材料を独自開発し、車載ECUの高性能小型化を実現する面実装タイプの車載用パワーチョークコイルを製品化しました。
<特長>
1. 業界最高(※1)の低損失、高耐電圧の磁性材料で、損失電力を従来品比半減と2倍の高耐電圧を実現(※2)
・損失電力:1.5 W(パナソニック従来品(※3):3 W)
・高耐電圧:125 V以下(パナソニック従来品(※4)60 V以下)
2. 小形化と高性能化による搭載員数減でECUの省スペース化に貢献
・サイズ:12.5 mm角(従来同等品14 mm角)
3. 実装工程における耐振補強が不要で、ボンディング(接着)剤での補強工程を削減
・高耐震:30 G以下
<用途>
ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の昇圧DC/DCコンバータ回路[4]、高機能車載ECU電源回路、機電一体型車載ECU回路
※1:2020年12月21日現在、面実装タイプ車載用パワーチョークコイル(10-12.5 mm角サイズ)として(パナソニック調べ)
※2:13Ao-p、周波数75 khz、Duty35%の三角波電流の場合
※3:パナソニック従来品:14 mm角サイズ車載用ダストパワーチョークコイル(PCC-D1413Hシリーズ)
※4:パナソニック従来品:10 mm角サイズ車載用パワーチョークコイル(PCC-M1054Mシリーズ)
<用語説明>
[1]パワーチョークコイル
DC/DCコンバータ回路などに使用される電子部品で、エネルギーの蓄積やノイズを除去するフィルタの役割を持つ。
[2]直噴噴射方式
燃料であるガソリンをシリンダー内に、高圧で直接噴射する方式。
[3]機電一体化
機械駆動部分と車載ECUを一体化すること。従来、駆動部と車載ECUは離れて設置されていたため配線で結ばれていたが、制御の高精度化、設置場所の自由度向上、省線化などの目的で導入が進んでいる。
[4]DC/DCコンバータ回路
ある電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換する回路。
【商品のお問合せ】
パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社
デバイスソリューション事業部
https://industrial.panasonic.com/cuif/jp/contact-us?field_contact_group=2162&field_contact_lineup=766&ad=press20201221
全文は以下プレスリリースをご覧ください。
▼[プレスリリース] 低損失磁性材料を用いた車載用パワーチョークコイルを製品化(2020年12月21日)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/12/jn201221-1/jn201221-1.html
<関連情報>
・低損失パワーチョークコイル車載用(金属コア)MC
https://industrial.panasonic.com/jp/products-inductors/automotive-inductors/automotive-inductors/low-loss_pcc?ad=press20201221
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